日本では6割の夫婦が陥ると言われるセックスレス。「コロナがなければ、こんなことにはなっていなかったと思います」と語るのは、結婚22年目の主婦・優子さん(仮名・48歳)です。セックスレスのきっかけになったのは、家庭の問題ではなく職場でのいじめ。20年ぶりに働き出した主婦を悩ませた職場事情とは? 詳しく聞いてみました。

収入が激減、再就職した妻がパワハラ被害に

私が夫と結婚したのは26歳の頃。短大を卒業してからずっと地元で保育士として働いていたのですが、結婚を機に寿退職しました。

夫婦仲は良好で、女の子と男の子、2人の子宝にも恵まれました。幸せな日々を過ごしていたのですが、結婚20年目、私が働きに出ざるを得ない事態に見舞われました。

●子どもたちの学費がかかる時期に!コロナで家計直撃

原因は新型コロナウイルスの世界的な流行です。夫の仕事は、飲食関係の営業マン。政府から出された「外出自粛」のお達しは、収入に直接影響を及ぼしました。しかも子どもたち二人は、これから大学といういちばんお金がかかる時期。

そしてタイミング悪く夫側の義父が腰の骨を折ってしまい、介護施設に入所。その費用も一部わが家が負担することに。

しばらくは貯金を切り崩しながらなんとか耐えていたのですが、このままではもたないと思い、私は保育士の資格を活かして20年ぶりに現場復帰することを決意。しかし、その職場で人間関係に悩まされることになるなんて、このときは想像もしていませんでした。

●久々に復帰した職場で激しいパワハラ・いじめに

私が働き始めたのは地元の小規模保育園。理事長(経営者)が園長を兼任し、その奥様が事務長を務め、保育士のシフトや配置を決めていました。

人間関係がこじれ始めたと感じたのは、私が働き始めてわずか1週間目のことです。同じ2歳児クラスを受けもっていた先輩のA子が、急に仕事を教えてくれなくなったのです。

まだ慣れないことが多いなかで「連絡帳をまとめたファイル、どこに置きましたっけ?」と聞いても無視。初めは気のせいかなと思って、ほかの同僚に聞くなどしていたのですが、仕事道具などの置き場所を勝手に変えて教えないというような嫌がらせがどんどんエスカレートしていきました。

●子どもたちの前で大きな声で怒鳴りつけられ…

ある日、お迎えに来た親御さんにお子さんを引き渡す際、その子の荷物が指定のロッカーに入っていないことに気がつきました。すぐにA子に確認をすると「ここの棚に置いておくって言いましたよね? 何回言ったらわかるの!」と大きな声、強い口調で言われました。すごい剣幕に周りの子どもたちもびっくり。

その後もことあるごとに「何回言ったらわかるの!」と怒鳴りつけられるも、こっちは「一度も言われてませんよ」というケースばかり。

このようなことが頻繁に起こるようになりました。私はポリシー的に子どもたちの前では言い返さない、声を荒げないということを徹底していたので、毎回「はい、すいません」とだけ言ってA子の謎の怒りを受け流していたのですが…。

●職場のいじめを上司も見て見ぬふり

このような事態を上司でもある事務長の奥様にも相談したのですが「そうなの? 気のせいじゃない? 気にしすぎよ」と軽んじられました。そして私自身も「そうか、気のせい、気にしすぎ」と自分に言い聞かせながら耐えることにしました。

しかし奥様に注意をされて私が告げ口したと知ったA子は、奥様のいないときを狙って怒鳴り散らしたり、ものを隠したりするようになっていきました。

●被害を相談してもわかってくれる人がいない

理事長は直接現場を目にして完全に気がついていたと思うのですが、我関せずのスタンスを徹底していました。

ほかの同僚に「なんで私だけあんなに嫌われているんだろう」と相談したこともありました。でも「悪気はないと思いますけれどね」と入ったばかりの私のことを心配してくれる人はおらず。

このときも「そうか、悪気はないのか」と自分に言い聞かせたりしていたのですが、この我慢がだんだんと私の心を蝕んでいったのです。

●夫は「嫌なら辞めれば」とスルー

夫は当時、なんとか年収アップを試みようと転職活動を始めていました。とはいえ、コロナの影響はすさまじく、さまざまな業界に暗い影を落とすなか、オンライン中心に面接を受け続けることの負担も相当大きかった様子。

今になって思えば、夫自身も自分のことでいっぱいいっぱいだったのかもしれないですが、私が職場でいやがらせされていると話をしても「いやなら辞めてよそへ移ればいいんじゃない?」とピシャリ。ただ話を聞いてほしかっただけなのに…。軽くスルーされてしまうことに悲しさを覚えました。

ここから夫婦間の会話も少なくなり、徐々に触れ合う頻度自体の間隔があいていったのです。
そして職場の状況も日に日に悪化。我慢強い性格だと自負していた私ですが、適応障害を発症し、寝込んでしまう事態になったお話はまた次回にしたいと思います。