いすゞ自動車における小型トラック分野の代名詞的存在「エルフ」がフルモデルチェンジしました。「顔つき」が一新されただけでなく安全性も強化されたほか、バッテリーEVもラインナップに加わりました。

フロントマスクだけじゃない 使い勝手も向上

 いすゞ自動車は2023年3月7日(火)、小型トラック「エルフ」と中型トラック「フォワード」をフルモデルチェンジしました。


フルモデルチェンジした小型トラック「エルフ」。向かって右はEVモデル(画像:いすゞ)。

 今回発表された新型エルフでは、いすゞ初の量産バッテリーEV(以下BEV)である「ELF EV」がラインナップに加わったほか、「デザイン」「ホスピタリティ」「エコノミー」「セーフティ」「コネクテッド」「ラインナップ」の6つのポイントを中心に進化しています。

 基本的な使い勝手の部分では、人が直接触れる箇所を黒色にすることで、識別性を向上させるとともに、傷のつきにくさにも配慮しているとのこと。また、ドア開口部を拡大するとともに上下2方向からアクセス可能なセミグリップ式ドアハンドルを採用して、乗降性・操作性を向上させています。
 
 また、最適なドライビングポジションを追求したほか、メーターパネルには7インチのメーターディスプレイを採用、そこに安全支援機能の作動状況や車両コンディションを表示することで、運転時の視線移動や操作を最小限に留めるようにしています。ほかにも、ステアリングスイッチの採用やスイッチレイアウトの見直しにより良好な操作性を確保しています。

 安全性については、ドライバーの直接的な視界改善を図ったほか、先進安全装備およびドライバーをサポートする運転支援機能を充実させてます。たとえば、ステレオカメラの性能向上を図ったり、近距離ミリ波レーダーおよびドライバーステータスモニターを追加したりしています。

数多くの“国内小型トラック初”を搭載

 ほかにも先進安全装備として「プリクラッシュブレーキ(右左折時)」「全車速車間クルーズ」「レーンキープアシスト」「ドライバー異常時対応システム」「可変配光型LEDヘッドランプ」を国内の小型トラックとして初めて搭載。また、ドライバーの脇見、開眼、運転姿勢の状態をインパネ中央部に搭載されたカメラでモニターし、前方への注意不足を検知すると警告を発し注意喚起する「ドライバーステータスモニター」も備えています。なお、この装置は過度な眠気を検知した場合にはエアコンを制御し、冷風を作動させることで注意喚起を行うといったこともしてくれるとか。


小型トラック「エルフ」の各モデル(画像:いすゞ)。

 さらにドライバーの交通標識の見落としを防ぐ「標識認識機能」や、それで認識した「最高速度」標識の制限速度に対し、制限速度を上限に車両側でスピードリミッター制御を行う「標識連動型スピードリミッター」も装備します。

 なお、今回の目玉であるBEVについては、標準キャブのGVW3.5t未満車からワイドキャブのGVW7.5t車までの幅広いラインナップを実現。また、車両の操作系やレイアウトをディーゼル車と可能な限り共通化することで、従来ディーゼル車で実施していた様々な架装にも対応できるようにして、ユーザーの利便性を極力損なわない配慮がなされています。

 新型「エルフ」標準キャブ、標準ホイールベースの木製平ボディ2トン積2WD車ADASパック PREMIUM(車型2TG-NJR88AF)の場合、東京地区の希望小売価格は589万2000円(消費税抜)とのこと。一方、新型「フォワード」については2023年夏頃の発売開始を予定しています。