リビングとダイニングを、縦長の空間の対角線上に、斜めに配置した家を建てた日刊住まいライター。実際に暮らしてみると、図面上では広くないのに、ゆったりと奥行きを感じられる間取りになって大満足しています。また、くつろぎと食事のスペースが分離することで、メリハリある使い方ができるように。詳しくレポートします。

家を建てたのは隣家に囲まれた長方形の土地

筆者は妻と幼い息子の3人家族。2年半ほど前に、ハウスメーカーで延床面積38坪、総2階の注文住宅を建てました。

筆者が購入した土地の特徴は以下の2点です。

・南北に長い長方形
・南面道路で、東西及び北側は隣家がある

敷地は幅9m、奥行き20mの長方形。あまり広くない横幅ゆえ、東西方向に広く間取りを取ることができません。

また、東西及び北側に隣家があり、日当たりはよくありません。唯一日当たりのよい南側は、道路に接しているため、この場所に玄関をつくりました。採光のよい南側に玄関をつくるのはもったいなかったのですが、仕方ありませんでした。

長方形で南面以外を隣家に囲まれるという環境のため、玄関以外の間取りにもいろいろと制約がありました。

このような難しい条件のある土地でしたが、間取りの工夫をしたことで、今のところ大きな不満はありません。さっそく詳しく紹介していきましょう。

 

LDKを対角線上に配置すると奥行きが出て広く感じる

制約が多いなかで、筆者はLDKの空間をできる限り広く取れるように、間取りを工夫しました。

まず、家族がいちばん長く過ごすリビングを最優先に考え、1階でもっとも採光のよい南側にリビングを配置しました。そのうえで、毎日の食事をとる場所であるダイニングと、料理をするキッチンの位置を検討しました。

当初のプランでは、ダイニングとキッチンをリビングの北隣に、縦に並べる間取り。たしかに頻繁に利用するLDKは、近くにあった方がよいし、LDKが一列に並んでいる間取りをよく見ます。

しかし水回りを除いた1階の面積もそこまで広くないわが家。リビングからキッチンまでが一列にぎゅっと並べると、ちょっと狭苦しくなりそうな印象がありました。そこで設計士さんと考えたのが、LDKを対角線上に斜めにずらしながら配置する間取りです。

結果として、この間取りは大正解でした。

この部分の広さは、リビングが8畳、畳コーナーが3.6畳、ダイニングが6畳、キッチンが5畳で、LDK&畳コーナーの合計は22.6畳。図面上ではそこまで広くはありません。しかし、実際に住んでみると、リビングからキッチン方向を眺めるとかなり広々と感じられています。

リビングとダイニングは距離感絶妙。落ち着いた空間に

リビングとダイニングを対角線上に配置することには、広さを感じる以外にもうひとつのメリットがありました。

それは、リラックススペースのリビングと、食事スペースのダイニングがちょうどいい具合に隔てられたこと。

上の間取り図のように、日当たりのいい南側にはリビングと玄関があります。玄関と壁で隔てられた北側にダイニングがあるという配置。このことで2つのメリットがありました。

・リビングから見るとダイニングの一部が隠れ、奥行きが感じられる
・ダイニングは玄関からは完全に遮断されているので落ち着いた空間になる

 

ダイニングと対面するキッチンはとても便利!

ちょっと奥まったところにあって落ち着きのあるダイニング。そのダイニングとカウンターをはさんで向き合っているのがキッチンです。

いわゆる対面キッチンですが、カウンター越しに食器を運べるのはとても便利。

ちなみに、カウンターの高さは床から107cm。高くもなく低くもなく使いやすい高さです。さらに、カウンターの下は奥行き20cmのスペースがあるので、将来的には収納ボックスや棚を置いてもよいかな、と思っています。

配膳の助けにもなり、自由に収納を考えられるカウンターはとても便利です。

 

キッチンからはLD&畳コーナーを見渡せる

LDKの中でキッチンはいちばん北にあります。畳コーナーも含めて、キッチンからはリビング&ダイニングを見渡すことができます。

子育てをしている今、キッチンからLD&畳コーナーを見渡せることは大きなメリットに感じます。

キッチンで食事の支度をしている間は、子どもの近くにいられません。もし子どもがどこでなにをしているかわからなければ、落ち着いて食事の支度もできませんね。

その点、子どもの様子をキッチンから目視確認しつつ食事の支度ができる今の間取りは、本当にありがたいです。

 

LDKのどこからもすぐにアクセスできる畳コーナー

リビングとダイニングの両方に接しているのが、小上がりの畳コーナー。気軽にゴロンとできるのでお気に入りの場所です。

15cmと低めの小上がりですが、それだけでもリビング&ダイニングとは空間的に仕切ることができています。

また、いざとなれば備えつけのプリーツスクリーンで、畳コーナーを周囲から完全に仕切ることも。和紙製のスクリーンのため、スクリーンを降ろして畳コーナーに入れば和の空気に包まれます。

ちなみに今は1歳の子どもの遊び場に。多目的スペースとしても活躍してくれるのが畳コーナーのうれしいところです。

ダイニングの暗さが唯一の不満

基本的には満足しているLDK。唯一不満に感じる点が。それは、ダイニングの採光が悪いことです。晴れた日中であっても、外からの自然光がほとんど入らないため、暗くなってしまいます。

ダイニングを使うときには必ずダウンライトや、ダイニングテーブルの上に設置したシーリングライトを点けています。

間取りづくりの際に採光のことをもっと考慮しておけばよかった、と後悔しています。

もし間取りづくりの時に戻れるとしたら、吹き抜けを採用して上階からの自然光を取り込むことを考えると思います。

間取りの工夫次第で採光問題は回避できることも多いと思うので、間取りづくりの際はしっかり検討したいものです。LDKの間取りに悩む方のご参考になれば幸いです。