withコロナはwithマスク時代 2ヶ月待ちで手に入れた「セーラーズ」のマスクに感じた心の交流 - 松崎りえこ
※この記事は2020年07月08日にBLOGOSで公開されたものです
新しい生活様式に、もはや欠かすことのできないアイテム「マスク」。
売り切れ続出、転売続出、さらにアベノマスクでひと騒動と、マスクにこれほど振り回されたことはありませんでした。昨年の夏に大流行したタピオカ屋も、いつの間にかにマスク屋へジョブチェンジしています。
「2020マスクの乱」。今回はそんな荒野に咲いた可憐な一輪の花ともいうべき、素敵なマスクとの出会いについて書いてみようと思います。
おそらくアラフィフ以上の方なら皆さんご存知、80年代を代表するファッションブランド「セーラーズ」のマスクの物語です。
(イラスト・文/松崎りえこ)
始まりは、忘れもしない2月2日
私はアルバイトとして、コールセンターの他にコスメ店員としても働いているのですが、新宿の化粧品や小物を扱うバラエティショップに立っていた2月2日、店舗にいたネイル担当の人に急に話しかけられました。
「ねぇ、最近マスク売り切れてませんか?」
しかしそのときは(そういえば、そんなツイート見た気もするなぁ…)くらいにしか思わず、まったく気にしていませんでした。
同僚の気づきが現実に…
そしてそのネイル担当者の発言からほどなく、今度はお客様から「マスクってありますか?」と聞かれました。
化粧品コーナーで聞かれたものだから、私はてっきりフェイスパックのことかと思い、保湿タイプとか美白タイプのものをいくつか紹介しましたが、「いえ、顔に着ける普通のマスクです…」と言われて、ここでようやくハッとする私。
本当に今はマスクが手に入らなくなって、みんなさまよっているんだ…。
2月末全員マスク着用、3月バイト中止
それからしばらく経った2月後半。勤務先のコスメショップでは、全員マスク着用の指示が出るという前代未聞の事態になりました。
通常は口紅のプロモーションなどがあるため、コスメ店員はマスク着用禁止なのですが、それとは正反対の方針にこれは非常事態だと実感。
やがて深刻さは度を増していき、そのバイトはすべて中止になってしまいました。私たちが派遣される店舗から入店を断られ、見送りになっていったのです。
親類から送られてくる、いろんなマスク
かくしてコスメ店員のバイトはなくなってしまいましたが、一方、コールセンターのバイトはそのまま続行。地獄の電車通勤の毎日です。
そんな私を慮ってか、大分県の親戚からたくさんのマスクが送られてきました。左右で色が分かれているマスクもあって、パッケージには「他人と差をつけるデザイン!」。その斬新さに笑いました。
また、東京郊外に住む叔母からは、手作りマスク用の可愛い布が送られてきました。優しい柄に心が癒やされます。
ファッションブランドも続々とマスクをリリース
その後、マスクの高額転売が問題になったり、政府からもマスクが配られたりと、世はまさに“マスクの乱!”に。
そんな中、ファッションブランドからもマスクが売り出されるようになりました。面白いものはないかとInstagramで探してみたところ、80年代を代表するブランド「セーラーズ」のマスクを発見。
可愛い水兵さん「セーラーくん」のマークと、ポップな色合いが印象的。おニャン子クラブの衣装をきっかけに大ブームになって、マイケル・ジャクソンもスタジャンを愛用したほどなんですよね。
「セーラーズ」のマスクは愛を感じる!
セーラーズのマスクが欲しい…。
社長である三浦さんのFacebookを覗いてみたところ、マスク生地のパターンを選んだり、洗濯して実験をしたり、工場の社長と打ち合わせするなど、セーラーズマスク実現に向けて試行錯誤する様子が綴られていました。
5月になって期間限定販売が開始された瞬間に申し込みをしました。受付窓口はFacebookのメッセンジャー。まさか直接三浦さんから返信が来るとは思わずビックリです。
受付から開発、管理、発送まですべてひとりでやっている三浦さん。脳性麻痺のお嬢様を女手ひとつで育てながら活動している生き様も素敵です。
そして2ヶ月後、ついに到着!
そして2ヶ月後、待ちに待ったセーラーズマスクが届きました~! わーい!
爽やかなストライプとセーラーくんのワッペンが可愛い…。さらにセーラーくんのシールも同封されていました。もったいなくて使えないよ~。どこに貼ろうかな?
三浦さんの気持ちがビシビシ伝わってくる!
このマスクは洗って使えるタイプで、裏地はUV加工も施されています。セーラーズ専属の日本の職人さんが作ったそうで、3cmの繊細なワッペン、裏地には小さなタグ、そしてThank youの文字が…。細かいこだわりに感涙です!
ちなみにマスクの背景は、同封されていた三浦さんの手書きのメッセージ。使い方や洗い方から、素材紹介まで細かく親切に書かれています。
マスクを通した心の交流
早速着用してみました。…か、軽い! しかもシルク加工なので着け心地がとても良い! あと3D立体裁断なので顔の形が良く見えるのもいいですね~。
ひとつひとつに心が込められていて、温かい気持ちになりました。通販でポチれば、次の日には商品が届くことが当たり前な時代になりましたが、まさか令和にこんな感覚が味わえるだなんて!
早速、明日からこれを着けて仕事に挑もうと思います。ありがとう三浦さん…!
素敵なマスクを探してみませんか?
私は新型コロナで暗い気持ちになっていたところに、セーラーズマスクを通して、心と心のつながりを感じることができました。
「withコロナ」とは「withマスク」でもあります。暑くて息苦しい毎日が続きますが、素敵なマスクと出会って気持ちを上げて、うまく付き合っていきたいですね。
通勤の鬼から一言
コロナ禍でもずっと電車通勤を続けていた私。いい加減、毎日白いマスクを着けるのは飽きてしまったので、これだというデザインがあれば買ってみようと思い、素敵なマスクアンテナを張っていました。
そんなときにInstagramで見つけた「セーラーズマスク」。
私は80年代半ば生まれなので、セーラーズの洋服をリアルタイムで着ていた世代ではなかったのですが、もともと80年代のファッションに興味があり、偶然三浦さんのインタビュー記事も読んでいたところだったので運命を感じました。
去年40周年を迎えたセーラーズ、この度ファンクラブページができたそうです。ぜひチェックしてみてください。