高速道路の深夜割引制度が大きく変える方針が国土交通省から示されました。対象時間を拡大するも、従来の利用全区間に対する割引を改め、“深夜に走った分だけ”割引に。トライバーだけでなく事業者の経営にも大きな影響を及ぼしそうです。

深夜割引のため時間調整するトラック 運転者の負担軽減狙う

 斉藤鉄夫国土交通相は、2023年1月20日の閣議後会見で、高速道路の「深夜割引」の見直しを公表しました。


深夜のSAではトラックがあふれる。割引適用のための時間調整も多いとされる(画像:NEXCO中日本)。

 深夜割引の対象となる時間帯を22時から翌5時まで(現在は0〜4時)に拡大する一方、対象時間帯以外に走った距離は、割引対象から除外することを決めました。

 現行の深夜割引の問題点について斉藤氏はこう語りました。

「(深夜割引は)一般道路の沿道環境を完全する目的で導入されたが、0時直後に料金所を通過するための時間調整を目的として、料金所直前やSAに車両が滞留するということが起きた」

 現在の深夜割引は、対象時間帯に通行することで、その時間帯以外に走った距離も含めて割り引かれていました。新しい割引制度では、割引時間帯となる7時間のあいだに走っていた距離分だけが割引の対象となります。割引率30%は基本的に変わりません。

 2024年度中に実施を目指し、高速道路会社は走行距離を把握するためのアンテナ設置に乗り出しています。道路上に概ね50kmごとに設置することで、距離を把握します。車両の位置情報はGPS機能を搭載したETC2.0でしか把握することができませんでしたが、深夜割引対象の距離の算出には、2.0の情報は活用しません。

 割引対象の時間帯が拡大することで、滞留車両の解消と、運転者の負担軽減を狙います。

 また、新しい深夜割引が導入された時から5年間は、対象距離が短くなり料金が割高になることに対しての激変緩和措置も予定しています。割引対象の距離に加えて、時間外に走行した距離の一部が割引対象として加算されます。さらに、22時台に高速道路を降りる対象距離が短い車両については、割引率を20%に落とし、その上で時間外走行距離の一部を加算する措置を取り、負担を軽くします。