8月25日に、民主党のヒラリー・ロダム・クリントン上院議員(ニューヨーク州選出)がコネティカット州の民主党上院議員候補、ネッド・ラモント氏と会談し、ある注目すべき合意内容を明らかにした。クリントン議員の選挙参謀であるハワード・ウォルフソン氏がラモント氏の選挙アドバイザーに就任するというものだった。参謀のウォルフソン氏が転出するということは、それはとりもなおさず、クリントン議員が再選の自信を固めたことを物語る。少しでも当選に不安があれば、陣営の幹部を他候補の応援に差し出すようなことはしないからだ。

  さらに重要なのは、今回のクリントン議員の決断が、ラモント候補に対する支持を明確に米国民に示す効果だ。ウォルフソン氏は有能なベテランの民主党員であり、多くの政治家を顧客に持つ成長著しいコンサルタント会社、グローバー・パーク・グループの共同経営者である。そして、経歴の中で何よりもウォルフソン氏の政界での知名度を確立したのは、クリントン議員が2000年に初めて上院に当選した際、選挙運動で示した手腕だ。

  クリントン議員は、コネティカット州の民主党の予備選(8月8日)で、現職のジョー・リーバーマン上院議員を破ったラモント氏とは個人的に近しい関係にある。ラモント氏が正式に民主党候補となった今、本来であればクリントン議員は形式的に支持を表明すれば、それで事は十分足りるだろう。しかし、あえて身内の幹部を支援のために出すということは、ラモント氏の選挙戦にクリントン議員が周囲の思惑以上に深く関与しようとする意図を示している。

  9月12日にニューヨーク州の民主党の候補指名を争う反戦運動家のジョナサン・タシニ氏などは、クリントン議員の眼中にはないだろう。11月の中間選挙でも、共和党からジョン・スペンサー前ヨンカース市長であれ、レーガン政権時代の国防次官補代理、キャスリーン・トロイア・マクファーランド女史が挑んでこようが、クリントン議員にとってはもはや問題ではないのだ。(米東部時間8月25日午後4時17分)【了】

■ベス・ファウヒー記者
ニューヨーク地区担当で、11月7日の米中間選挙の投票日に向け、民主党のクリントン上院議員や共和党のルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長、同党のジョージ・パタキ現ニューヨーク州知事などを中心に取材し、APブログも執筆している。

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