日常を取り戻しつつある東京では、勢いあるレストランのオープンが続いている。

「あの店、もう行った?」と会話のきっかけになる新店情報は、大人なら押さえておきたいところ。

今回は、誘われるとテンションが上がる話題の新店を4軒紹介する!



※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。




▽INDEX

1.食材をアートに仕上げる銀座フレンチの新星

2.カウンターの雰囲気が最高!遊び心が光る青山の新店

3.港区民が愛する一ツ星中華を、西麻布の隠れ家で

4.お洒落焼肉の先駆者が手掛けた、中目黒の新店


1.食材をアートに仕上げる銀座フレンチの新星
『TROIS VISAGES』

2022/4/21 OPEN



スペイン料理の「タコのガリシア風」に着想を得た一品。焼いたパプリカで作ったシートの下には、軽く炙った水ダコの足や塩レモンと合わせたオクラが。パプリカパウダーでマリネしたタコの吸盤やキクの花びらを飾って


華やかな銀座から少し離れた、「新橋演舞場」にほど近い静かな一角。

ここに、フレンチレストラン『TROIS VISAGES』がこの春オープンした。

フランス語で“3つの顔”という意味の店名には「レストランは“ゲスト”と“スタッフ”、そして“生産者(から届く食材)”という三者が一同に集う劇場」という思いが込められている。

そんなコンセプトにそぐうように、厨房とカウンター席との距離感は緊密で、まるでステージのよう。


シェフの自信が窺える、潔いフラットなカウンター


視界を遮るものが何もない、潔いまでのオープンキッチン。

カウンター内は、細かなツールに至るまで空間の雰囲気を損なわぬよう色や質感に配慮が。隅々まで美意識が満ちる。



厨房内を切り回すのは、名店『ル・マンジュ・トゥー』で料理人としての基礎をしっかりと身に付けた國長亮平シェフ。

優れた素材を育む生産者の思いをきっちりと汲んだ上で、ベストコンディションを迎えた旬の食材を、心に残る美的な逸品へと仕上げている。


「素材を見せる」ショープレートで始まる12品のコース


ゲストを迎える「ショープレート」として登場するボウルには、コースに使用するハーブを敷き詰めた。

中には単語帳スタイルのメニューが。




「極エノキのソーセージ」は、味と食感の良さがずば抜けている高知「横田きのこ」が育てる「極みえのき」を、豚肉と合わせてソーセージに。

ウズラの目玉焼きとともに、陶芸家のKeicondoさんに特注した皿でいただく。




サクランボとチョコレートを使うお菓子「フォレノワール」を、國長シェフ流に構成。

赤ワインでマリネしたチェリーや、チェリーのパルフェを詰めたカカオのチュイル、グラノーラのボールをあしらい、ショコラショーのソースを。



全12皿からなるディナーコース(14,300円)の中には“これまで主役になることがなかった食材”にフォーカスすることで、ほかでは味わえないひと品に変身させた「極エノキのソーセージ」などもいただける。


再来したくなる、川俣シャモの旨みをいただく透明なコンソメ


「極エノキのソーセージ」と並ぶスペシャリテが「川俣軍鶏のコンソメ」。

炊き始めてから2時間後に味わいのピークを迎えるスープは、デザートの前、料理の締めくくりに登場する。

鋭い感性から生まれる実直にしてエレガントな料理に、今フーディーの熱い視線が注がれているのだ。


外苑前の人気イノベーティブが、青山に姉妹店をオープン!


2.カウンターの雰囲気が最高!遊び心が光る青山の新店
『W AOYAMA The Celler&Grill』

2022/5/9 OPEN



前店から移築したというアイコニックな六角形カウンターの中央に、ライブ感あふれるグリヤードを配置。さながらアリーナだ

プリミティブな調理法で、本能のままに食を楽しむ


新陳代謝の激しい街・青山で10年以上も支持されてきたワインショップ&レストラン『W 表参道』が、今年5月に場所も新たに生まれ変わり、さらにパワーアップを果たした。

新天地は、骨董通りの1本裏に建つビルの地下。

店名を『W AOYAMA The Celler&Grill』と改めた上、イノベーティブな料理で人気を博す外苑前『JULIA』の“シスターレストラン”という魅力的なコンセプトが加わり、話題性も十分だ。




「グリルドアスパラガス グリーンピースのピュレとミント」(1,500円)は、食材の味わいのみならず色合いもコーディネート。




naoさんと本橋さんのルーツである茨城の県魚・ヒラメに、レモンやハーブを忍ばせて焼き上げる「ヒラメのグリル」2,500円。



「シーフードプラッター5種盛り」1,800円(1名分、写真は2名分)は、牡蠣、タコ、マグロなどの魚介それぞれにフルーツを合わせて旬を表現


『JULIA』のオーナーソムリエである本橋健一郎さんが、店全体をディレクション。そして料理はもちろん、シェフのnaoさんが監修している。

「毎月イノベーティブなコースを提供している『JULIA』とは対照的に、こちらではシンプルで、ワインが進む料理をそろえています。

新鮮な素材を使ったダイナミックなグリル料理や、気軽につまめるアペタイザー、〆のパスタやデザートまで、お好きなように召し上がってください」と、naoさん。


鉄の扉の奥には、熱気あふれるダイニングが


見慣れた赤×青の配色ではないモノクロのサインポールは、アメリカの禁酒法時代に存在した「スピークイージー(もぐり営業の酒場)」をイメージ。

密やかなロケーションだからこその遊び心が光る。


青山らしい艷やかなテーブル席


入口のすぐ横にあるワインセラーには、ヴィンテージワインから自然派や日本ワインまで、約200本を常備。

販売価格+抜栓料900円で、店内で楽しめる。また、ワインの購入のみも可能だ。

インテリアは「LAにあるようなグラマラスなダイニングをイメージしました」と、本橋さん。



ひとりでも、ふたりでも、みんなでも。

深夜でもOKでワインも買えて……と、『W AOYAMA The Celler&Grill』は非の打ちどころがない理想郷だ。


白金高輪の一ツ星中華が、西麻布に姉妹店をオープン!


3.港区民が愛する一ツ星中華を、西麻布の隠れ家で
『麻布 勇』

2022/5/15 OPEN



人通りの少ない、小路に面したロケーション。エントランスの前に置かれた小さな行灯と、窓から溢れる光が目印だ

食べ慣れた大人たちが、素顔で楽しむ心地よいひととき


白金高輪『私厨房 勇』といえば、原 勇太シェフの確かな技術とオリジナリティから生まれる、優しい味わいの料理に定評があるチャイニーズ。

カウンター10席のみとあってなかなか予約が取れないことでも知られるが、この5月に姉妹店『麻布 勇』が誕生した。

同じ港区でも、こちらは西麻布の密やかな裏通りに位置する。


オーダーが止まらない!洗練された料理を気の向くままに


薄い皮にエビがたっぷりと詰まった「海老雲呑 フィッシュソース」1,200円。

点心類はオレンジワインと好相性。



本店の名物である「活鮑の浅利出汁紹興酒バターソース 肝醤油ソース」(3,800円)はこちらでも。貝の旨みをベースにコクのあるソースと、鮑の肝の持ち味を凝縮したソースの2種類を添え、鮑の魅力を多角的に表現


本店と大きく異なるのが、多彩なアラカルトメニューから自由に料理を組み合わせられること。

「ここ数年、自分自身がアラカルトのお店に心惹かれるようになったこともあり、白金とはガラリとスタイルを変えてみました」と原さん。

客席もテーブル席が主体なので、仲間と和やかに過ごしたい夜にもぴったりだ。




「豚トロの広東叉焼」(1,800円)は、広東省特産の濃厚な味噌「柱候醤」や、豆腐の発酵調味料「南乳」を使った正統な味付けで。



「Yungオリジナル トムヤム担担麺」(1,600円)は、原シェフの独創性から生まれた逸品だ。トムヤムクンに欠かせない、タイのハーブが香る「チリインオイル」がまろやかな担担麺にマッチ。一度食べればハマること必至だ


原さんのディレクションのもと、こちらの厨房を任されている料理長は木村和明さん。「The Okura Tokyo」が誇る中国料理店『桃花林』で、約9年間経験を積んだ新鋭だ。

王道のチャイニーズ一筋という経歴だけに『勇』のオリジナルメニューには「最初はその斬新さにびっくりしました」というが、ファンに愛されているその味をしっかりと継承。

選ぶ西麻布か、委ねる白金か。気分で使い分けたい。




『麻布 勇』の店内は、アイボリーを基調にした、温かみのある空間。

3席の小さなカウンターで、料理ができあがる様子を見守るのも楽しい。昼は完全予約制。


世田谷で愛される焼肉店が、中目黒に韓国創作すき焼き店をオープン!


4.お洒落焼肉の先駆者が手掛けた、中目黒の新店
『韓すき 東山』


2022/4/27 OPEN

2000年に世田谷の高級住宅街にオープンし、不動の地位を確立している焼肉店『韓てら』。

デートにもぴったりと人気のスタイリッシュな焼肉店が、新機軸として中目黒に開いたのが、唯一無二の“韓国創作すき焼き”の店『韓すき 東山』だ。


名店のタレと絡まる和牛すき焼きの最強コンビ!

上品な中にもパンチの効いた味わいの牛肉を、たっぷりのフレッシュな野菜(おかわり自由!)と食することで食後感が重たくならないのもうれしいポイント


『韓すき 東山』のメニューはコースのみ。

いずれも、美しい九谷焼で供される濃厚なコムタンスープに始まり、『韓てら』でも人気の自家製キムチや沖縄産もずく、小鉢などといった多彩な前菜ののち、主役の「韓すき」が登場する流れ。

オーナーの高木 徹さんによると「韓すき」とは、薄切りの黒毛和牛に特製の生ダレを絡めて焼き、新鮮な野菜に包んで自家製の薬味を添えつつ味わう、完全オリジナルの鍋。

「ストウブ」のキャセロール鍋でじゅうじゅうと焼かれる肉は甘辛いタレをたっぷりと纏い、出来上がる前から嗅覚や視覚を刺激。

これは、いやが上にも食欲をかき立てる!




コースの〆は、肉の旨みが溶け込み味わいが凝縮したタレの残っている鍋に生たまごを落とし、トロトロに仕上げて“オン・ザ・ライス”!

食べ始めれば最後、レンゲを持つ手が止まらなくなる魅惑の玉子丼だ。



スタイリッシュな店内は、ゆったりとしたテーブル配置も使いやすい。「韓すき」は全てスタッフが仕上げてくれるので、ゲストはただひたすらに舌鼓を打つのみ


最上ランクの「雪コース」(8,900円)ならば、深い旨みをたたえたお椀仕立ての「特選黒毛和牛リブロース」や、しっとりときめ細やかな「やわらか茹で豚」といった上質な一品料理も登場。

肉の達人が誇る自慢の品々に、満ち足りるはずだ。


「50年来、我が家に伝わる味をご賞味ください」


「実は『韓てら』の裏メニューであり、この絶品のタレの美味しさを広めたい、という思いから主役になるよう改良しました」と、高木さんは語る。



続々とオープンする、素晴らしい新店たち。

気になるお店に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

▶このほか:恵比寿デートで行きたい隠れ家3選!駅近なのに落ち着ける、大人の行きつけ店