※この記事は2020年04月30日にBLOGOSで公開されたものです

新型コロナウイルスの感染拡大で広まったリモートワーク。「Web会議のためだけにメイクをするのは面倒…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな在宅勤務中の悩める女性に向けて雑誌を中心に多くのビューティーページを手掛けているヘア&メイクアップアーティストの長井かおりさんに「テレカン時に使えるメイクのキモ」を寄稿していただきました。

緊急事態宣言が発令されて約3週間。自宅での仕事を推奨され、多くの方が感染拡大防止に努めているかと思います。テレワーク時のビデオ会議(テレカンファレンス/teleconference)が急速に一般的になり、私のところには「テレカンの時のメイクはどうしたらいいですか?」という質問が多く届くようになりました。

ヘアメイクという仕事は現場でヘアメイクをするだけでなく、実は事前の打ち合わせも多い職業です。いつもであれば編集者の方とはお会いして企画の内容の打ち合わせを行うことが多いのですが、今回ばかりは早々に電話やテレカンで行うようになりました。

私自身もテレカンで仕事を進めていくなかで、職業柄どうしても気になってしまうのはメイクのこと。パソコンの画面を通して相手の方から受ける印象や自分の映る姿を見て「テレカン時にちょうど良いメイクとは?」ということを考えるようになりました。今回は、日々検証しながらアップデートを重ねてきたメイクである、「テレカンメイク」について紹介したいと思います。

テレカンメイクはざっくりインパクトがあれば良し!

何度もテレカンをしていくなかで気づいたのは「細かいところはお互いあまり見えない」ということ。ウェブカメラとの距離感や、カメラの性能、インターネットの接続状況にもよりますが、それでも実際に顔を合わせている時には細部まで見えているものも、画面越しだとほとんど見えなくなります。そんな時のメイクはミニマムでOK! ただし、ある程度のインパクトは必要です。

テレカン映えするメイクポイントをおさえて、効率的なメイクにすれば、「自宅なのにテレカンのためだけにメイクするのか…」という気持ちの負担も軽減できます。メイクを面倒だなと思っている方には「テレカンメイクのキモ」を知ってほしいと思います。文字にするとステップが多く感じるかもしれませんが、実際に手を動かしてみると5分程度で済む内容です。テレカンメイクは雑なくらいがちょうど良いので、雑すぎじゃないかしらと思うくらいの気楽さで是非試してみてください。

キモは「肌のツヤ、目元の彫り、血色」の3つだけ

日頃のメイクレッスンでも多くの女性に向けてお伝えしているのですが、メイクは力の入れどころと抜きどころを知ると途端にアカ抜け、気楽にできるようになります。日常のメイクでもこのように考えているので、テレカンの場合には、相手にしっかり見えないからこそ、よりメイクのメリハリをつけるべし! メイクのポイントとして「肌のツヤ、目元の彫り、血色」の3つをおさえればバッチリです。

キモその1:元気な印象を作るのは肌のツヤ

「すっぴんで人前に出るわけにはいかない」と、まず着手をするのがベースメイクだと思います。細かいところはあまり見えないとはいえ、ベースメイクをしないとすっぴん感が気になる方も多いはずです。多くの方が、顔全体にファンデーションを塗ってベースメイクを作っていると思いますが、テレカンメイクの時は「美肌ゾーン」にだけファンデーションを塗ればOKです。

美肌ゾーンとは、私が長年「ここだけキレイならば肌はキレイに見える」と提唱してきた場所で、目頭の下から頬骨の一番高いところまでのゾーンのことを言います。

シミやクマなど肌悩みも多いエリアですが、ここだけにファンデーションを塗って、スポンジで叩き込むようになじませれば、一気に肌がキレイに見えてきます。それ以外の場所は塗らなくても大丈夫! 美肌ゾーンにファンデーションを塗ったことで、肌のアラが隠れ、頬骨にはツヤが現れます。また、塗っていないところも、スキンケアのツヤをそのまま感じられるので、肌全体が健康的でキレイに見えるのです。

写真ではリキッドファンデーションを使用していますが、パウダーファンデーションの場合でも理論は一緒です。パフにパウダーファンデーションを取ったら、同じように美肌ゾーンにのせていきましょう。このやり方ならば、ベースメイクをすることへの面倒な気持ちも軽減されるのではないでしょうか。ファンデーションを顔の一部にしか塗らなくても美しいベースメイクは叶うのです。

キモその2:程よい目ヂカラは、目元の彫りで叶う

テレカンメイクならば出来る限り手を抜きたい気持ちがあるのは当然のこと。それゆえ、多くの人がやらなくてもいいと思っているのがアイメイクではないでしょうか。眉は描くけどアイシャドウはしない。そんな人でも実はポイントをおさえたアイメイクを施しておくと、少しのことなのに「ちゃんとメイクしてる!」感を出すことができます。

日本人の目元は、彫りの深いお顔立ちの方以外は元々少し腫れぼったいものです。そのため、テレカンの時にアイシャドウを塗っていない状態だとすっぴん感も強く、少し眠たそうに見えがち。会社に行く時のようなバッチリアイメイクは必要ないけれど、ブラウンのアイシャドウで少し彫りを作っておくと、目ヂカラもありながら、メイクをしている感じを作ることができます。

お手持ちのブラウンのアイシャドウを指に取ったら、アイホール全体に伸ばします。目を開いた時に彫り(くぼみ)を感じられればOKなので、特にグラデーションにする必要はありません。目ヂカラをさらに強めにしたい人は、手持ちのアイブロウペンシルをアイライナー代わりにして、目尻だけに引きましょう。アイライナーよりしっかり発色をしないアイブロウペンシルが、なんとも言えない影を作り出してくれます。ここまでやったらメイクをしている感じも、目ヂカラも十分にあるはず。なのでビューラーとマスカラはしないことにします! まつ毛の印象などもテレカンの時には見えないので、出来る限り手間は省いてしまいましょう。

ちなみに眉は、しっかり生えている方であればアイブロウブラシで眉を整えるだけにして描かなくてもいいでしょう。眉が薄い方はアイブロウペンシルで描き足してみてください。

キモその3:チークorリップで血色を宿らせてすっぴん感を回避

自宅でのテレカンを何度も行ううちに、あった方が良いなと思ったのが「血色」です。
ミニマムなメイクには必要ないと思われがちですが、血色を画面越しに感じるだけで元気な印象を与えられすっぴん感もなくなります。大人になると顔の血色が悪くなりがちになるので、メイクで補うのがオススメ。血色を感じさせるにはチークかリップが必要ですが、テレカンメイクの時は両方する必要はありません。どちらか一つを気分で入れてみましょう。

チークを入れるのであれば、頬の中心にふんわりと丸くカラーをのせてください。テレカンはまっすぐ前を向いた状態で行うので、顔の真正面にカラーをのせておけば自然な血色を感じさせることができます。

リップを塗るのであれば、口紅でも色付きリップクリームでもどちらでも良いでしょう。

明るい色のトップスやピアスなどのアクセントでメイクの手間はさらに省ける

メイク以外で感じたことをお伝えすると、職種にもよると思いますが、明るい色のトップスを着てみたり、ピアスなどでアクセントをつけるとメイクの手間はもっと省けると思います。アイメイクをする代わりに、メガネをかけてしまうというのも良いでしょう。メガネをかけることで生まれる影が、目元の彫りを生み出してくれるのでアイメイクをしなくてもOK。画面のなかに映った自分を「なんかいい感じ」にすればテレカンメイクは成功なので、小物に頼るのも手抜きのポイントです。一緒にお仕事をする方たちとの関係性や職種に合わせて、ご自身にちょうど良いテレカンメイクを見つけてみてください。

著者:長井かおり
雑誌を中心に多くのビューティーページを担当。 VOCE、Precious.jp、ESSEなど多くの連載も担当し、イベントなどへの出演も多数。

わかりやすく、理論的なメイクテクニックに定評があり、これまで出版した本は20万部を突破。自分史上一番きれいになれると評判のメイクレッスンは、発売開始から10分で売り切れるほどの人気メイクレッスンとなっており「日本一予約の取れないメイクレッスン」としても知られている。

初の書籍となった「~周囲がざわつく自分になる~ 必要なのはコスメではなくテクニック」はメイク本としては異例の10万部を超えるベストセラーとなっている。