残存率わずか1%! 最多を誇った国鉄通勤形電車「103系」 和田岬線から引退、残りは?
1形式としては最多の3400両あまりが製造された国鉄の通勤形電車103系。しかし時代は流れ、今や50両あまりを残すのみです。いよいよ和田岬線からも引退が決まり、今後はどの路線で見られるのでしょうか。
最多3400両あまりが製造された
2023年3月18日(土)、JR和田岬線(山陽本線支線)で使われる103系電車が定期運行を終了。量産車として0番台を名乗る最後の編成が見納めとなります。
「国鉄の通勤電車といえば103系」――そのような時代もあったほど、103系は量産が続けられました。試作車を含め登場は1963(昭和38)年。山手線を皮切りに京浜東北線、中央線快速、横浜線、南武線、関西では大阪環状線や阪和線、奈良線、名古屋地区では中央本線、広島地区では山陽本線や呉線、そして東北地方でも仙石線など、特に都市部を中心に導入されたのです。
1984(昭和59)年まで製造され、その量数は3400両を超えますが、これは2023年2月現在も、単独の形式としては破られていません。
JR播但線の103系電車(左)(画像:写真AC)。
ただし、形式を見れば登場から60年が経つわけです。各地で引退は進み、JR東日本と東海ではすでに全廃となっています。2月末現在の残数合計は55両。うち和田岬線は6両編成(1本)なので、3月19日(日)以降の残存率は全盛期のわずか1%になります。
一時代の終焉も近いようですが、では今後も103系が見られる路線はどこでしょうか。
結論をいうと、JR西日本の加古川線と播但線、JR九州の筑肥線、この3路線のみです。ただいずれもワンマン運転に対応した改造がなされているほか、加古川線と筑肥線の車両には前面に貫通扉があるなど、多くの点でオリジナルとは異なります。
西日本と九州で長らく残ったワケ
では和田岬線も含めた西日本〜九州地区で、103系が長きにわたり使われ続けた理由は何でしょうか。それは、国鉄から車両を継承したJR各社の考え方の違いによる部分が大きいといえます。
まず本州の3社は国鉄の債務も引き継いただめ、支出を抑えた経営が不可欠でした。JR東日本が消費電力や製造コスト、使用期間までを抑えた廉価な車両を開発したのに対し、JR西日本は国鉄型車両を延命改造し、長期使用することとしました。
JR筑肥線の103系(2014年2月、草町義和撮影)。
なおJR九州の筑肥線では、1983(昭和58)年に唐津〜姪浜間が電化された時点で省エネ電車201系が登場していたものの、列車密度などから省エネ効果が期待できなかったため、前世代の103系で導入コストを抑えたという事情があります。
さて、和田岬線では引退日の午前9時40分から、兵庫駅にて出発式が行われます。なおJR西日本によると、駅ホームなどの混雑防止のため、最終列車のダイヤは非公表とのこと。同線の103系にはこれまでの利用に感謝を込めて、記念ヘッドマークや車内ポスターが掲出されています。