副業でも20万円を超えたら確定申告が必要|確定申告の方法と納める税額は?
副業の解禁が本格化したことから、副業を行う人が増えています。ただし、副業で一定以上の収入があると、本業で年末調整をしていても確定申告を行わなければなりません。
副業を始めたばかりの人のなかには、確定申告をする必要があるのか、またあるならその方法を知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、副業をしていて確定申告が必要になる要件と、確定申告の方法について解説します。
給与取得者は基本的には確定申告なし
給与所得者は、基本的に確定申告の必要はありません。ただし、以下に該当する人は確定申告をしなければなりません。
・給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
・1ヶ所から給与の支払いを受けており、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人
・2ヶ所以上から給与の支払いを受けており、給与のすべてが源泉徴収の対象となる場合で、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
ほかにも要件はあるものの、一般的に上に該当しなければ年末調整だけで済みます。ですが、副業をしていると、確定申告が必要となる可能性があります。
※参考:国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」
年間20万円を超える所得がある場合は確定申告が必要
副業をしているすべての人が、確定申告をしなければならないわけではありません。副業をしていて確定申告が必要なのは、給与所得以外の所得金額の合計額が年間20万円を超える人です。
ただし、副業で得た所得金額の合計額が年間20万円以下であっても、住民税の申告は必要です。翌年の3月15日までに、その年の1月1日時点の住所地を管轄する市区町村役場の窓口にて申告します。
経費がかかっている場合
副業をしており、確定申告が必要かどうかを判断するには、収入と所得の違いを理解しておかなければなりません。
収入とは、その副業によって得た金額すべてを指します。業務を行うにあたり経費がかかっている場合は、副業による収入から経費を差し引いた額が、実際に副業によって得た所得額です。20万円を超えるかどうかの判断は、この所得額によって行います。
たとえば、副業で得た収入が40万円で経費が30万円だった場合、「所得額=40万円-30万円=10万円」です。このケースだと、給与所得以外の所得額が20万円を超えないため、確定申告の必要はありません。
収入が40万円あり、経費が10万円かかっている場合は、「所得額=40万円-10万円=30万円」となり20万円を超えるため確定申告が必要です。
副業の確定申告は「青色申告」? 「白色申告」?
副業の確定申告には、青色申告と白色申告があります。青色申告と白色申告にはどのような違いがあり、どちらを選択すればいいのかについて解説します。
青色申告と白色申告の違い
青色申告と白色申告の大きな違いは、帳簿の付け方と控除額です。
白色申告は簡易簿記で済みますが、青色申告のみ受けられる青色申告特別控除は受けられません。
青色申告では複式簿記による帳簿を付ける必要がありますが、55万円の特別控除を受けられます。電子帳簿保存を行っているか、e-Taxで電子申告を行う場合、控除額は65万円となります。
雑所得で青色申告はできない
青色申告が行えるのは「事業所得」「不動産所得」「山林所得」の人です。したがって、雑所得として計上する場合は、青色申告を利用できません。
青色申告は特別控除が用意されているなど、メリットの大きい申告方法ですが、副業する人が増える中で、国税庁からは昨年「副業収入(売り上げ)300万円以下は事業所得ではなく雑所得とする」というパブリックコメントが提出されました。営利を目的として、帳簿や請求書の保管がきちんとされていれば、売り上げが300万円以下でも事業所得で青色申告できる場合もありますが、副業であれば、雑所得として白色申告で確定申告する人が一般的となります。
ちなみに、事業所得とは農業や漁業、製造業や卸売業、サービス業などの事業を営んでおり、それらの事業から発生する所得です。つまり、事業所得として計上できるのは、個人事業主として開業届を提出している人がメインといえるでしょう。
副業が事業規模になったときは青色申告を検討する
仮に、副業の所得金額が大きくなったり、人を雇うなどで規模が拡大したりすると、副業が事業規模になったとみなされ、雑所得ではなく事業所得と判断される可能性があります。そうなった場合は、青色申告を検討しましょう。
副業の確定申告の方法
副業による所得を確定申告する方法は、その所得が給与所得なのか雑所得なのかで異なります。それぞれの申告方法について、次項で詳しく解説します。
副業が給与所得のとき
副業による所得が「給与所得」の場合は、確定申告書の給与所得の部分に所得額を記載してください。本業も給与所得であれば、本業の給与所得額と合算して記入する必要があります。
給与所得者は源泉徴収票を受け取っているはずなので、それぞれの源泉徴収票にある給与所得の額を合計します。
副業が雑所得のとき
副業による収入が雑所得の場合は、雑所得の欄に所得額を記載します。この所得額は収入から副業を行うためにかかった経費を差し引いた額です。インターネットで入力する際には、収入額や経費の額を入力する欄があります。
紙で確定申告を行う際には、雑所得には「公的年金等」、「業務」、「その他」の三つがあります。副業で得た所得は「業務」になるため、業務欄に副業による所得額を記載してください。
副業で納める税金とは?
副業所得がある人は、所得額に応じた所得税および住民税を納めなければなりません。ここでは、所得税額と住民税額の計算方法を解説します。
所得税
副業で得た所得が給与所得の場合、本業と副業の給与収入の合計額から給与所得控除額を差し引き、給与所得額を求めます。そして、そこから各種所得控除などを差し引き、最終的な課税所得金額を算出します。その課税所得金額に応じた所得税率を乗じた額が、所得税額です。
副業で得た所得が雑所得であれば、売り上げ(収入)から経費を差し引いて所得金額を求めます。本業で給与所得があるなら、雑所得額と給与所得額を合算し、そこから各種所得控除などを差し引きます。そして最終的な課税所得金額を求め、所得税率を乗じて所得税額を求めます。
住民税
住民税は、副業によって得た所得(売り上げ-経費)が20万円以下でも納めなければなりません。
住民税額は、所得にかかわらず一定額が課税される「均等割」と、課税所得金額に10%を乗じて求める「所得割」の合計額です。均等割の金額は自治体によって異なるものの、5,000円が目安となっています。
また、課税所得金額を求める際の各種所得控除額は、所得税と住民税では異なる点に注意して計算しましょう。たとえば基礎控除は所得税が48万円、住民税が43万円になります。また、ふるさと納税による寄付金控除がある場合は、住民税額から税額控除されます。
まとめ
副業で得た所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要です。確定申告の方法は、副業による所得が給与所得なのか、それとも雑所得なのかで異なる点に注意しておきましょう。
そして、すべての所得金額を合計し、各種所得控除を差し引いた最終的な課税所得金額に対して、所得税および住民税が課されます。住民税は、副業の所得が20万円以下でも申告しなければならない点も忘れないようにしてください。