都知事選にホリエモンも出馬!? 小池陣営の助っ人? が杉村太蔵とは… - 渡邉裕二

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※この記事は2020年06月16日にBLOGOSで公開されたものです

小池百合子都知事(67)の「一強」「無風」だと思われてきた東京都知事選だったが、ここにきて風向きが変わり始めてきた。

東京都知事選は来週18日に告示され、7月5日に投開票となっているが、小池都知事の無風再選の「圧勝シナリオ」が崩れつつあると言うのだ。

ホリエモン新党は何を目指すのか

12日午後、小池都知事は任期満了に伴う都知事選に再選を目指して出馬表明したが、現時点で〝対抗馬〟として手を挙げている候補者には元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)らがいる。

ところが、そこに割って入ってきたのが「NHKから国民を守る党(N国)」の立花孝志党首(52=前参院議員)である。立花党首は「かねてから親交がある」ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏(47)から承認を得たとして、新たな政党「ホリエモン新党」を立ち上げ、その新党からの出馬となった。

それにしても「ホリエモン新党」設立とは、立花氏独特の悪ふざけとも思えるが、おそらく本人は真面目なんだろう。「それが立花氏ならではの着眼点なのです」とは出版社系週刊誌の芸能記者。一体、どう言うことか?

「選挙の投票年齢が18歳に引き下がったものの、若年層の投票意識はまだ低い。それは政治への参加意識の問題もあると思いますが、逆に『面白ければ何でもいい』と言った考えも持ち合わせているんです。そんな若者たちも、いつもSNSで炎上しているホリエモンは知っています。

知名度があることと支持していることは全く違いますが、やり方によっては引き込むことは可能でしょう。立花党首にとっては、選挙はゲーム感覚なんですよ。話題性と人気さえあれば票を伸ばせると考えているんじゃないですか。

とはいえ、実際に当選するとは思っていないでしょうけどね。立花党首の目指しているものが一体何なのかは分かりませんが…」

最近では、「#検察庁法改正案に抗議します」と呼びかけたハッシュタグがついたツイッターの抗議投稿に、多数のタレントが動いて大きな話題になったが、思わぬところで何が動くか分からない世の中でもある。

ちなみに、「ホリエモン新党」の党名は東京都選挙管理委員会事務局に申請され、正式に受理されている。もっとも、当の堀江氏は現時点では新党に所属していないと言うから、有権者にとっては「?」でしかないが、それ以上に立花党首の「N国」と新党との使い分けがハッキリしない部分もある。

堀江貴文氏の出馬はあるのか

しかし、ここに来て、その堀江氏自身の出馬も現実味を帯びてきている。

「堀江氏の出馬は今年の2月あたりから噂になっていました。どこからともなく立候補に意欲を示していると…。コロナウイルスの感染拡大が収まらない中で危機感が強まったのが理由になっているようですが、その一方では、5月末に発刊した著書『東京改造計画』の宣伝ではないかと言う声もあったんです。

著書の中では『東京都への緊急提言37項』として『現金使用禁止令』や『都職員9割テレワーク』『五輪リモート競技』、さらには『足立区は日本のブルックリンに生まれ変わる』など、実業家のホリエモンらしい仰天の提言をしています。

ホリエモンのことですから都知事になることより出馬することに意味があるのかもしれませんが…。

そもそも立花党首とも継続的に協議をしていたようなので、あの2人の考えは似ていると思っていいでしょう。実際に立花党首も『(堀江氏は)出馬すると思います』なんて明言していますから、公示直前になって突然に出馬宣言する可能性は大でしょう」(スポーツ紙の社会部記者)

かつてはフジテレビの大株主だったニッポン放送の株式取得に動いて世間を騒がせたが、今度はNHKである。堀江氏が気持ちのどこかで放送事業に興味を抱いていることだけは確かだろう。

「在京の民放各局は株式の防衛策の一つでホールディングス化が進み、なかなか手が出せなくなってきていますので、今度は立花党首を利用してNHKとの関わりを持とうなんてことを考えているのでしょうか。あり得ないとは思いますが、こう言った世の中ですからね」(放送記者)

ただ、堀江氏は「郵政解散」と言われた2005年9月の衆議院総選挙に無所属候補として広島6区から出馬したことがあった。この時は国民新党の候補者として出馬していた亀井静香氏(83)の対立候補(刺客)として大きな話題になった。

応援には当時、自民党の幹事長だった武部勤氏(79)や経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏(69=現東洋大教授、パソナグループ会長)らが応援に駆けつけたが、特に武部氏の応援演説での一言「我が弟です、息子です」は、流行り言葉の一つにもなった。

かつて、堀江氏と仕事をしたことのある一人は、

「彼は独立したイデオロギーを持っていますから、都知事選への出馬は十分に考えられます。東大を中退し、その後のライブドア事件のことも含め、人生経験を積んできていることは確かですからね。彼のようにインパクトのある人間が出馬することで都知事選が盛り上がるのもいいじゃないですか。

とは言っても、ちょっとトランプ米大統領に似ていて炎上商法が多過ぎます。目ざとさもある反面、気まぐれなところも多々ある。万が一でも都知事になった時はどうなるか、ちょっと不安はありますね」

と危惧を口にするのだが…。

しかもここに来て「れいわ新選組」の山本太郎代表(45)も出馬を表明。もっとも、立憲民主党と共産党、社民党は宇都宮氏の支援を決めているし、山本氏のバックと言われる小沢一郎氏(78)が属す国民民主党も6月9日に「自主投票」を決めている。

そんな中、小池都知事を青ざめさせているのが熊本県の小野泰輔前副知事(46)の出馬表明だろう。

小野氏は目黒区の出身。東京大学を卒業後、総合コンサルティング会社のアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)などを経て、衆院議員の秘書も経験した。そして40半ばにして熊本県副知事を2期にわたって務めてきた。就任した時は「全国最年少の副知事」として話題となり、県のキャラクター「くまモン」の著作権フリーなどを提唱するなど、ゆるキャラを利用しての巨大ビジネスを展開してきた。

「都知事選は日本維新の会の推薦を得ての出馬です。応援演説には橋下徹氏(50)や大阪の吉村洋文府知事(44)も駆けつけるようです。何と言っても吉村府知事は新型コロナ対策の手際の良さが東京でも評価されていますからね。小野氏が若くてイケメンと言うのも小池都知事にとっては不安の一つでしょう」(都職員)

小池都知事は、新型コロナウイルスの再拡大傾向を受けて続けてきた「東京アラート」を解除したが、あるいは、これも都知事選を見据えてのことだろう。

小池陣営の助っ人に杉村太蔵氏?

公示前に「言い続けてきた3密を避けたかったのではないか」なんて揶揄する声もあるが、小池都知事を支援する自民党にとっても他人事ではないことも確か。都知事選を目前に控え、改めて「結束」を呼びかけている。

「先日(9日)、小池都知事を最も推す自民党の二階俊博幹事長(81)は、赤坂の日本料理店に小泉純一郎元首相(78)や山崎拓元副総裁(83)、さらには武部氏、中川秀直元幹事長(76)などを集めて小池さんの応援を呼びかけ、小池支持で頑張ることを再確認したようです。もちろん二階幹事長は否定していましたが…。

しかも、この席には『サンデージャポン』(TBS)などにもレギュラー出演している杉村太蔵氏(40)まで駆けつけたから笑っちゃいます。これはもう明らかに焦っていると言うことでしょう」(政界ウォッチャー)

勝てば官軍だが、助っ人に杉村太蔵氏とはちょっと情けない。大どんでん返しがないとは限らない。波乱に満ちた都知事選になるかもしれない。