※この記事は2020年05月14日にBLOGOSで公開されたものです

なんでも調べる放送作家の大竹です。今回は、国内だけで827万世帯、約2043万人が入信している創価学会の実態を調べてきました。知り合いの紹介で2年前に創価学会へ入信した男性のインタビューをお届けします。

―創価学会に入ったのはいつ頃ですか。

私が創価学会に入会したのは2018年の3月頃。職場の先輩に誘われたことが入信のきっかけでした。断ることもできましたが、好奇心で入信しました。信仰心があるタイプではありません。入信後は住んでいる地域で学会員としての活動が始まりました。

―地域ごとに分けるというのは、東京でいえば23区とか?

もっと細分化されていて何丁目とかのレベルです。地区ごとにリーダーがいて、入信のための用紙を持ってきてくれました。手書きですね。誘ってくれた人と一緒にリーダーのお宅に伺い、住所・氏名・年齢と、家族が学会員かどうかを記入。私の家族は入っていなかったため、「未入会」と書きました。あと両親の名前も記入。その用紙を地区のリーダーが本部へ持っていきます。これで入会完了です。

―入信するにあたって審査はありますか。

入信そのものに審査はありませんでした。親子で入信しているケースや赤ちゃんの時に入信している人もいます。私の場合は入信から1週間後に自宅で「勤行」と呼ばれるお祈りを行うためのお仏壇が必要だと連絡が来ました。学会員にとって、お仏壇と数珠は必須アイテムです。

仏壇の置き場所は指定される

―仏壇のサイズとか種類は指定されるのですか。

厳密にいえば、お仏壇でなくても構いません。御札みたいなもので、「南無妙法蓮華経」と書いてあることが大事です。これは御本尊様といわれるものですね。お仏壇はなかなかいい値段で、私は3万円のものを購入しました。大きさは縦60cmほどです。観音開きのよくあるお仏壇で、南無妙法蓮華経と書かれた御札が貼ってありました。

購入後、リーダーを含めた3人が自宅まで持ってきてくれました。「これをご安置しますので」と言いながら、私の部屋を物色してどこにお仏壇を置いたらいいのか検討していました。ちなみにリーダー以外の2人とはこの時が初対面です。

―本人が置き場所を決められない?

本人には決められません。お祈りがしやすそうな場所を見極めて、リーダーを含めた3人が「ここがいいんじゃないですか。安定しそうですし」と教えてくれます。私の場合は本棚があったため、漫画が並んでいる本棚の上に安置。お仏壇の裏に両面テープを貼って、固定している状態です。

―お祈りの方法のレクチャーなどがあるのですか。

私の地域では週1回集まって、みんなで勤行をしています。私の場合は、リーダーの自宅の広い部屋に3~4人で集まって勤行をしました。この時に決まりの文言があるため言えないと浮くんですよね。「お前、日頃からやってないだろう」と。

週1回は集まりがあるため、ツッコまれないためにもちゃんとやらなきゃと思い覚えました。1度のお祈りにかかる時間は約5分。暗記するまではカンペを読んでも大丈夫です。

お祈り=勤行は初心者用マニュアル完備

数珠もあります。ポイントは右手に3個、左手に2個というバランス。位置はこれでないといけません。数珠を1回クロスするのも決まりです。これが最初に教えられたことなのでよく覚えています。ちなみに数珠は2000~3000円とお手頃価格でした。

勤行が書かれた紙があるのですが、とても分かりやすく、初心者でも簡単にできるようになっています。「ここを3回繰り返して読む」とか。「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経…」とひたすら繰り返す部分もありますが、そこの時間は自由に決めていいんです。

―勤行と呼ばれるお祈りは1回何分くらいかかりますか。

勤行の長さは思いの強さ、信仰の強さです。長ければ長いほど良いとされていますが、私はあまりできていなくて30分が限界。結構頑張って30分です。集まりの時は約1時間ずっと「南無妙法蓮華経」と言い続けています。

勤行以外に歌もあります。曲のイメージはどちらかといえば軍歌。学会員なら全員が歌えるもので、こちらは大規模な集会で合唱します。

録画中継イベントには芸能人も参加しやすい

―どのような方が参加しているのでしょうか。

青年部の集まりというものがあって、そこには学校を卒業してから40歳までの男性がいます。会社員や自営業など業種もバラバラです。

―どれくらいのペースで集会は開かれるのですか。

月1回です。私は仕事の時間と重なることが多く、毎回は参加できていません。他に、地域の集まりより少し規模が大きい不定期開催の集会もあります。東京で例えれば区の学会員が全員集合するようなもので、私の地区は100人が集まりました。広い会館で行われます。

この大規模な集会のメインはあくまで勤行。全員でVTRを見る時間もあります。「私はこれをやってこういう風に成功しました」という内容です。「創価学会に入会しても辛い。しばらく在籍してもまだ辛い。それでも私は信じ続け、ある時変わっていきました」という話が多いですね。

1本約30分の長さで、2本上映されます。また会館には驚くほどデカいお仏壇があり、高さは約3メートル。観音開きの部分は自動開閉でした。

この大規模な集会は中継で全国の会場を結びます。ライブビューイングのようなものですね。また、数日前に撮影した集会の模様を放送する場合もあります。録画中継の場合はスケジュールの自由が利くため、芸能人の学会員が参加することが多いです。

集会とは違いますが創価学会の運営を育てる「大学校」というイベントもあります。私もまだ参加したことがないため、噂で聞いた話ですが。入会歴の浅い会員が参加するものです。

大学校では創価学会の歴史を勉強します。これを受けることで運営側への道が開けると聞いています。私も今年参加する予定です。

運営になりたいというよりも断る理由がないんですよ。「面倒くさい」の一言では断れない。「仕事で忙しい」という理由もありますけど、365日仕事をしているわけではないため「じゃあ時間作れるよね」と。そうなると参加の一択というわけです。

―入会したことをご両親は知っていますか。

知らないです。言えないですよね。うちは実家にお仏壇があったのですが、創価学会で購入したのは違うお仏壇です。まだ親が一人暮らしの家に来たことはありませんが、もし来た時に何を言われるのかなと不安もあります。お仏壇はとても大きいため、家に来たら一発でバレます。

公明党への投票呼びかけ 電話よりLINEが主流に

―公明党の選挙協力問題について教えて下さい。

選挙では公明党を毎回応援しています。創価学会に入会してから1度参院選がありました。もちろん私は公明党に一票入れましたし、周りの人にも協力を頼みます。電話で頼むのはハードルが高いためハガキを送付。「投票お願いします」というハガキですね。それを知り合いの住所に送っています。

ハガキは立候補者の顔と「投票よろしくお願いします」という一文が書かれたシンプルなものです。

さすがに勝手に送ることはできないため、参院選の時は1人にだけ送りました。送り相手を選ぶため「こういうのを送っていいですか?」と事前にアポを取っています。

中にはアポを取らずにハガキを送る人もいるのですが、私はそれで人間関係が壊れるのがイヤだったため、承諾を取ってから知人に送りました。ノルマはないですが送り先の住所をリーダーに伝えるため、そこで何枚送ったのか分かる仕組みです。

ベテラン会員は何十人と送っているようですが、1~2年目の会員はハガキを送れないのが当たり前のため「君はすごいね、ホープだよ!」と約10人から言われました。

―電話で投票をお願いすることもあると聞きますが…。

電話で勧誘している人もまだいると思います。ただ最近はLINEですね。「便利だ。革新的だ」と話している人が多いです。

LINEで知り合いに直接メッセージを送るというものですが、ハガキよりもハードルが低いため重宝されています。選挙運動は今やハガキよりもLINEによる勧誘が主流になっています。

一方、候補者も選挙運動をしています。地区のリーダーの集会に顔を出して「投票お願いします」とアピールをする。集会に出席した学会員は「候補者の○○さんが来るから」と友達を誘うことができます。

あくまで入会ではなく票を入れてもらうためです。集会で候補者は地区の人の悩みを聞いていきます。「あの道路が狭いので…」とか身近な悩みですね。

創価学会への勧誘は断っても大丈夫

―入会して良かったことを教えて下さい。

何も考えず、ただ正座をして勤行をする時間は割といいなと思いました。強制的に行うことでデトックスになっています。宗教的な部分は置いといて、考えが整理されていく貴重な時間です。忙しい日々の中、そのような時間が生まれたのは良かったことですね。

反対に大変だったことは、眠い時でも集会に参加しなければいけない時です。強制参加ではありませんが、前週に仕事で参加できていないと「今週は行かないと…」となります。

1回の集会は、勤行が約40分でその後の座談会で近況報告会が行われます。報告会では、最近身の回りに起きた良いことを発表したり、学会への勧誘の状況を話します。「会社の部下に入会してもらえるように頑張っています」とかですね。そして最後に池田大作先生のお言葉をみんなで読んで、どういう意味なのかと考えます。

―お金はいくらくらいかかるのですか。

さきほど話に出てきたお仏壇と数珠。それに池田大作先生の本を購入します。あとは年会費が必要で、創価学会ではこれを財務と呼んでいます。金額は最低1万円からで上限はないと思います。

―イベントはありますか?クリスマスは?

クリスマスは関係ありませんね。自宅でお祝いをしている家庭もあります。創価学会のイベントといえば、池田大作先生の誕生日にみんなで集まって勤行をすることでしょうか。

話は変わりますけど厄年の考え方も違います。入会したばかりの頃、厄年だったことを伝えると地区リーダーが渋い顔をしていました。「厄払いに行った方がいいですか?」と尋ねると「それは創価学会とは違う話だから行かなくていいですよ。勤行をしていることが一番ですから」と強めに怒られました。

―勤行がすべてなんですね。入会についてですが家族の場合、必ず全員入会しなければいけないんですか?

そんなことはありません。ご主人は学会員だけど奥さんは違うというケースはあります。昔は2人とも創価学会に入会してから結婚しないとダメというルールでしたが、今は緩和されたと聞きますね。

―この人は仲間だな、と話していて分かるものですか?

基本は分からないと思います。でもこの前、TV番組を見ていたら、ある女性タレントさんが、「あいうえお作文」やっていまして。最後の文字が「な」で「南無妙法蓮華経」と言っていたんですよ。多分、学会員じゃないかなと思って、あとで聞いたらズバリでした。「な」で始まるお経なら「南無阿弥陀仏」の方がメジャーだと思うのですが、創価学会の勤行は「南無妙法蓮華経」を唱えるためピンときました。

―無宗教の人たちの中には「創価学会って怪しい」とか「勧誘されたらどうしよう」と思っている人もいますよね。気をつけることはありますか?

入会してもらうことが大切とされているため、会社内に学会員がいた場合は誘われる可能性はあります。

もし誘われた時にどうすればいいのか。断って大丈夫です。「なんだよ!」とはならないし、学会員も断られることに慣れています。ちなみに誰かを入会させたとしてもその人には1円も入りません。選挙応援も気にしなくていいと思います。

―創価学会を辞めるのは大変なのでしょうか。

辞めた人の話をまだ聞いたことありません(笑)「辞めたい」と言った人を説得して残留させたという話は聞いたことがあります。結局、辞めなかったそうです。

今回、取材をした男性は本当に人付き合いの延長線で創価学会に入会。現在もマイペースに学会員ライフを楽しんでいる印象を受けました。

何事もやってみないと分からないとはよく言ったもので、宗教も入信してみないと分からない部分があるようです。私自身、創価学会という名前だけで「怪しい」と決めつけていた節はありましたが、何事もしっかり調べてきちんと怖がる、きちんと受け入れることが大切ですね。なお、取材開始から数ヶ月経ちましたが、いまだに男性から勧誘は受けていません。