16日、ドイツW杯優勝国イタリア対クロアチアの親善試合は0−2でクロアチア勝利に終わった。海の街リボルノから南アフリカへ向け再出航したアズーリ(イタリア代表)は王者の風格を漂わす事無くティレニア海に沈んだ。

W杯優勝の余韻に浸った“お祭り”ムードで始まった親善試合だったが、浮かれていたのはイタリアだけだった。試合前に危惧した「どの国もW杯優勝国を倒しにやってくる(ドナドーニ監督)」が皮肉にも見事に的中、クロアチアは試合開始直後からファウル覚悟の激しいタックルを繰り返し、W杯王者打倒に向け荒れ試合に持ち込んだ。予想外の展開に慌てるイタリアを横目にクロアチアは前半20分、ブラジルから帰化したダ・シウバが先制ヘッド、同終了間際にベテラン・ラパイッチの豪快なロングシュートのこぼれ球をスルナが押し込み0−2と理想の試合展開で前半を締めくくった。リベラーニが機能せず攻守共にバランスを欠いたイタリアは後半、4−3−3から4−4−2へ修正。勝利に向け冷静さを取り戻して挑むも、最後まで集中力を失わなかったクロアチアに一矢報いる事さえ出来ずに終わった。

W杯メンバー不在、将来を見据えた若手メンバー主体で挑んだイタリアだったが、王者の事情などクロアチアには全く関係のないものだった。クロアチアの親善試合の域を間違いなく超えていたラフプレイ、モチベーションが「金星」獲得を生んだ。

開始前の期待はいつしか失望へ、失望はブーイングへと変移した。ハーフタイム中にはサポーター間でトラブルが発生、約250人のクロアチア・サポーターを警察隊が取り囲む異例の親善試合。両チーム合わせて8枚のイエローが乱れ飛んだ荒れ試合に敗れたドナドーニ監督は「クロアチアのコンディションが良い事は始めから知っていた。これからW杯メンバーも復帰してくる」と苦しい表情で強がるのが精一杯だった。