なぜ今? 横須賀配備の米イージス艦、「ロバート・スモールズ」に改名 由来は黒人政治家
日本ではまずあり得ない理由での艦名変更です。
南北戦争で南軍勝利を称えるのは止めようという趣旨
在日米海軍は2023年3月6日、横須賀基地に配備されている巡洋艦「チャンセラーズビル」を、「ロバート・スモールズ」に改名したと発表しました。
アメリカ海軍では現在、南北戦争において南軍側に由来する名称が付与されている艦の改名を進めており、今回の「チャンセラーズビル」から「ロバート・スモールズ」への変更もその一環です。
このたび「ロバート・スモールズ」に改名したアメリカ海軍のイージス巡洋艦「チャンセラーズビル」(画像:アメリカ海軍)。
旧名「チャンセラーズビル」は南北戦争の中盤、1863年4月末から5月上旬にかけてバージニア州で起きた「チャンセラーズビルの戦い」に由来します。この戦いでは南軍が勝利しており、その敢闘を称えて名付けられたのですが、このたび改められることとなりました。
新たな艦名「ロバート・スモールズ」は1839年、南部サウスカロライナ州において奴隷の子どもとして生まれ、成長して船員になると南北戦争中にはチャールストンから船を奪って脱出。北軍の船乗りとして貨物船や装甲艦などを操って従軍。戦争が終わるとサウスカロライナ民兵隊の将軍(准将)になったのち、サウスカロライナ州議会議員を務めました。
その後、連邦議会の下院議員となり、5期務めたアフリカ系アメリカ人のパイオニア的存在です。
人種隔離政策の反対運動などを続けた業績から、このたび軍艦の名称に用いられることとなりました。
今回の艦名変更に関してアメリカ海軍は、「これら名称の変更は、歴史を書き換えるというようなものではなく、信条と一致しない自国の歴史の捉え方を変え、これまで見過ごされてきたかもしれない歴史上の出来事や人物にスポットを当て直すものです」と説明しています。