歯に着色汚れが付く原因は?

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 歯の表面に茶色の汚れが付着する、いわゆる歯の“着色汚れ”に悩まされている人は、多いのではないでしょうか。SNS上では「着色汚れがひどい」「歯に着色汚れが付くのが嫌」「マスクを外すようになってから気になる」などの声が上がっています。

 歯に着色汚れが付くのは、なぜでしょうか。歯磨きなどで汚れを落とすことはできるのでしょうか。千葉センシティ矯正歯科(千葉市中央区)院長で歯科医師の石川宗理さんに聞きました。

「ポリフェノール」が原因

Q.まず、歯に着色汚れが付く原因について教えてください。飲食物以外には、どのような原因が考えられるのでしょうか。

石川さん「そもそも、歯の着色汚れは、『ステイン』と呼ばれています。ステインは、飲食物中に含まれるポリフェノール類と、歯の表面のエナメル質を覆っている『ペリクル』というタンパク質が結びついたものです。つまり、ポリフェノールを多く含む飲食物を摂取すると、歯の表面にステインが付着しやすくなります。ステインが蓄積されると、結果的に歯の黄ばみの原因にもなります。

ポリフェノールを多く含む主な飲食物、飲食物以外でステインが付く原因は、以下の通りです」

■ポリフェノールを多く含む主な飲食物
・赤ワイン
・コーヒー
・緑茶
・紅茶
・野菜ジュース
・ココア
・豆類
・カレー

■飲食物以外でステインが付く原因
(1)たばこ
たばこのヤニは、飲食物が原因で付着したステインよりも歯の正面に強固に付着します。

(2)ブラッシング不足
適切に歯をブラッシングしていない場合、ステインが付着しやすくなります。

頻繁に歯にステインが付く場合、「ポリフェノールを多く含む飲食物をよく摂取している」「たばこをよく吸う」「ブラッシング不足」の3つの原因が考えられます。

Q.では、歯にステインが付いた場合、歯磨きなどで落とすことはできるのでしょうか。

石川さん「着色除去専用の歯磨き粉でステインを落とすことは可能ですが、製品によっては歯の表面を傷つけることがあるため、製品選びには注意が必要です。また、歯石と着色が一体化している場合は、歯磨き粉だけで汚れを取り切るのは難しいです。

きれいに歯のステインを落とすには、歯科医院で歯のクリーニングを受けましょう。歯の表面をツルツルに仕上げてくれるため、新たなステインが付着しにくくなります」

Q.歯のステインを落とすために、市販のメラミンスポンジを使う人がいるようですが、問題はないのでしょうか。

石川さん「当たり前かもしれませんが、掃除用のメラミンスポンジを歯に使用するのは厳禁です。人体に有害な物質が入っている可能性があるからです。

『歯専用』『ホワイトニング専用』と書かれたメラミンスポンジであれば、使っても問題はありません。ただし、通販サイトで販売されている海外製のメラミンスポンジの中には、歯茎に強い刺激を与える薬品が含まれている製品があるので、注意が必要です。

スポンジの使い方ですが、歯茎を強くこすってしまうと歯茎を傷つけてしまうほか、歯の表面を強くこすり過ぎてしまうと歯の表面が傷つきます。人工歯に使ってしまうと、表面のつやがなくなってしまうので、使用時は付属の説明書をよく読みましょう」

Q.歯のステインを放置した場合、どうなるのでしょうか。

石川さん「先述のように、ステインが歯に蓄積されると、歯が黄ばむ原因となります。また、ステインの表面は粗いため、歯周病や虫歯の原因菌の塊である歯垢(しこう)のほか、歯石が付着しやすくなります」