渋谷駅のなかでも、かつて大きく南側へズレていた旧埼京線ホームの解体工事が大詰め。遠かった乗換の記憶ごと、その面影を無くしつつあります。その旧埼京線ホームを経由して到達していた新南口は、どうなるのでしょうか。

ついに一部が「跡形もなくなった」ホーム


ホーム撤去が進むJR渋谷駅の旧埼京線ホーム(乗りものニュース編集部撮影)。

 JR渋谷駅の埼京線ホームが今の位置へ移設されてから、2年半となります。かつては山手線ホームに対して南側へ完全にズレた位置にあり、東急や銀座線へ乗り換える際は、延々とホームや通路を歩く必要がありました。

 こんなヘンテコなホーム配置であったのは、貨物線を埼京線として旅客化した際に、山手線の周辺にホームを設置するスペースが無かったからです。

 その後、山手線ホームの真横にあった東急東横線の渋谷駅は地下化。そして渋谷駅周辺の再開発にともない、埼京線ホームは山手線と同じ位置に移設されました。残された旧ホームの一部は通路として使われています。

 2022年12月現在、旧埼京線ホームのうち、「新南口」の階段より南側の部分については、ほぼ解体済み。ただし末端部のわずかな部分だけは、機械室がある関係か、解体は最小限で残されています。

 また、現在の埼京線ホームから、新南口までの範囲も部分的に解体が進み「ただの通路」の状態に。もはや旧ホームの面影を残すのは、ポツンと残った末端部のみです。

 JR東日本は、ホームを撤去したあとのスペースについては、特に活用方法は決めていないとしています。

 一方、新南口は再開発後も残されます。橋上駅舎の「南口改札」から改札外へ出たあと、新南口までの通路が別途整備される計画となっています。そこからさらに、西側の桜丘地区への跨線橋が建設中。線路で分断されていた渋谷駅南側エリアに、新たな東西自由通路が生まれることになります。

 かつては、「山手線と埼京線・湘南新宿ラインを乗り換えるなら、渋谷と新宿はやめておいたほうがいい、恵比寿か池袋にしとけ」などとまで言われていた、悪名高い埼京線渋谷駅。都心の珍景のひとつであったこの風景も、いよいよ記憶の彼方のものとなっていきます。