34歳、売れないグラビアアイドル 韓国で整形して失敗しました - 吉沢さりぃ - BLOGOS編集部
※この記事は2020年04月28日にBLOGOSで公開されたものです
「あれ、吉沢さん、なんか顔変わりました?」
2月下旬、メディア関係者が集まる飲み会に参加した私は、久々に会ったライターさんからそう言われました。それもそのはず…。私は韓国で美容整形をして、大失敗していたのです。
友人に顔を笑われたショックから、弾丸で韓国行きを決断。待っていたのは、言葉もままならない国で、手足を縛られ、注射を打たれ、激痛を耐え忍んだ結果、妖怪のような顔になってしまうという地獄のような経験でした…。
飲み会で友人に「整形したら?」 心が壊れて韓国行きを決意
私は普段、グラビアアイドルとライター業をしています。グラビアアイドルと言っても、正直全く売れていないのでDVDなどの仕事は年に1回あれば良いほう。主にコラムの執筆や漫画原案などでギリギリ生計をたてています。
そんな私が整形を決意したきっかけは2月の初め。朝起きて鏡を見ると、奥二重のまぶたが腫れてひどい顔になっていました。ものもらいです。「やべぇ顔面だな…」と思いつつも、飲み会の約束があったのでその夜、友人宅へ向かいました。
「どうしたの、その顔?」。久々にあった友人は私の顔を見て爆笑。ものもらいだと説明しても彼女は「整形したら?」と笑い続けたのです。
私は小さいころから、親族に「顔が可愛くないから勉強しなさい」と大分アグレッシブな英才教育を受けていました。だから、見た目、特に顔に関するコンプレックスはとても強く、自分が大して可愛くないことは元々わかっていました。
でも、やっぱり顔を笑われるというのはなかなかメンタルに響くもの…。私の心のなかで何かが決壊してしまい、その日のうちに韓国で整形することを決意しました。
韓国に決めたきっかけは「安さ」 Twitterの整形アカウントに影響も
韓国を選んだのは、普段、Twitterで可愛いと思っていた整形アカウント(整形垢)さん達の大半が韓国で手術してたことと、とにかく「安い」こと。友人おすすめの病院にLINEで予約を入れ、すぐに格安サイトで日帰りの航空券を購入しました。「私のこの笑われる顔は病気!治る!大丈夫!」そう思って韓国に行く日を待ちました。
私がチョイスしたのは“非切開目つき矯正” とホームページに記載されていた手術です。まぶたのうえに小さな穴をあけ、筋肉をひっぱりあげるように縫合し、目の開きをよくするもの。あとから詳細を知りましたが、当時は何をするのかよくわかっていませんでした。
「メイク変えた? 少し可愛くなったね」くらいの変化を目指す私の理想に近い症例写真がネット上には並んでいました。「手術の名前もキャッチーだしこれでいこう」。このゆるすぎる判断がのちに私を地獄に突き落とすことになるのです。
いざソウルへ 待合室には日本人ばかり
日々の仕事をこなしているとあっという間に韓国行きの日が。東京からソウルまで飛行機で渡り、空港から電車を乗り継ぎ予約していた病院に。
なかに入ると待合室にいたのは、ほぼ全員日本人。親子で来ているとおぼしき二人組のお母さんのほうが「先生、よろしくおねがいします。終わるころ迎えにきます」と医師に頭を下げている場面も。なんとも言えない気持ちになりました。
予約の1時間前についた私は、受付でテンションの高い通訳の韓国人女性から、ガウンに着替えるよう指示を受けました。洗顔で化粧を落としたあと、顔の写真を四方八方から撮影され、カウンセリング室に行くと再び通訳の女性がやってきます。
「早速ですが、今日のご予算はいくらデスカ?」
満面の笑みを浮かべる通訳。手元には日本円で30万円ほどありましたが、正直に答えるとぼったくられるかもしれない…。何度かかわそうとするも、とにかく所持金がいくらか聞いてくる。そんな不安から「15万円ほどです」と答えた私に通訳は「そうですか。でもカードも使えるから安心ダヨ」とニッコリ。じゃあ聞かなくてもいいじゃん…。私の限界までお金を使わせたいんでしょう。
この時点で帰りたくなりましたが、「せっかく韓国まで来たんだから」という想いが私を引き止めました。とにかく顔を変えなければ!
待ちに待たされカウンセリングは5分で終了 ナゾの注射をおすすめされるも…
続けて通訳が「帰りの飛行機は22時40分デスネ。21時に病院を出たら大丈夫?」と聞いてきます。病院から空港まで最速でも1時間半程度かかります。国際線は1時間前にチェックインしなければならないので全然大丈夫ではありません。
「無理です。遅くとも20時には出ないと」
「申し訳ないですが、先生は手術がたまっていて、その時間に終わるかわかりません。乗り遅れてもこちらからは何の保証も出来ません」と、なぜか笑顔。
病院のホームページによると非切開目つき矯正は1時間未満。かなり余裕を持って15時に予約したうえに、当日帰国することは事前に伝えてあります。
「日帰りだと前もって話していたんですからなんとかしてください!」と強めに言うと、根負けしたように通訳は「わかりました…」と答えました。
通訳とのバトルを経て、やっと先生とご対面。人気の先生の予約が奇跡的にとれたのでチョロい私は通常料金より3万円も高い先生を指名していたのです。
きっと、手術が上手いだけではなく日本語を話せるスペシャルなお医者さまなんだろう。そんな私の期待を裏切るように先生は「コンニチハ」とだけ言って、猛スピードの韓国語で話し始めました。信じられないスピードで話す先生と笑顔だけど目が笑ってない通訳のコンビには圧倒されました。
銀の棒でまぶたをいろんな位置で押さえては目を開けたり閉じたりを繰り返し、私の顔を診察する先生。非切開目つき矯正が可能だと診断されるまで5分足らずでした。
散々待たされて…コレ? 慌ただしくカウンセリング室を去る先生。あとに残った通訳が「おすすめの注射があるのですが」とさらなる課金を要求してきたので、しっかり断り会計を済ませました。計12万円ほどでした。
猛スピードで手足を拘束 「怖い怖い!しびれてる!もう無理!!」
さらに1時間以上待たされて、いよいよ手術室に。8畳位の部屋の中央に手術台があって、さっきとは別の通訳が寝るように指示してきます。横になった途端、看護師2人がものすごいスピードで私をベットに拘束します。足も手も全部…。「このまま死ぬかも」という恐怖でパニックになりかけました。
キツく全身を拘束され動かせるのは目だけ。麻酔とおぼしき注射を打たれても、「3万円」の先生が姿を現しません。いかにも助手風な愛想の悪い男性と女性の看護師2人のみ。次第に下半身がしびれてきて、もう限界です。「怖い怖い!しびれてる!もう無理!!」と私は絶叫しました。
そこで、例の通訳が再び登場し、手を握りしめてくれました。続けて「3万円」の先生もやってきて注射を追加。だんだん意識が遠のいていくもののまだ完全には目をつぶりきってない段階で、通訳がつないだ手をさっと離すのがわかりました。「やっぱズボラな病院だなぁ…ツメが甘いんだよ」。薄れゆく意識のなかでの最後の記憶です。
拘束されたまま手術室に放置 目には激痛が
3時間ほど経って目が覚めました。襲ってきたのは激痛。「いたたたたたたた!!」。身体は拘束されたままでとにかく寒い。 手術室には拘束された私以外誰もいない…。ホラーか!
「おーい!」 と声を出すと年配の看護師がやってきて、無言のまま雑に拘束をとき、私の腕を掴んで歩かせようとしてきました。寒いし、顔は痛いし、麻酔が抜けていないのかクラクラしていたので上手く歩けません。ズリズリと引きずるように私を急かす看護師の腕をペチっと叩き「痛いからそんな早く歩けないでしょ!」と言うと睨まれました。
なんとか休憩室にたどり着いたものの、目が痛くてギャーギャー騒いでいたらやってきた看護師に無言で注射を打たれました。よくよく考えたら異国の地で顔いじって痛くて騒いでて何の説明もなく注射打たれるって怖すぎ。
12万円かけて整形した顔がまるで「妖怪」本当の地獄は帰国後に…
休憩のあと、手術後の顔と対面の時を迎えます。満を持して鏡の前にたった私の目に飛び込んできたのは、妖怪のような顔。1cmほど腫れ上がったまぶたは、真っ赤なうえにところどころ紫がかっています。どう考えても前のほうが良い…。あまりのことにめまいを覚えながらも、飛行機の時間が迫っていたので最後の力を振り絞り駅へと向かいました。
空港の検問では「顔いじったね」 みたいなジェスチャーをされ、顔が違いすぎたためにパスポートと一緒に整形証明書を提出しました。
これ以上ひどいことはないと落ち込んでいた私ですが、本当の地獄は帰国したあとに訪れました。2日、3日と日が経てば経つほど、どんどん腫れ上がる目。そりゃもう恐ろしいほどに…。日本国内でまぶたを整形した知人は術後2日で割と自然な顔になっていたことを思い出して、さらに憂鬱になってきます。
腫れ上がったまぶたの赤みはとれず、二重まぶたのラインはとんでもなく食い込んでいる。常にビックリしているような顔。ひどい…。
手術する前よりもおかしくなった顔を見ては「また笑われる…」と暗い気持ちに襲われました。今更ながらTwitterで「非切開目つき矯正」のワードを検索すると出るわ出るわ失敗談のオンパレード。
カウンセリングの際に「プチ整形、埋没、ダウンタイムは1~2日」と通訳に説明された目つき矯正の正体は、眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がった状態)の際に行われる手術。目つき矯正だなんてキャッチーな名前がついてるだけで実際は全然プチ整形でも何でもなかったというオチです。何で私は整形前にちゃんと調べなかったんだろう…。
笑われたこととコンプレックスに気持ちをもっていかれすぎて、リスクヘッジを全く考えていなかった。大馬鹿野郎です。
日本の病院からは「韓国整形の修正は無理」
待てど暮らせど腫れはとれず、終始びっくりしている不自然な顔とにらめっこを続ける日々。あんなに嫌いだった昔の顔が恋しくなるはめに…。とはいえグラビアのDVD発売イベントが迫っていて、どうしたらいいかわからなくなった私は、片っ端から国内の美容外科に電話をかけまくりました。
「切らずに縫っただけなのでなんとかなるだろう」と考えていましたが、どこの病院も「韓国整形の修正は無理」とか「見てみなければわからないけど、とれなくてもお金がかかります」といった返事ばかり。それでもなんとか、除去可能な先生を発見しましたが、DVDの発売イベントまでには間に合いませんでした。先生に「目つき矯正で失敗して修正したいって泣きついてくる患者さんはとても多い」と言われたのが印象的でした。
結局、今もまだ修正はしていません。韓国での手術費用が約12万円だったのに対して、お直しに最低15万円はかかること、DVDの発売イベントが終わって、周囲にもカミングアウトしたら若干スッキリして開き直れたというのも理由の一つです。毎日見ていたら慣れてしまったような気もします。いや、でも、やっぱり前の顔のほうが自然で好きかな…。
また次にいじるとしたら大々的にやりたいな
私がこうやってメディアで自分の経験談を語っているのは、同じように失敗する人を増やしたくないからです。韓国で整形するのは全く悪くないし、成功している人も沢山います。でも、情報収集はシッカリと! 焦ってキャッチーなネーミングの手術にすぐに飛びつくのではなく、経験者の情報や手術の詳細を時間をかけて調べてください。私ももっと慎重に手術内容や病院探しをしていたらこんなことにはならなかったと心から反省しています。
…とまぁ整形初心者が偉そうに語ってスイマセン(汗)せっかくお金かけて顔を変えるならできるだけなりたい自分に近づきたいですよね!
「職業柄、なんとか失敗もネタに変わったので結果オーライ!」と考えている私。こんなに地獄のような体験をしても「またどっかいじるとしたら大々的にやりたいな~!」なんて懲りずに次整形するところを考えています♡もう絶対失敗したくないけど!
【プロフィール】
吉沢さりぃ
1985年5月24日生まれ、山梨県出身。
スリーサイズはT154 B107(K) W63 H98
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。
日刊SPA!などで執筆中。アサヒ芸能「ド底辺グラドルさりぃ」連載中(原案・コラム)。
著書に「グラビアアイドルのぶっちゃけ話」(彩図社)「最底辺グラドルの胸のうち」(イースト・プレス)がある。
無類の酒好きで趣味は飲み歩き、箱根駅伝、漫画収集。
Twitter=@sally_y0720
Instagram=yoshizawasally