06−07季開幕に備え各地で合宿を行っているセリエAクラブ。カルチョ・スキャンダル、W杯優勝熱が徐々に冷めつつあるイタリアだが、南イタリアの情勢は熱くなる一方。世界的観光地シチリアに拠点を持つパレルモ、カターニャ、メッシーナ、イタリア半島のつま先に位置するレッジーナ、踵に位置するレッチェによる5クラブの思惑が激しく入り混じっている。

悲願のA昇格を果たしたカターニャはA定着を狙い今夏の移籍市場で積極的に補強、2度とBには・・・の声が聞こえてくる。05−06季を降格圏内の18位で終えたメッシーナ、ユベントスB降格判決を受けA残留濃厚にも浮かれてばかりはいられない。シーズン終了直前から燻った紛争の火種、クラブとサポーターの一触即発状態はシーズン終了後の「この街はBが似合っている(フランツァ会長)」発言で炎上。セリエAとして迎える可能性の高い06−07季だが、サポーターによる年間予約席不買運動は勢いを増すばかり。

02−03季にA再昇格を果たし、着実にA定着の道を歩んでいたレッジーナにもスキャンダルの火の粉がふりかかった。04−05季での6試合が不正に絡んだ疑いで現在、捜査当局からセリエB降格を訴えられている。寝耳に水のフォーティ会長は移籍市場巡りから、お役所巡りへと余儀なくされている。判決が出る頃には移籍市場も幕を閉じるだろう。レッジーナの動向に目を光らせているクラブがある。05−06季を19位で終了、早々とB降格となったレッチェだったがA残留に一縷の望みをかけ判決を待つ。レッチェ会長ペレグリーノが「状況を注意深く見守る」とダンマリを決め込む中、レッチェ市長ボルトーネは「(レッジーナB降格可能性の)ニュースを聞き、喜びで一杯だ」と立場を忘れ爆弾発言、取らぬ狸の皮算用に走る。

対岸の火事を高みから見物する南部一人勝ちのパレルモ。05−06季を8位で終了するもユベントス、フィオレンティーナ、ラツィオの自滅により5位昇格、UEFA出場権を棚ぼた獲得。クラブ、選手、サポーターの“モチ”ベーションは高く、万全の態勢で新季開幕を迎える。

南部イタリアにとってセリエAクラブの存在は市民の誇り。隣町を激しく罵るイタリアで、セリエAクラブという「印籠」を誰が握る事になるだろうか。