NPT=核拡散防止条約の再検討会議は、2回連続で最終文書に合意できませんでした。県内の被爆者は緊急会見で失望と怒りを訴えました。

スラウビネン議長「議論に時間が必要です。会議を中断し20分後に再開します」

26日に最終日を迎えた7年ぶりの再検討会議。しかし議論は紛糾していました。

鈴木彩加記者「最後の全体会合は予定から4時間以上経ってやっと始まりました。各国の交渉がぎりぎりまで続いていたものと見られます」

争点となったのはロシアが支配を続けるウクライナのザポリージャ原発です。

最終文書案ではロシアへの配慮から名指しで非難する文言は削除され、大幅に譲歩されていました。

しかしロシアの代表団は最終文書の採択に反対し、会議の途中で議場を後にしました。

2回連続で最終文書が採択されなかったのは1970年の条約発効から初めてです。

異例の事態を受けて県内の被爆者団体が共同で緊急会見を開きました。

県被団協 箕牧智之理事長「ロシアが悪いと一方的な結論のようですが、核の先制不使用はアメリカも反対している。悔しさ はがゆさ 情けなさ 憤り

そういう感じです」

県被団協などの7団体は核兵器の使用と威嚇をしない宣言をするよう核保有国などに働きかけていくとしました。

オンラインではICAN=核兵器廃絶国際キャンペーン国際運営委員の川崎哲さんらが会見し、核兵器禁止条約の支持拡大を目指すべきと訴えました。

ICAN 川崎哲国際運営委員「NPTが機能不全に陥っているいま核兵器を絶対悪と定めた核兵器禁止条約への参加と支持を拡大する。そういう包囲網をつくっていかない限り次回の2026年の再検討会議も同じことが繰り返されると考える」

会議初日に演説した岸田総理大臣はロシアを批判したうえで、あらためてNPT体制を維持する必要を強調しました。

岸田総理大臣「ロシア1カ国の反対によりコンセンサスが成立しなかったことは極めて遺憾。NPTを維持強化することが核兵器のない世界へ向けた唯一の現実的な道」

核軍縮はこのまま停滞してしまうのでしょうか。

岸田総理は広島で開く11月の国際賢人会議や来年5月のG7サミットで核なき世界の実現に向けた国際社会の機運を高めたいとしています。