激闘来たる! カタールW杯特集

サッカーIQラボ 〜勝負を決めるワンプレー〜

Question 
後方でボールを持ったロメロからアルゼンチンはどのように相手を崩したか?

 カタールW杯グループC第3節のポーランド対アルゼンチンが行なわれ、アルゼンチンが2−0で勝利。アルゼンチンはこれで2勝1敗の勝ち点6で首位通過を決めた。

 一方、ポーランドも勝ち点で同ポイントのメキシコに得失点差で上回り、グループ2位通過となった。

 アルゼンチンは、前半から圧倒的に攻めながらポーランドのゴールを割ることができなかった。しかし、後半1分にアレクシス・マック・アリスターのゴールで均衡を破ると、22分にフリアン・アルバレスが追加点を奪い、2−0の快勝となった。

 今回は、アルゼンチンの先制点のシーンをピックアップする。

 後半1分、アルゼンチンが後方からのビルドアップで、中盤でボールを受けたボランチのロドリゴ・デ・パウルが、クリスティアン・ロメロにバックパス。そのまま低い位置にポジションを取った。


ロメロがフリーでボールを持ってから、アルゼンチンはどのように相手を崩したか

 ロメロがフリーでボールを持った次の場面で、アルゼンチンはどのようにラインブレイクをして崩したか、というのがQuestionである。

Answer 
モリーナが中間ポジションで縦パスを受け、右サイドを崩してクロス

 ポーランドがDF4人、MF4人でタイトに守るラインを、アルゼンチンが鮮やかに破ってゴールへつなげたシーンである。


モリーナが中盤背後の中間スペースで縦パスを受け、右サイドでの展開からゴールが生まれた

 まずポイントになるのがロドリゴ・デ・パウルのポジション。低い位置に落ちることで、右サイドバック(SB)のナウエル・モリーナを高い位置に押し上げ、ポーランドのヤクブ・カミンスキに対して数的優位を作れている。

 この時、リオネル・メッシが中盤に落ちて、ポーランドのクリスティアン・ビエリクがピン留めされ、左SBバルトシュ・ベレシンスキはアンヘル・ディ・マリアを見ているため動けなかった。

 カミンスキはこの背後の状況が見えていない。それでもモリーナへのパスコースを切りながらデ・パウルへボールが出た瞬間にいつでも前へ出られる立ち位置を取っていた。

 次の瞬間、ビエリクがカバーに入れないと見るとモリーナがカミンスキの背後の中間ポジションに入り、ロメロからの縦パスを呼び込んであっさりとラインブレイクに成功。

 モリーナはライン際のディ・マリアへボールを渡すとそのままオーバーラップ。右サイド深くに進入すると、最後は中央でアルバレスが守備ラインを深く押し込み、手前のスペースに走り込んだマック・アリスターにクロスを入れて先制点となった。

 タイトな守備を前にしても、立ち位置により優位を作ったアルゼンチンのビルドアップが見事なシーンだった。

 初戦はつまずいたものの本来の強さを取り戻したアルゼンチンが、決勝トーナメントのラウンド16オーストラリア戦でどんなパフォーマンスを見せるか注目である。