鉄道やバスの新型コロナウイルス対策ガイドラインが改定され、利用者に対し基本的に「マスクの着用をお願い」しなくなります。窓開けや一部座席の利用停止は、どうなるのでしょうか。

マスクの着用は「個人の判断」に

 政府の新型コロナウイルス対策に対する方針転換を受け、2023年3月7日、鉄道やバスの新型コロナウイルス対策ガイドラインが改定されました。それぞれ3月13日(月)から実施されます。


JR東日本はマスクの着用呼びかけをやめる。写真はイメージ(画像:写真AC)。

 JR東日本は3月7日、深沢祐二社長が会見し、マスクの着用を基本的に「個人の判断にゆだねる」こととし、事業者から着用の呼びかけはしないようになると明らかにしました。政府の見解を受け、すでに航空業界が同方針をまとめ3月13日から実施することを公表していましたが、それに歩調を合わせる形です。私鉄においても同様の方針になると日本民営鉄道協会は話します。

 ただ、JR東日本と日本民営鉄道協会は、「今回の政府の方針見直しは、マスクに関することのみと認識している」と口を揃えました。列車の「窓開け」については、基本的な感染対策として、見直しの対象にはなっていないといいます。

 バス業界においても同様に、3月13日より改正版新型コロナウイルス対策ガイドラインが実施され、マスク着用の呼びかけは基本的にはしなくなるといいます。では、車内の窓開けのほか、一部バスで運転手の感染防止対策として実施されている「最前列座席の利用停止」はどうなるのでしょうか。

 日本バス協会によると、やはり窓開けについては、基本的な感染対策として変更はないといいます。ただ最前列座席の利用停止については、すでにガイドラインから削除されており、現時点でも事業者の判断で行われているということです。

また「着用呼びかけ」に戻る可能性アリ

 さらに鉄道・バスとも、マスクの着用呼びかけを完全にしなくなるというわけではなさそうです。

 鉄道のガイドラインでは末尾の「その他」の条項として、「輸送障害発生時など、やむを得ない事情がある場合には、その範囲において本ガイドラインの定めによらないものとすることができる」「感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は従業員にマスク着用を求めることができる」とあります。

 バスのガイドラインでは、「その他」は次のように、より具体的に記載されています。

「事業者が感染対策上又は事業上の理由等により、利用者又は乗務員を含む従業員にマスクの着用を求めることは許容される」
「(当面の取扱)通勤ラッシュ時等混雑(人と人が触れ合わない距離を保てる場合を除く。)したバス(概ね全員の着席が可能である高速バス、貸切バス等を除く。)に乗車する時には、政府によりマスクの着用が推奨する場面とされていることを周知する」

 日本バス協会によると、この「その他」2項目はマスク着用の呼びかけに関する条項を削除した代わりに設けたものだといいます。


バスもマスクの着用呼びかけは基本的にされなくなる(乗りものニュース編集部撮影)。

「今後、感染状況が悪化して運転手が罹患し、運行の継続が困難になることを避ける目的があります。また、混雑時にはマスク着用が推奨されることは変わらず、それをリーフレットや掲示により周知することとしています」

 鉄道でも一部ありましたが、特にバスでは、運転手の集団感染により運行が困難になり、減便や運休せざるを得なくなる事案が、これまでに相次いでいます。マスク着用は「個人の判断」となるものの、感染が流行する時期には「着用の呼びかけ」に戻す余地を、鉄道・バスともに残しているといえます。