バンク・オブ・アメリカのアナリストであるジェイソン・ハース氏が「カードを過剰に印刷することで、マジック:ザ・ギャザリングの長期的な価値が破壊されています」と述べたところ、世界初のトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」を出版する「ウィザーズ・オブ・ザ・コースト」を子会社に持つ「ハズブロ」の株価が5%以上も急落しました。

Magic: The Gathering owner Hasbro is ‘killing its golden goose’ analyst - Polygon

https://www.polygon.com/23458064/magic-the-gathering-overprinting-hasbro-stock-downgrade

新型コロナウイルスの流行でトレーディングカードゲームの売上は約2倍になったとされており、マジック:ザ・ギャザリングも2021年から2022年にかけて好調な売上を記録しています。そのため、 マジック:ザ・ギャザリングはハズブロの年間収益の約35%を占めるにまで成長しています。

しかし、ハース氏は「マジック:ザ・ギャザリングの成長はプレイヤー人数の拡大ではなく、各プレイヤーからより多くの収益を引き出すことによって成長しています」と指摘。

以下は1年間で発売されたマジック:ザ・ギャザリング製品の数です。2020年以降の発売数が急激に増加しているのが一目でわかります。



さらにハース氏は2022年11月28日(金)から発売される「30th Anniversary Edition」のセットについて批判しています。999ドルのこのセットには、通常1パック約5ドルのカードパックが4パック含まれているそう。しかし、このパックには「Black Lotus」のような非常に人気で価値のあるカードが含まれています。



このセットの問題は、価格の高さだけでなくハズブロが再販しないと公言していたはずのカードが含まれているという点にもあります。

ハース氏はハズブロの過剰生産に対して、「最終的に熱心なファンの喪失につながり、古い製品をより多く販売するためには、今後印刷部数を削減する必要があります」と述べています。

ハース氏は「マジック:ザ・ギャザリングは熱心なファンを抱えていますが、カードの過剰生産が続けばカードの価値低下によりプレイヤーやコレクターがポケモンカードゲームや遊戯王OCG デュエルモンスターズなどの他のトレーディングカードゲームに流れてしまう可能性があります」と、カードの過剰生産によるファンの減少を危惧しています。