東京都内、23区よりも道路整備が進んでいない多摩地区には、行き違いも難しいような細道をゆくバス路線がいくつか存在します。今回は小金井・府中・国分寺エリアの路線を紹介します。

ぷっつり途切れる幹線道路の脇を進むバス

 路線バスのなかで、とりわけ細い道をゆく路線は「狭隘(きょうあい)路線」と呼ばれ、高度な運転テクニックが見られることから、バスファンのあいだで注目される存在です。地方の山道などなどはもちろん、都市部の駅付近や、住宅地などに見られます。

 東京で23区よりも道路整備が進んでいない北多摩地区では、そうした狭隘区間を行き来するバス路線がいくつも存在します。今回は小金井市から府中市、国分寺市にかけてのエリアの路線を紹介します。

横街道付近(府中市)


横街道バス停。ここから大幅に道が狭まる(乗りものニュース編集部撮影)。

●経由するバス
・京王バス「府42」「府46」府中駅〜第七小学校循環、「西国45」西国分寺駅〜府中駅、「西府01」総合医療センター〜西府駅ほか

 北多摩を東西に貫く甲州街道のバイパス「東八道路」は、府中市内の新府中街道との交差点でプツリと途切れた状態です。2022年現在、国立市までの未開通部分の工事が進められていますが、横街道バス停は、そのプツリと途切れた交差点で、東八道路から直進方向となる細道を入ったところにあります。ゆえに真横には東八道路の工事エリアと隔てる白いフェンスが立っています。

 このバス停は府中駅・西府駅方面の便のみが停まる一方通行の経路ですが、バス停からすぐのところで道が大幅に狭まります。バスどうしの行き違いはまず無理ですが、一般車は双方向の通行が可能で、かつ東八道路への抜け道となっているため、かなり詰まります。

バスの運行頻度は満足度高! でも激セマ

 狭い道でも高頻度に運行する路線もあります。

国分寺第三中学入口付近(国分寺市)

●経由するバス
・立川バス「国21」国立駅〜けやき台団地

 国立駅北口から北のけやき台団地へ向かう立川バスの「国21」系統は、狭隘路線として比較的知られた存在です。途中の稲荷神社〜国分寺第三中学入口〜高木町間が、極端に狭いのです。

 この「稲荷坂通り」は、直線的ながら、普通車でもすれ違いに難儀する住宅街の区間が700mほど続き、そこをバスが双方向で行き交います。特筆すべきは本数の多さで、朝は6分間隔の時間帯もある、いわば“ドル箱”路線。そのため、途中の国分寺第三中学入口バス停などが退避スペースを兼ねているほか、沿道に配置された誘導員が運行をサポートしています。


国分寺第三中学入口に到着する国立駅行きのバス。反対側のバス停は退避スペースになっている(乗りものニュース編集部撮影)。

 国分寺市のエリア別住民アンケートの資料を見ると、沿道の高木町・西町エリアは、「バスの運行頻度」に関する満足度は市内で最も高くなっています。しかし、道の狭さから自転車の利用を控えているという意見もあるほどで、歩行空間・自転車走行空間を確保するための対応が課題とされています。

2km続く激セマ区間!

 幹線道路から一歩入って狭隘区間を行くバスもあります。

西の久保通り(小金井市)

●経由するバス
・京王バス「武51」武蔵小金井駅南口〜貫井南町五丁目〜東京経済大学前〜武蔵小金井駅南口(西之久保循環)

 中央線の武蔵小金井駅と京王線の府中駅方面を結ぶ小金井街道から、脇道に逸れて住宅街を循環する路線。その脇道にあたる「西の久保通り」は、双方向通行なものの、すれ違い困難なためバスは一方通行です。

 貫井南町五丁目で右折してもなお狭隘区間は続き、野川に近づくと見通しの悪いカーブも。さらに東京経済大学にかけては、小金井の名物ともいえる河岸段丘の長い急坂を駆け上がります。こうした狭隘路線の風景は、延々2kmにわたって続きます。


西の久保通りを行く京王バス武51(乗りものニュース編集部撮影)。

 ただ、1乗車100円の小金井市コミュニティバス「CoCoバス」(同じ京王バスが運行事業者)とルートが競合し、そちらに武51の乗客が流れている側面があることから、小金井市が両路線の再編案を打ち出しています。CoCoバスのルートを一部、武51と重複するように変更し、利用者の多い朝夜は武51を、昼間はCoCoバスを主に運行するというもの。このため、2022年度内にも、大型バスで走る武51は朝夜のみの運行となる可能性があります。