厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第28回:アンティーゾ

 先日のGII東京スポーツ杯2歳S(東京・芝1800m)で2着になったダノンザタイガーをはじめ、今年も楽しみな2歳馬が数多くそろっている美浦トレセンの国枝栄厩舎。これからデビューを迎える若駒のなかにも、期待の素質馬が控えている。

 アンティーゾ(牡2歳/父エピファネイア)も、その1頭である。

 同馬の母は、古馬になってから重賞戦線で活躍したヒカルアマランサス。4歳になってGIII京都牝馬S(京都・芝1600m)で初の重賞制覇を飾ると、そこから2戦後のGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)では、8番人気の伏兵ながら2着に入った。それも、断然人気の女傑ブエナビスタにクビ差まで迫る奮闘ぶりだった。

 ヒカルアマランサスは、その後も重賞戦線で力を発揮。勝ち星を挙げることはなかったが、GIエリザベス女王杯で5着と善戦し、GIII愛知杯(小倉・芝2000m)、京都牝馬Sでは3着、2着と勝ち負けを演じた。

 引退後は繁殖牝馬となり、第2のキャリアをスタート。初子から通算4勝を挙げたギモーヴを出すと、やがて重賞馬も送り出すことになった。それが、2018年生まれのホウオウアマゾン(牡4歳/父キングカメハメハ)だ。


重賞戦線で活躍するアンティーゾの半兄、ホウオウアマゾン

 同馬は3戦目にオープン特別を勝って、続くGIIデイリー杯2歳S(阪神・芝1600m)でも2着と好走。3歳になって、GIIIアーリントンC(阪神・芝1600m)で重賞初制覇を果たした。

 以降、戴冠を遂げるまでには至らないが、GIIスワンS(阪神・芝1400m)で3着、GII阪神C(阪神・芝1400m)で2着と好走。さらに4歳となった今年も、GIIマイラーズC(阪神・芝1600m)で2着に入るなど、力のあるところを見せている。

 そんな母と兄姉を持つアンティーゾ。厩舎スタッフは同馬について、どう評価しているのだろうか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「スタッフによれば、『アンティーゾはもともと大きな馬で、入厩時の馬体重は530kg〜540kgほどあった』とか。それでも、追うごとに馬体は絞れて『今は510kgほどになり、追い切りを重ねるごとに動きはよくなっている』とのことでした。調教に騎乗したスタッフは、『走ってきそうな雰囲気はある』と好感触をつかんでいるようでした」

 ただ、アンティーゾはこのままデビュー戦に向かうことはなく、一旦放牧に出る予定だという。その点について、先述のトラックマンが続ける。

「素材がいいので、『今回の放牧で体がよりシャープになり、パンとしてくれば』とスタッフ。それだけ陣営の期待も大きく、(放牧先で)さらにしっかりした体に仕上げていきたい意向のようです。素質のよさを考慮して、焦らず成長待ち、というところでしょう。

 なお、アンティーゾの特徴について、スタッフからは『脚さばきはパワフル』『一瞬のキレよりは、持久力勝負が向いていそう』といった声が聞かれました」

 これからさらなる成長を促して、デビューに向けて万全の態勢を整えていくアンディーゾ。初陣ではどんな走りを見せてくるのか。その日が来るのが待ち遠しい。