「世界は宝の山のようなものだ。しかし、埋もれた宝を見つけるには、他人の頭の中をせっせと掘る必要がある」と述べる著者が活用する質問とは(写真:buritora/PIXTA)

できると言われる人は、どんなことを考えているのか。一流の人の頭の中にある「宝」を掘り出すのに有効なのが、質問だ。

優れた質問力はあなたにとって強力な武器になると述べる「全米最高峰のインフルエンサー」が頻繁に活用している質問とは。

『「週4時間」だけ働く。』の著者として知られるティム・フェリスが、現代のパイオニア106人に成功の秘密を聞きまくってまとめた本『巨神のツール 俺の生存戦略』の『健康編』の中から、紹介しよう。

世界一流のパフォーマーは、別に「超能力」の持ち主ではない。

彼らが作り上げた彼ら独自のルールが、現実を曲げることを可能にしていて、それがあまりにもうまくいっているのでそう見えるのかもしれない。

だが、それは彼らが学んだものであり、あなたにも学べるはずなのだ。

ピーター・ティールがよくする質問

こうした「ルール」は、風変わりな習慣だったり、スケールが大きい質問であることが多い。質問が荒唐無稽で「不可能」であるほど、回答は深いものになるということだ。


たとえば、ペイパルの創業者でシリアルビリオネア(連続億万長者)のピーター・ティールは、自分にも、自分以外の人にも、よくこんな質問をする。

「(目標達成のために10年計画を立てているとして)なぜそれを6カ月ではできないんだい?」

こう言い換えてもいいかもしれない。

「あなたが10年かけて達成しようとしている目標を、今後6カ月で達成しなければならなくなった。どうやって達成する?」

さて、ここでいったんポーズボタンを押そう。

私があなたに期待しているのは、この質問について10秒間考え、その後、10年かける価値がある夢を今後数カ月間で魔法のように実現することだろうか?

いや、そんなことは期待していない。

しかし、この質問があなたの思い込みを生産的なかたちで壊し、チョウがサナギから成虫になるように、あなたが古い殻を破り、新しい可能性とともに現れてくれればいい、とは思っている。

この手の質問に答えるときには、これまでに身につけた「普通の」やり方や、自分に課している社会的規範、スタンダードな枠組みは役に立たないからだ。

これに答えるには、既成の制約は捨て去らざるを得ないはずだ。そうすれば、自分の抱えた現実には、もっとずっと再交渉の余地があったのだと気づくだろう。

その後はただ練習あるのみだ。

私が一流の人にぶつけた質問とは

私からのおすすめは、本書を読んでいてもっともくだらないと思った質問について、ある程度の時間をかけて考えてみることだ。

世界は宝の山のようなものだ。しかし、埋もれた宝を見つけるには、自分から出かけていって、他人の頭の中をせっせと掘る必要がある。

そのとき、質問はあなたのつるはしになる。競争上の強みになる。その点でこの本は、さまざまな「武器」を満載した武器庫になるはずだ。

トニー(アンソニー)・ロビンズなら言うだろう。

「あなたの人生の質は、あなたがした質問の質によって決まる」

私がアスリートやコーチに集中的にインタビューしていた2008年から2010年にかけて、彼らの意外な戦術を聞き出そうと、以下の質問をさまざまに組み合わせて何十人もの人に送った。

こうした質問は、スポーツに限らず、どんなスキルやテーマにも応用できる。以下の[スポーツ]の部分を知りたい事柄に置き換え、メンター候補を探し当てればいいだけだ。

多くの場合、スカイプ経由での質問に1時間50〜100ドルの謝礼で付き合ってくれる元金メダリストや元銀メダリストを見つけることはそれほど難しくない。

これは驚異的なお値打ち価格であり、無駄な努力を何年間分も節約できる。

それでは質問を紹介しよう。

1、生まれつきの身体能力には恵まれていないのに、[スポーツ]で成功している人物は? 普通に考えたら成功するわけがないのに、この分野で成功している人物は?

2、[スポーツ]において、もっとも賛否両論を呼んでいる、または型破りなアスリートやトレーナーは? なぜそう思うか? あなたはその人物をどう思うか?

3、知名度が比較的低い指導者のうち、もっとも素晴らしい人物は?

4、あなたが成功した理由は? あなたが指導してもらった人物や影響を受けた人物は?

5、あなたと同じことができるよう、他人を指導した経験はあるか? 指導した相手はあなたの結果を再現できたか?

6、[スポーツ]のトレーニングにおける最大のミスや誤解は何だと思うか? また、最大の時間の無駄とは?

7、この分野に関する、お気に入りの指導書や教材は? 独学で学ぼうとする人々には、どんなものを使うようにアドバイスするか?

8、これから12週間、[適当なスポーツ種目をここに入れる]の大会に向けて私を指導することになり、そのトレーニングに100万ドル使えるとすれば、どんなトレーニング内容になるだろうか? トレーニング期間が8週間ならどうか?

フリースローを10回中9回成功


私がバスケットボールについて調べた場合、上記の質問に以下の4つの質問を追加してメールで送った。

相手はベターバスケットボール(バスケットボール分野の教育サービス)の創業者であるリック・トーベットだった。

・シュートのときやシュート練習をするときに初心者が犯す、最大のミスは? 最大の時間の無駄は?

・プロレベルでも犯す、もっともよくあるミスは?

・シュートを高い成功確率でもっと上手に行うため、守っている基本原則はあるか? ファウルショット(フリースロー)と3ポイントシュートの場合はどうか?

・練習メニューは、どのような進行になるか?

彼からのメールの返事は2日後に受け取った。その2日後、私は人生で初めてフリースローを10回中9回成功させることができた。


また、その後のクリスマスイブにボウリングに行ったとき、バスケットボールの基本原則の多く(たとえば、優位眼(利き目)を知り、垂直方向の「中心線」を調整すること)が、ボウリングにも応用できることに気づいた。

その日のスコアは124だった。私にとって初の3桁スコアであり、自分の通常スコア(50〜70)からするとエベレスト山並みの向上だった。

帰宅後、私はすぐに外に出て、人生初の3ポイントシュートを2回連続で成功させた。ものすごく気持ちがわくわくした。

こうしたことはすべて、上手い質問が運んできてくれたのだ。

(ティム・フェリス : 起業家、作家)