リバプールのラファエル・ベニテス監督は、ワールドカップの存在がビッグクラブの成功を脅かすと語った。

 ベニテスが問題にするのは、選手のコンディション。MFハリー・キューエルはドイツ・ワールドカップで負ったケガから回復しておらず、DFジェイミー・キャラガーはリーグ開幕戦で足首を故障し戦線離脱。さらに、MFスティーブン・ジェラード、FWピーター・クラウチ、MFルイス・ガルシア、MFシャビ・アロンソといった“ドイツ大会出場組”が本調子を取り戻せない状態に、指揮官は「無駄な試合が多い」とワールドカップの在り方に疑問を投げかけた。

「ワールドカップはとにかく長すぎる。クラブは選手を2ヶ月近く失う。そして、彼らはコンディションを落としたり、ケガを負った状態で戻ってくる。母国のためにプレーしたい気持ちはよく分かる。しかし、はっきり言って、ワールドカップで行われている試合の半数は無意味だ。はじめの15日間程度は、大会の行方を左右しない試合ばかりではないか!」

 さらに、ビッグクラブを取り巻く“勝利至上主義”の厳しさにも言及したスペイン人監督。ライバルクラブにも同情を示しながら、世界一を決める大会にドラスティックな改革を求めた。

「ワールドカップで2ヶ月間選手を失ったかと思えば、今度は親善試合が組まれる。とにかく本調子で戻る選手はほとんどいない。そして、すぐにシーズンが開幕し、重要な試合を戦うことになる。何よりも、ワールドカップは出場国を減らすべきだ。チェルシーだって、リーグ3連覇は難しい状況にあるといえるだろう。彼らも同じ問題を抱えているからね。ビッグクラブでは、シーズン序盤に敗戦を喫しようものなら、大きな批判に晒される。しかし、選手のコンディションが整わないのではどうしようもない」

 チャンピオンズ・リーグ予備予選では苦戦を強いられ、昇格組のシェフィールド・ユナイテッド相手に戦ったプレミア開幕戦でまさかのドローを演じたリバプール。4年に1度の祭典を標的にした指揮官の不満が、ビッグクラブの監督が抱えるストレスの大きさを象徴しているようだ。