仙台のDF平岡が、大宮戦での守備について反省を口にした。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

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[J2第31節]仙台2−3大宮/8月13日/ユアテックスタジアム仙台

 ベガルタ仙台は8月13日、ユアテックスタジアム仙台で大宮アルディージャと対戦し、2−3の敗戦。前節の横浜FC戦で勝利して勢いに乗る大宮に、前半だけで3得点を奪われての黒星だった。

 仙台は後半開始から、真瀬拓海、加藤千尋、遠藤康の3人を一気に途中投入し、試合の流れを変える。そして、64分の中島元彦のミドルシュートと89分の遠藤のヘディングシュートで2点を返したが、反撃もここまで。下位に低迷し、J2残留争いの渦中にある大宮が大きな勝点3を得たのに対し、現在3位でJ1昇格を争う仙台にとっては手痛い敗北となった。

 仙台の今季の得点数は、31試合で62ゴールとJ2トップ。1試合で平均2得点のペースとJ2では圧倒的な攻撃力を見せているが、一方で守備には課題がある。

 7月6日の第25節・ヴァンフォーレ甲府戦(3−0)を最後にここまで無失点の試合がなく、今季クリーンシートを達成した試合は8試合しかない。5得点を挙げた第27節・いわてグルージャ盛岡戦(5−1)や4得点の前節・ツエーゲン金沢戦(4−1)のように圧勝を収めた試合でも、ミスから1失点している。そして31試合中15試合と、ほぼ半分近くの試合で複数失点を喫しており、失点の多さが大きな課題となっている。

 こうした現状を36歳のベテランDF平岡康裕はどう見ているのだろうか。まず大宮戦については「セットプレーでもったいない失点をしてしまい、そこから2プレー、3プレーくらいで失点しているので、そこで試合を壊してしまい、相手に流れを渡してしまいました」と振り返る。
 
 とくに悔やんでいたのは11分のセットプレーからの失点だ。相手のCKで、キッカー矢島慎也のクロスに対し、仙台の長身FWフェリペ・カルドーゾがゴール前で競ったのだが、うまくクリアできなかった。このこぼれ球を新里亮に拾われると、菊地俊介を経由して最後は袴田裕太郎に決められてしまった。

 平岡は、「競っているのがフェリペ(・カルドーゾ)ですが、もっと自分を出してクリアしてほしかったです。あれだけ身体があってフィジカルの強い選手ですし、日本人選手に負けるガタイじゃないと思いますので、あそこでもっと自信を持って弾けていたらあの流れはなかったと思います。フェリペも若い選手なので、もっと(自分が)言っていければ良いと思います」と若手や外国籍選手に対して、より自分の持ち味を生かして守備をしてほしいと注文をつけた。

 また、「もったいない失点や(勝っても)1失点して終わった試合もあって、今日などは前半のうちに複数失点してしまっている。ディフェンスをやっている身としてはチームに申し訳ありません。もっと周りとの連係を深めながら、個人のところでタイトにやっていかないといけないと思います」と現状を厳しく認識している。

 ベテランとして自身が何をしなければいけないかを訊くと、「今やっていることをやり続けないといけません。練習でできないことは試合に出ませんし、逆に言えば練習で出てしまったところが試合にも出ているところがあるので、引き締めのところは練習の中から一人ひとり厳しくやらないといけないと思います。それを僕たち上の選手だけじゃないですけど、経験のある選手がしっかり締められるようにできれば良いと思います」と、普段の練習から改善せんと意気込みを述べた。
 
 平岡と同じく、原崎政人監督も練習から改善を図ろうとしている。前半に3失点した結果について、「守れないのは私の指導不足なので、トレーニングをするしかありません。次節は失点を抑えられるように、トレーニングで構築しなければいけません」と口にする。

 指揮官は先週の練習後の囲み会見で、「もっと攻撃の時間を作れたら、守備の時間が減る」と持ち味の攻撃を生かした形でゲームコントロールしたいという考えを語っていた。それ自体は一貫したチームコンセプトとして評価できるのだが、ミスが失点に直結する状況は何としてでも改善しなければならない。
 
 平岡は「前半のうちに自分たちのチャンスがなかったわけではないので、そこで決め切れていれば、早い段階で自分たちの流れになって、試合展開が変わったかなと思います。ただそれでも前半に3失点してしまったという事実があるので、ホームでこういう試合はしてはいけないと思います」と反省の弁を語る。

 チームは苦しい状況が続いているが、ベテランDFは逃げずに課題に立ち向かい、仙台を悲願のJ1復帰へと導くため、日々の練習から努力を重ねる。

取材・文●小林健志(フリーライター)

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