サーフィンや釣りの基地に露天風呂も！50代夫婦が建てた、中庭プランの家
子育てを終えた50代の夫婦が建てた、アウトドアライフを満喫する家です。釣りにヨット、サーフィン…マリンスポーツ好きの夫は、中庭をはさんで母屋の向かいに、倉庫とゲストルームつきの秘密基地のような別棟を実現。ミニキッチンのある屋根つきの土間で、魚をさばいたり、バーベキューしたりすることもできます。また中庭のデッキには、アウトドアバスも！ 大人の遊び心あふれる住まいです。
時間を気にせず行動できるゲストルームが大好評
Aさんの家 愛知県 家族構成／夫50代 妻50代
設計／玉木直人（GA設計事務所）
「同じ趣味の仲間が集まることが多いので、趣味に特化した場所を設けたのは大成功でした」。そう顔をほころばせるのは、マリンスポーツ好きで理想の家を実現したAさん。
夫婦ふたり暮らしの住まいは、母屋の正面に庭をはさんで別棟があり、ここがマリンスポーツの基地。道路側に倉庫、奥にゲストルームがあり、中間を屋根つきの土間空間がつなぐ長方形の建物です。
「早朝釣りに仲間と出かけるときにも、ゲストルームがあるので気兼ねなく滞在してもらえるし、釣果は別棟の土間にあるミニキッチンで調理して、すぐバーベキューです」（夫）
アウトドアを楽しむ家のこだわりポイント
趣味のマリンスポーツに関する「もの」や「こと」は、すべて別棟に集約したAさんの住まい。外遊びを住まいに生かす、そんなポイントを紹介します。
1.使いつくす庭の形
目で楽しむ要素が多いのですが、Aさんの家の庭は、趣味の道具を組み立て、手入れし、片づけるための「用の庭」。芝生は道具を傷めないための緩衝材の役割も果たしています。
2.外部からの視線をコントロール
同じくマリンスポーツ好きの子どもたちや仲間と気の置けない時間を過ごすことが多いAさんの家。プライバシーを守るために道路側にはRCの壁が立てられ、東側の隣地境界には最小限の大きさの塀が設けられています。
3.釣った魚は母屋に持ち込まずここで調理
別棟の中央部分は屋根のついた土間空間。流しとガスコンロが置かれたミニキッチンで釣ってきた魚をさばけば、そのまま仲間とバーベキューが楽しめます。
4.海から帰ったらすぐにシャワー
道路側の入り口に近いところにシャワーが設置されていて、サーフィンなど海から戻ったらここで海水や砂を洗い流せます。サーフボードや釣り道具も一緒に洗い流せば、あとで手入れをする面倒がありません。
5.朝夕のリラックスタイムが楽しめるテラス
「夏の朝や夕方の涼しい時間、ここでうたた寝をするのは最高です」と夫。また、軒が深く、風の通るテラスは春や秋にはアウトドアカフェスペースとしても活躍。フラを習っている妻が友人を招いてティーパーティを催すことも。
6.アウトドアバスとつながる洗面室
海から戻った夫や仲間がシャワーを浴びて、アウトドアバスを使ったあとはリビングの開口部か、洗面室の出入り口から母屋に入れるようになっています。また、洗面室は洗濯乾燥室と隣接。洗濯物の処理も効率的です。
7.庭とリビングをつなげる土間空間
リビングの庭側の様子。天井までの高さがある2方向の大開口と土間によって、庭とシームレスにつながっています。
「うちを訪ねてくる人は、玄関を使わずたいてい庭から入ってきて、ここから出入りするんです」（妻）。
8.内と外がつながる浴室
アウトドアバスがあるのは、母屋の浴室の前。
屋内で入浴中に気分を変えて外の浴槽につかることも可能です。ちなみにアウトドアバスは深い軒の下にあるので落ち葉などが入ることもなく、メンテナンスがラクに。
間取り図と外観、周囲の環境について
●間取り
●外観
前面道路との間に余白を持たせたことで、道路から見たときに圧迫感は感じられません。
駐車スペースに面して建つ別棟の倉庫。車を止めて道具の積み降ろしがしやすいよう考えられています。
少し引っ込んだ場所にある玄関扉。気の置けない来客が庭から入ってくるというのもうなずけます。
伸びやかで気持ちいい！庭とつながる土間リビング
母屋の中央に位置するリビング。2面が開口部になっていて、庭の様子がひと目でわかります。中央にでんと構える薪ストーブはヨツール社製。冬のAさん宅を穏やかに暖めます。
この家のこだわりポイント
1.季節を問わず大活躍のアウトドアバス2.プライバシーが守られた庭
3.庭とリビングをつなげる土間空間
4.収納の充実で、家族それぞれが自分の持ち物を管理
趣味用の基地の快適さをさらに盤石なものとしているのが、母屋側のテラスに設えられた、アウトドアバスの存在。リビングの隣、浴室の前という位置にあり、大人が3〜4人入っても余裕がありそうな大きさです。
「バーベキューで体がべたべたしても、すぐに風呂につかれると仲間からも大好評です」（夫）
母屋に目を転じると、西側の玄関から東に向かって和室、ダイニング、リビング、水回りというプランニング。リビングの庭側は、中央に薪ストーブがある広い土間空間が広がり、屋内と庭をシームレスにつないでいます。
「以前はマンション暮らしだったので、釣った魚をさばけばにおいがこもるし、夫の趣味の道具が多くて収納も大変でした。それがこの家では全部別棟でまかなえるので、私にとっても暮らしやすい家です」と妻。日常とセパレートした趣味の場所は、Aさんの暮らしをより豊かなものに変えていました。
庭と直行する形で置かれたダイニングテーブルは、どこに座っても芝生のグリーンが目に飛び込んできます。奥に見えるのはキッチンとダイニングを隔てるハッチ。「キッチンはなるべく見えないように」というAさんの要望をかなえた部分です。
キッチンは収納、ワーキングスペースともに十分な広さ。奥に見える扉は車庫につながるパントリーの扉。
玄関ホールとダイニング、2方向に通じる和室は、仏間として使われています
2階の子ども部屋。2人の子どもは独立していますが、この家に立ち寄ることも多いのだそう。それぞれの部屋に大型のクローゼットがあり、持ち物は各自管理ができるように。
玄関脇には大型のシュークロゼット。奥の扉は車庫に通じています。
別棟の広い倉庫のおかげで道具が増えてもすっきり
庭越しに見る別棟。ガルバリウムの外壁が母屋の左官仕上げと好対照をなします。左側がゲストルーム、右が駐車スペースに面した倉庫部分。中央の土間はアウトドアリビングです。
ゲストルームはプロジェクターが設置され大画面で映像が楽しめます。「ラグビーのワールドカップのときには仲間と連日盛り上がりました」（夫）。
倉庫の中はサーフボードなどマリンスポーツの道具が満載。「マンション時代、これがどこに収まっていたのか本当に謎です」（妻）
この家のデータ＆使われている素材と設備
敷地面積／848.32�屐�257.07坪）
延床面積／260.64�屐�78.98坪）
1階／132.30�屐�40.09坪）
2階／63.64�屐�19.28坪）
ゲスト棟／36.75�屐�11.14坪）
倉庫／27.95�屐�8.47坪）
用途地域／準工業地域
建ぺい率／60%
容積率／200%
構造／木造軸組工法
素材
［外部仕上げ］
屋根／ガルバリウム鋼板
外壁／左官仕上げ
［内部仕上げ］
1階
床／IOCフローリング 壁／左官仕上げ 天井／塗装
2階
床／フローリング 壁・天井／クロス
設備
厨房機器／クリナップ
衛生機器／TOTO、CERA、KAWAJUN
窓・サッシ／LIXIL
