不正により04−05季、05−06季の優勝剥奪に加え、B降格とカルチョ・スキャンダル判決一人負け状態のユーベ(ユベントス)が今後の方針を訴えた。名門復活に向け掲げたスローガンはなんと「サムライ」、日本が世界に誇る武士道こそが今のユーベに必要だと判断した結果だった。

ピアチェンツァとの練習試合が行われた16日、イタリア有数の名家でありユーベを支えるアニェッリ一族が突然現場に姿を現した。30歳の若さでフィアット副社長を務めるジョン・エルカンとその弟ラポ・エルカン(28)、予期せぬ訪問にサインを求めるサポーターも出現、“ユーベ番”として各社のエースが揃う報道陣も騒然となった。

穏やかな外見とは裏腹に切れ者として知られる兄ジョンが丁寧に関係者と接する中、コカイン中毒で病院送りを経験した弟ラポは多くの報道陣を前に持論を展開した。丁重な態度により肝心な質問を牽制する兄とは対照的に弟ラポは「忠誠こそが何より大事。ピッチと言う戦場に律儀な忠誠心と結束を持って降り立つ。今のユーベに最も必要なのはサムライ道」と高らかに宣言した。

突然の仰天宣言に翌17日のガゼッタ・デッロ・スポルト紙も大慌て。「ユーベはサムライになる」との見出しで特集、掲載された甲冑写真には「封建制度の下、武術、禅に長けた日本古来の武士」の説明が付くオマケ付き。

今回のスキャンダルは一部の権力者、審判に起因するものであり選手には一切非がない。クラブという本丸繁栄のため、戦場で努力してきたが徒労に終わった選手も多いだろう。ユーベ愛に溢れる弟ラポ、右手首に彫ったユーベ・エンブレムのタトゥを誇示しながら訴えた「サムライ道」の行方に注目が集まる。