「この部屋はこう使おう」「この収納は〇〇をしまおう」と楽しく想像しながら、家づくりの計画を立てたのに…。実際に住んでみると、それがまったく机上の空論だったというのはよくある話。日刊住まいライターが、新居で暮らし始めて3年たった今、想定外の使い道になってしまった部屋と収納について語ります。

和モダンにこだわってつくった寝室が、今では趣味室に

筆者の夫の希望があって、わが家の寝室は和室です。デザインがちょっと凝っていて、まるでフローリングをくり抜いて、畳を収めたかのような意匠(テレビや家具などを置く部分が畳だと跡がつくので、家具を置く四方をフローリングに)。

寝室を畳にしたのは、ベッドを使いたくなかったのと、フローリングに布団を敷くと体が痛いから。クッション性のある畳がよいと思ったのです。

寝室の横にはベランダがあって、洗濯物を干せる間取りになっています。

和モダンで、あえて明るさを抑えた雰囲気のある寝室。筆者は、カッコいいなぁと思っていたのですが…。入居して3年、この部屋は寝室としての使命を終えることになりました。

理由は、「寝室が、洗濯物や服で散らかる」問題。

寝室横に洗濯物を干す場所をつくったことで、布団の周りが洗濯物だらけになってしまったのです。というのも、筆者は洗濯物をたたんで、しまうのがとても苦手。なのに、この間取りにしてしまったのは、以前の住んでいたアパートと同じ動線にしたかったからです。

 

床置きしている衣装ケースも、いちばん下の引き出しが、布団がジャマであけにくい…。ということで、寝室ではなくなったこの部屋。現在は筆者の趣味室として、再出発しています。

 

趣味室が日中明るすぎた!寝室とトレードすることに

この部屋は、ネイルが趣味の筆者が趣味部屋にしようと計画した部屋です。北東に位置していますが、周りに建物がないので、とても明るく見晴らしがいいという環境。

「カリフォルニアテイストなインテリアにしたいな〜」と思って、白い木目の壁を採用。しかし、明るいことと、光の回る白い壁が、じつはヤバかった!

ネイル用品は日光や熱を嫌います。日当たりのよい場所に保管すると劣化してしまうのです。なるべく日当たりを避けていましたが、部屋の温度は下がるわけもなく…。気温の高い夏場は、いくつかのアイテムが劣化してしまいました。

たまたま、この趣味室で一夜を過ごしたとき、とても気持ちよい朝日で目覚めたことを思い出した筆者。先に紹介した、適度に暗い元寝室とトレードすることにしました。

結果、その読みは正解でしたが…。「体が痛くなるから、フローリングに布団をしきたくない」問題が、ここへ来て浮上。腰への負担を考えて、マットレスを購入しようかと検討中です。

かわいいデザインの犬のお部屋が物置に

家づくり計画段階から、犬を飼うことは決めていました。しかし、リビングで一緒に生活すると、抜け毛の問題や、来客時に困るだろうと、シューズクロークに「犬のお部屋」を設置しました。シューズクロークの壁が、ちょうど階段下スペースになるので、ついでに有効活用したのです。

 

入り口はおしゃれなアーチ状に。手間のかかるこのデザインのため、大工さんも一生懸命作業してくれました。

そんな、ワンコのハウス、保護犬をわが家に迎え入れたときは、確かに使っていたのですが…。せっかく一緒に暮らし始めたのに、家族と離れて、玄関にひとりぼっち。ワンコは、めっちゃさびしそう。いくらなんでも、かわいそうすぎる!

そんなわけで、リビングに犬の居場所をつくることにしました。

 

では、この「犬のお部屋」はどうなったかというと、今は完全に物置です。こんなにかわいいデザインなのに…。なんだか、とてももったいないです。

 

琉球畳の小上がり和室でくつろぐはずが、犬の遊び場に

家族がくつろいだり、来客の宿泊用の部屋として使ったりする予定だった、リビングに隣接する4畳半の小上がり和室。琉球畳があって、かなりよい感じの空間です。

 

しかし現在、この和室には犬のベッドが置かれ、ワンコの遊び場に。せっかくの琉球畳も、犬が足を滑らせるので、負担を考えてカーペットでおおってしまいました。

畳でごろんと昼寝をしたかった。でも、わが家は「犬ファースト」なので仕方ないです。

リビングのものをしまうはずの引き出しが、お飾りに

最後はお部屋ではなく、収納のお話です。

小上がり和室には、引き出し式の床下収納が設置してあります。ここはもともと、隣接するリビングで使いがちなものを、ポイポイと入れるつもりで設計しました。リビング収納の要として想定していたのです。

しかし、ワンコが玄関からリビングへ引っ越してきて以来、この収納は気軽に利用できなくなりました。

 

その理由は、引き出し収納の前に、クッションをいつも置いてるからです。これは、小上がりから犬がフローリングへ降りる際に、足腰への負担をなくすため。

クッションがあると、引き出しはあきません。だったら、クッションをどかせばよいのですが、その上には気持ちよく寝ている「お犬様」が…。

なんでもポイポイ入れられて、リビングでいちばん使い勝手のよかった収納。残念ながら、お飾りのような存在となってしまいました。

以上、わが家の「家づくりの予定していたことが、暮らしてみたら、こんなことに!」を紹介しました。家族やペット…家に暮らす人は変化していきます。もちろん、ライフスタイルも。だから当然、家づくりでは想定していなかったことが、暮らしていくうちに起こるのは当たり前だと思います。

時間がたったら、もしかして、また「想定どおり」に戻る可能性も。最初に決めたことにムリに固執せずに、「まあ、いいや」と状況に合わせるくらいのほうがストレスがたまらない。わが家に住んでみて3年、筆者はつくづくそう感じています。