年齢を重ね、ものとの向き合い方を考える人は多いです。特に、家族とのこと、自分の体力のことなどを考え、見直すタイミングはやってきます。50代のブロガーの原田さよさんも50代で一気にものを処分したと言います。詳しく教えてもらいました。

50代のうち捨ててよかったもの2つ

私は現在59歳。50歳のときに息子を亡くし、遺品整理をしたのがきっかけで、家じゅうのものを片づけはじめました。

【写真】息子の部屋のタンスを処分したとき

管理しきれないとわかった服や食器や本、写真や書類、思い出の品、もちろんただのガラクタを含め、小さな引き出しから屋根裏部屋に至るまで家じゅうを見直し多くのものを手放してきました。なかでも50代のうちに捨てておいてよかったと思うものが2種類ありました。いずれも、大きくて重たいものです。

ひとつが、来客用の布団。もうひとつが、使わなくなった家具や、使えるけれどサイズを小さくした方がいいと思った家具、目的があって処分しないといけなくなった家具でした。

大きくて重たいものは、年齢を重ねれば重ねるほど「捨てたいと思っても、捨てるのが大変になってくるもの」でもあります。体力、気力、握力がある50代のうちに、手放しておいてよかったと思っています。そんな、今捨ててよかったものを改めてご紹介していきます。

●来客用の布団を処分した理由

来客用といっても、両親が泊まることになったとき使っていた布団で、高級なものではありません。ただ、自分たちが使う布団とは別のものとして保管してきました。

その来客用の布団を最後に使ったのは、10数年前。体調の悪くなった義母をわが家へ呼び、しばらく見守ったときでした。当時はまだ別居していたためそうしたのです。それ以来まったく使うチャンスがありませんでした。来客用にしていた布団を自分用におろすきっかけも逃し、自分たちの布団は先に軽いものに買い換え、子どもの成長に合わせ彼らの布団も買い換えてきたからです。

ただ、来客用だった布団の手入れは続けていました。使わないとわかっていても、たまには干さないといけません。防虫剤も変えねばなりません。その、“使わないもののために手入れを続ける”というのが、もうしんどくなりました。さらに、その布団は、押入れのなかでけっこうな場所を取っていました。これがなければ、もっと必要なものを入れられるはず。そんな理由から、思いきって手放しました。もしその後どうしても必要になったら、割高でもレンタルするか、もっと軽くて扱いやすい今どきの布団を買おうと決めました。

●ひとりでは運べない大きな家具は早いうちに手放したい

これまで、使わなくなった家具や、使えるけれどサイズを小さくした方がいいと思った家具、目的があって処分しないといけなくなった家具などは、処理センターへ運ぶ、家に買い取りに来てもらうか売りに行く、解体して分けて処分するなど、いろいろな方法で手放してきました。

もちろん私ひとりではできませんでした。夫を中心に、娘やお婿さん、夫の友人や同僚、私の義弟など、頼れる人には頼り助けてもらいながらです。

私がこの年齢までに手放してきてよかった家具は以下です。

・子どもがいなくなり余ってきたベッド(フレームが壊れかけていました)

・使わなくなった学習机やドレッサー、カラーボックス

・部屋を広く使うためには邪魔だった子どものタンス

・リフォーム後のLDKに置くには大きすぎた食器棚

・捨てて中身がなくなった食品用の別のラック

・中身を片づけたらスカスカになってきた大きなテレビボード

もちろん、60代になっても70代になっても、重たい布団や大きな家具の処分はできます。体力や気力には個人差もありますし、プロに頼むという手もあるからです。ただ私は、持病で手が使いにくいこともあったので、50代で迎えた2つのタイミングに合わせ、「今しかない」と順番に手放してきました。

家具を手放した2つのタイミングとは…。ひとつは、子どもの結婚、出産などで、泊まれる部屋を1部屋つくりたかったとき。もうひとつが、骨折した義母をよんで同居するため、1階のリフォームをしないといけなくなったときでした。

●50代は変化の多いとき。今のうちにいらないものを捨てて身軽に

59歳になった今、50代はそれまで生きてきたなかでも変化の多い時期だったと感じています。子どもの独立や結婚、自身の更年期や発病、夫の定年が見えてくる、親の介護がはじまるなど、さまざまな変化がありました。

みなさんはいかがですか。私と同世代の人なら、そう実感する方も多いのではないでしょうか。体力が落ちてくることや生活パターンが変わることは、あるていど予測していたからまだいいのです。わが家は同居で介護という状況ですが、まわりの人に助けてもらいながらまあまあ平和に暮らしています。

私が戸惑ったのは、気力の衰えのほう。性格にもよるでしょうが、なんとかしたいという思いはあるものの、感情の振れ幅が大きくなり気持ちがついてこないときがありました。もちろんまだ使える布団や家具を捨てるのですから、罪悪感はありました。親が買ってくれたものならなおさらです。

でも、思い直しました。人生は想像していたより長そうだから、体力も気力もまだあるうちに手放せるものは手放しておきたいと。目に見えるものだけでなく、心にたまっていたものを捨てて少しでも身軽にしておきたいと思いました。

●捨てることに罪悪感があったら…?

みなさんも、もし「もうあの布団はいらないかも」「あの家具もいらないな、使っていないな、なければ部屋が広く使えるだろうな」と思っておられたら、手放すことも視野に入れてみてください。

もったいなくて無理…と思う場合は、目標や目的を先に考えてみてはどうでしょう。自分の趣味部屋にしたいとか、私のように孫たちが泊まりに来るときの部屋がいるからというように。目標や目的がはっきりしていれば、捨てたいのに捨てられないという迷いが消えやすくなります。罪悪感も少なくてすみます。