厳選!2歳馬情報局(2022年版)
第27回:ウォーターハウス

 11月27日にGIジャパンC(東京・芝2400m)が行なわれるが、2015年の同舞台で戴冠を遂げたショウナンパンドラの子がまもなくデビューを迎える。

 栗東トレセンの高野友和厩舎に所属するウォーターハウス(牡2歳/父ロードカナロア)である。


2015年のジャパンCを制したウォーターハウスの母、ショウナンパンドラ

 冒頭でも記した同馬の母ショウナンパンドラは、2013年の暮れにデビュー。高い素質を秘め、早くから期待されていたが、翌年の3歳春のクラシックには出走できなかった。

 しかし、秋になると才能が開花。オープン特別の紫苑S(新潟・芝2000m)でクビ差の2着に入ると、3歳牝馬三冠の最終戦、GI秋華賞(京都・芝2000m)に出走した。

 3番人気に推された同レースでは、後方集団の先頭をスムーズに運んで、3コーナー過ぎから最内を徐々に進出。直線では、内の狭いところを抜け出して早め先頭に立つと、最後はオークス馬のヌーヴォレコルトの追撃を振りきって、GIのタイトルを手にした。

 その後、古馬になってからも重賞戦線で奮闘。GI宝塚記念(阪神・芝2200m)では3着と好走した。

 さらに、秋になってからも強豪牡馬相手に力を発揮。GIIオールカマー(中山・芝2200m)を快勝すると、続くGI天皇賞・秋(東京・芝2000m)でも4着と善戦した。

 そして迎えたジャパンC。道中は中団をリズムよく追走していたが、直線では一斉に仕掛ける馬群のなかに包まれてしまう。だがそこから、何度か前が壁になるシーンがありながらも、怯まずに進出。ゴール目前で先に抜け出した1番人気のラブリーデイ、内から強襲してきたラストインパクトを外からかわし、GI2勝目を飾った。

 5歳になってからも重賞の舞台で上位争いを演じていたが、GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)で3着になったあと、宝塚記念に向けて調整する過程で故障。放牧後も回復に至らず、秋には引退して繁殖牝馬となった。

 そのショウナンパンドラが2020年に産んだのが、ウォーターハウス。母も管理してきたスタッフらは、デビューに向けて調整を続ける同馬について、どう見ているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンが話を聞いてきた。

「ウォーターハウスについてスタッフは、『水準レベルで動けており、(調整は)順調に進んでいる。追い切りに騎乗した西村淳也騎手の感触もよかった』と話していました。馬体重は450kgほどで、『気性もおだやかで、距離は長めのほうがよさそう』とのことです」

 また、入厩してからの成長ぶりについて、スタッフはこう話しているという。先述のトラックマンが続ける。

「同馬の成長速度についてスタッフは、『ゆっくりめ』と言っていました。とはいえ、その点については『母も晩成だったから』と意に介していない様子で、『実戦に行ってから、よさが出そう』という見立てです。加えて、『父のいい部分もきちんと出ている印象』と言って、デビュー戦での走りに期待しているようでした」

 初陣の予定は、12月4日の2歳新馬(阪神・芝1800m)。鞍上は西村騎手が務める。はたして、ジャパンCを制した名牝の子はどんな走りを見せるのか、注目したい。