「前のクルマを追って!」ドラマみたいなシチュエーション本当にある? タクシー運転手に聞いた“変わった乗客”の実体験

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本当にあった「運転手さん、前のクルマ追って!」真相は?

 最近のドラマでは見かけなくなりましたが、以前はタクシーに乗り込むなり「運転手さん、前のクルマを追って!」なんてシーンを、刑事ドラマでよく見かけました。実際にそんなシチュエーションはあったりするのでしょうか。
 
 ちょっと変わった乗客や実際に起こりやすい乗客とのトラブルなどについて、個人タクシーを営むK氏に聞いてみました。

タクシー運転手が乗せた変わった乗客とは

「私の経験談になりますが、実際に数台前のクルマを追走してほしいといわれたことは何度かあります。

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 対象車は猛スピードで逃げていたとかではなく、普通に走る高級車や別のタクシーでした。

 ただし、真後ろで追走するのではなく数台ほかのクルマを挟んで欲しいと。完全に尾行なわけです。

 とはいえ、どう考えても犯罪者を追っているようには見えなくて。追っていたクルマが停まって降りた人を見たら人気女優だったということはありましたね」

 つまり犯罪捜査ではなく、いわゆるゴシップ記事用に週刊誌の記者がタクシーに乗って尾行していたというわけです。

「これとは逆に、ある芸能人の方にお願いされたのは、都内の住宅街で同じところをグルグルと周回すること。どうやら尾行されていないか気にしていたみたいです」(個人タクシー運転手 K氏)

「お客さまにはそれぞれに事情がおありでしょうから、こちらからは余計なお声がけはしないように心がけています。話しかけられてお答えする程度にしています」(個人タクシー運転手 K氏)

 確かに、タクシー内では運転手と乗客が会話するかしないかは、その場の雰囲気もあります。

 また現在ではタクシーの後部座席でも禁煙やシートベルト着用が推奨されており、透明のアクリル板による仕切りもあって、以前より会話しなくなっているのかもしれません。

トラブルを起こしやすい乗客とは

 風変わりな乗客でなくても、タクシー運転手が怖い思いをすることは何度もあるそうです。どのような乗客がトラブルを起こしやすいのでしょうか。

「もっとも多いのが酔ったお客さまが支払いを渋ることです。あの道じゃなければもっと安く済んだはずとか、一方通行で通れないところを逆走すれば早く着けたとか。

 交通違反はさすがに丁重にお断りするのですが、逆ギレされたことは何度もあります」(個人タクシー運転手 K氏)

客待ちをするタクシーの列

 コロナ禍の規制がほぼなくなり、最近は飲食したあとにタクシーを利用する乗客が増えたそうですが、車内で寝てしまって起きないことも度々あるといいます。

「もともとお客さまに触れることは禁止されていますし、お声がけしても起きないことも多いので、そんな場合は警察に協力してもらうようにしています。とくに女性1名の場合はかなり気を遣います。

 ただ最近は車内の様子も録画できるドライブレコーダーを装着していることもあり、トラブルになることはだいぶ減りました」(個人タクシー運転手 K氏)

タクシー強盗」の被害に遭うタクシー運転手もいますが、人目に付きにくい22時から翌6時までに強盗事件が発生することがほとんどだといいます。

 タクシー強盗以外でもさまざまなトラブルが発生しており、よくあるのが「乗り逃げ」、いわゆるお金を払わずに乗客が逃げてしまうケースです。

 最近は目的地周辺のコンビニなどに立ち寄らせ、お金をおろすふりをして逃げるパターンが多いのだとか。

 また、乗客とのトラブルによる暴力事件なども多く、他人と閉ざされた車内空間で走行するタクシー運転手は常に危険と隣り合わせの状況ともいえ、かなり大変なお仕事のようです。

※ ※ ※

 犯罪とはいえないのですが、最近多いのが「置き逃げ」と呼ばれる、ゴミや私物を車内に残していく乗客です。

 なかでも飲み終わったペットボトルなどをそのまま放置していくことが多いそうですが、これは次の乗客や運転手のことを考えない、明らかなマナー違反です。

 自分のクルマにゴミを放置されたら嫌なのと同じで、タクシーを利用する我々乗客が気を付けなければいけないことです。