新築でもリノベーションでも、階段は木で造作するケースがほとんど。ドアレールも木製にこだわり、土佐和紙壁紙など自然素材をモダンに取り入れるのが得意という、建築家の向山博さんのお気に入りの建材・設備を聞いてみました。

手頃な価格で個性をプラスできるオリジナルの階段

「金属製だとコストが高くなってしまうという理由もありますが、家の中でもボリュームが大きく、使うより見ている時間が長い階段は、いつも造作で丁寧につくります」

写真は比較的コンパクトな新築一戸建て。1階がワンルームのLDKのため、玄関を入ってすぐ室内が丸見えにならないように、また、北側に位置するダイニングに光が届くように階段を設計。

「ローコストなお宅の場合、どうしても既製品が多くなってしまいますが、木製の階段は、そうしたお宅に比較的手頃な価格で個性をプラスできます」

 

壁をきれいに照らすルーチ・トフ

「わかりやすく言うと、間接照明として埋め込んでもいいし、直づけしてもきれいなライン照明です。いくつかのメーカーから出ていますが、こちらはLuci(ルーチ)という日本のLED照明ブランドの製品です」

写真は、新築一戸建てのダイニングキッチン。リビング、ダイニング、キッチンをつなぐベース照明として設置した事例です。「空間全体というより、壁を照らすというイメージです」。

「点灯していないときもすっきり見えるのがメリット。弊社のオフィスでも同様の製品を使っています」。

 

フローリングの質感を損なわず、広々!粉河のウッドVレール

過去に向山さんが手がけたほとんどの住宅で採用しているそう。

「フローリングに金属製のレールを埋め込んでしまうと、そこだけ目立ってしまうので。木製レールだと違和感なくなじんで、フローリングの質感を損なわず、広々と感じられます。建具を上つりする方法もありますが、やはり金物が目立ってしまうのが悩みどころ」

素材は積層強化木で、サイズや形状のバリエーションも。「自宅にも採用していて、15年暮らしていますが、耐久性という点でも金属製と比べて遜色がないと感じています」。

多少汚れてもそれが味になる土佐和紙壁紙

「またかって言われそうなくらい(笑)、長年使い続けているもののひとつです」。写真はマンションリノベしたお宅の、LDに隣接する和室。

大型の建具の仕上げに、ごく淡いパープルの土佐和紙を使っています。「和紙ならではの質感もいいし、多少汚れてもそれが味になるんですよね。バリエーションも豊富で、ワラや麻など、中に入っているものによっても印象が変わるので、選ぶ楽しみも」。

和紙の中でも薄くて強いのが特徴で、調湿、保温、吸音効果なども期待できます。

 

壁にぴったりつけられるプッシュプルハンドル錠Z

「開き扉は開け放しておきたいとき、どうしてもレバーハンドルがじゃまになってしまいます。壁にぴったりつけられて、すっきり見える金物を探していたときに見つけたのが、こちらのベストという金物メーカーの製品です」

手かけ部分が大きく、操作しやすいのが特徴。「すっきりさせるには、ドアに埋め込むタイプの引き手にする方法もありますが、力を入れにくく、やや開け閉めしにくいのが難点。頻繁に開け閉めするドアの場合は、やはりこうしたタイプのほうが使い勝手がいいと思います」。