戦車も運べる″空飛ぶ巨人″ ドイツ輸送機Me323「ギガント」の初飛行日 -1942.1.20
81年前の1942年1月20日、ドイツの輸送機であるMe323「ギガント」が初飛行しました。
第2次世界大戦で大量輸送のために開発
ドイツの輸送グライダーMe323(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。
いまから81年前の1942年1月20日。ドイツの輸送機であるMe323「ギガント」が初飛行しました。
ドイツは第2次世界大戦でイギリスや旧ソ連(現ロシア)方面へ作戦を実施していくにあたり、迅速かつ大量に物資を輸送する手段として「輸送用グライダー」の開発を進めます。
その結果、生まれたのがメッサーシュミット製Me321でした。これはグライダーゆえに無動力機で、エンジンがなく、離陸の際は曳航用の大型機に牽引されて進空するというものでした。しかし、推進機関がないため飛行距離に限界があるほか、自力で飛行コントロールがしにくいなど運用に難があったため、やはりエンジンがあった方が良いという結論に至ります。そこでMe321にエンジンを取り付ける形で生まれたのがMe323でした。
既存の改造であるため、設計は短期間で終わり、実機は基本設計から1年半足らずで完成、初飛行を迎えます。最終的にフランスのノーム・エ・ローヌ社製の星型14気筒レシプロエンジンを6基搭載し、最高速度は285km/hで航続距離は800km。最大離陸重量は43tで、状況に応じて軽戦車も運搬できました。
実用化されると、アフリカ戦線などに投入されて物資や人員の輸送を担いましたが、低速かつ動きも鈍重なため、敵機から攻撃を受けるとほぼ逃げ切ることは無理でした。一例をあげると、1943年にシチリア海峡でイギリス軍の「スピットファイア」などに襲われた際には、27機のうち6割を失っています。
最終的に198機を生産。現在はベルリン空軍博物館で主翼の一部が残るのみとなっています。ちなみに、その「明らかにゴツイ見た目で空を飛ぶ」姿から、宮崎駿が製作・監督した「風の谷のナウシカ」に登場する輸送機「バカガラス」のモデルにもなっています。