リビングにあえてソファを置かない、という生活を選ぶ人も。ハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターも、太陽の動きや気分に合わせて、杉板フローリングのリビングの好きな場所で、くつろぎの時間を満喫しています。新居でソファをやめたついでに、当初予定していたテレビの設置もやめたところ、家族との関わりや窓からの眺めを楽しむ生活を送るように。詳しく語ります。

広いリビングを希望。でも、LDKの面積に限界が

筆者の家族構成は、40代共働きの夫婦と8歳の子どもの3人。1年ほど前に、大手ハウスメーカーで2階建ての注文住宅を建てました。

その際、筆者が要望したことのひとつに、「人を呼びやすい広いLDKにする」ということがありました。とはいえ、新居の延床面積は26坪とコンパクトな予定。そのため、1階のLDKの床面積は15畳というサイズにとどまることに。

この条件のもと、ソファを置いてしまえば、LDKが狭くなることが明らかです。家づくり当初は、以前の賃貸暮らしで使っていたお気に入りのソファを持って行く予定でした。結局、断腸の思いでソファを手放すことを決定。

しかし結果的に、これが大成功。ソファを諦めたついでに、テレビまでなくしたら、広さも時間も余裕が生まれました。

 

ちなみに、決定した間取りは以下のとおりです。

1階:LDK、浴室、トイレ、洗面所、脱衣所(兼、洗濯スペース) ※上図面参照
2階:寝室、子ども部屋
※26坪の延床面積の内訳は1階が14.7坪、2階が11.3坪

家族3人が座れる横幅2m級のソファーを置いてしまうと、LDKに圧迫感が。また、キッチンへのスムーズな移動も難しそうという状況でした。

 

ソファーをなくして、居場所を限定しない生活に

ソファのあった以前の賃貸の戸建住宅では、当然、腰をかける場所はいつも同じでした。

しかし、ソファのない新居では、この習慣に変化が。天気のよい日は、LDKの日当たりのよい場所に移動してくつろぐことが日課になりました。ビーズクッションを持って、移動したり、床に寝転んだり。

時間や太陽の動きに合わせて、1日のなかで居場所も少しずつ変わります。ソファのように固定された場所で時間を過ごしていたときと違って、いろいろな発見もありました。

まず、家族同士の関わり方が変わります。思い思いにひとりで時間を楽しんだり、相手の様子をみながらおしゃべりに誘ってみたり。声のかけ方が、ワンパターンにならないので、ちょっと新鮮な気がします。

 

それに、窓の外の風景を、いっそう楽しむようになりました。わが家には高い位置に大きな窓が東西それぞれについています。ここから見える、青い空や雲が動いているさまをぼんやりと眺めていると、とてもいい気分転換になります。

LDKで読書をするにしても、好きな場所で、好きな体勢で過ごすだけで、楽しみが増えた気が。居場所を限定しない、ということが、こんなに開放的だとは。住んでみるまで想像がつきませんでした。

ソファーがないとダイニングテーブルを自由に配置OK

じつはダイニングテーブルは最近購入したばかりです(今までは奥にあるローテーブルでご飯を食べていました)。

空間をより広く使いたいと思い、ダイニングテーブルなしの生活を4か月。結果、ダイニングテーブルを置いてもまだ居場所にゆとりがあると感じたため、購入を決めました。

 

当初のダイニングテーブルの置き方は、上の写真のような状態。リビングスペースを広く使うことを目的に、キッチンに隣接して使用していました。しかし来客時のことを考えると、この状態では大勢が座れないため、現在はやめています。

ソファがないと、ダイニングテーブルの置き場所にも選択肢が増えます。まだ実行できていませんが、たとえば天気のよい日は、大きな窓のある西の土間スペースの近くまでテーブルを運んで、アウトドア気分で食事をするのもあり。

家族と一緒の食事の楽しみ方も、増えるような気がしています。

 

掃除がラク。ロボット掃除機との相性も抜群

ソファがないと、床が隠れることがないので、サッと床掃除ができます。これは精神衛生上、とても気分がいいです。

ソファがあると、直接見えはしないものの「ソファの下はホコリがたまってるんだろうな」と思いながらリビングで過ごすことに。ちょっと、すっきりしません。かといって、掃除のたびに大きなソファを動かすのは、現実的ではないでしょう。

せっかく床面がすっきりと見えているので、わが家ではロボット掃除機を愛用しています。イスの脚の間を、通り抜けてくれるので、とても便利。床に置いているものが少ないので、とても快適かつ、効率的に掃除が終わります。

ソファーをなくすなら、いっそテレビもなしに

間取りの打ち合わせを重ねていくうちに、LDKからソファーをなくすことが決まり、最終的にはテレビもなくすことにしました。じつは当初は、写真の壁に、壁かけテレビを設置することを検討していたのです。

なくした理由は、わが家は共働きで朝もバタバタしていて、そもそもテレビをつける習慣があまりないことが挙げられます。新居に住んで6か月ほど。結局、テレビがなくても問題なく過ごせています。

ただリアルタイムで観たいスポーツ番組などは、テレビの存在に後ろ髪をひかれますね。それ以外はスマホでニュースも見られますので、特段テレビがなくても、今のところは不便だと感じてはいません。

テレビがないと、ダイニングテーブルの配置の仕方やリビングの居場所も自由に決められます。

一般的には、テレビが観やすいように、ダイニングテーブルの向きやリビングの居場所(たとえばソファの位置や向きなど)を、皆さんは決めているのではないでしょうか。

もしかしたらですが、壁かけテレビがあったら、わが家の家族も今のように「好きな場所で過ごす」ということを楽しめていなかったかも? テレビの存在に縛られて、テレビの前が家族が過ごす定位置になっていた可能性もあります。

 

大勢の人を招いたときの様子は?

ソファがないと、来客(とくに初めてわが家に来た人)は、どこに座ればいいのか戸惑うケースがあります。

そのため、ダイニングチェアに誘導したり、床に自由に座っていい旨を伝えたりする必要がありました。床にクッションや座イスを置いていれば自然に使ってくれるので、そうした仕組みづくりを考えました。

ただ、やはりソファがない空間は、来客の際にも心強いです。決して広くはない15畳のLDKですが、ゆったりと使えているような気がします。

来客時も、それぞれ好きな場所を見つけて、思い思いにおしゃべりしたり、飲み物を飲んだり。移動も自然にできるので、コミュニケーションによどみがなく、活発な感じがします。

以上、わが家のソファのない生活について、振り返ってみました。これから家を建てる方のなにかひとつでも役に立てば幸いです。