NHKはコロナ感染拡大より「紅白」司会者の方がご心配!? - 渡邉裕二

写真拡大

※この記事は2020年04月25日にBLOGOSで公開されたものです

女優でタレントとしても活躍していた岡江久美子さん(享年63)が4月23日午前5時20分ごろ、都内大学病院で新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎のため死去した。

先月亡くなったザ・ドリフターズのメンバーでタレントの志村けんさん(享年70)に続く〝感染死〟に芸能界ばかりではなく日本中に大きな衝撃を与えた。

発熱からわずか20日足らずで帰らぬ人に

所属事務所によると、岡江さんは4月3日に自宅で発熱。「しばらく様子を見るように」と病院から指示があったが、6日朝になって容態が悪化したため救急搬送され、その場でICUに入り人工呼吸器が装着された。その後、PCR検査をした結果、新型コロナの感染が確認された。

「志村さんは4年前に肺炎で入院しました。内臓の疾患があったにもかからずヘビースモーカーで酒好きだったことから免疫力が低下していたと思われます。

岡江さんの事務所の説明によれば、昨年末に初期の乳がんで手術を受けたそうで、今年に入ってからは放射線治療を受けていた。志村さんと同じように免疫力が落ちていたはずで、これが結果的に重症化する要因になったことは間違いありません。

肺の疾患はもちろんですが、糖尿病や心血管系に問題のある人が感染した場合は重症化するリスクが高く、一気に症状が重くなると思っていいでしょう」(医療関係者)。

「発熱(37.5度以上)」があり、さらに「けん怠感」や「味覚」「臭覚」など身体に異変が出てきた場合は新型コロナへの感染を疑ってもいいだろう。

感染が分かり「軽症」と判断されたとしても、最近では急に重症化する症例が増えている。

「ですから、高齢者や基礎疾患のある方は、感染に対して危機感を持つべきなのです」(前出の医療関係者)。

志村さんもそうだったが、岡江さんも発熱からわずか20日足らずでの急変だった。しかし、所属事務所は、岡江さんの感染を含め入院について公表していなかった。

このことについて「迷惑をおかけするような仕事がなかったから」とした上で「感染して入院はしたが、元気になりましたと報告することを考えていました」と説明している。

さすがに、これは苦しい言い訳だろう。やはり、事務所としては、この時期に情報を出すことでのリスクを考えたことは間違いない。

「重症化したとは言え、まさか亡くなるとまでは思っていなかったのかもしれません。ただ、それは所属する俳優やタレントを管理する事務所の責任として危機意識に欠けていたと思われても仕方ありませんけどね」(プロダクション関係者)。

芸能界でも広がる新型コロナウイルス

今月に入って芸能界を含めたマスコミ関係者の間でも感染者が続出している。最近では、テレビ朝日「報道ステーション」のキャスターである富川悠太アナ(43)や、俳優でタレントの石田純一(66)、フリーで活躍する赤江珠緒アナ(45)、さらには、元NHKアナウンサーで現在はフリーの住吉美紀アナ(47)も陽性反応が出たことを公表した。

しかし、これまで「出てこなかったのが不思議なこと」だったわけで、ここに来て、ようやく新型コロナに対する危機意識が高まってきたと言うことだろう。

「事務所はもちろん、タレントやアーティストの面々はイメージを意識するあまり、守りの体勢になってしまう。結局は人と人との繋がりだけで仕事をしているだけに、保守的な動きになるのだと思います。

ですが危機感というのは人一倍強いはずなんです。そこが実は悩ましいところなんでしょうけどね」(芸能関係者)。

さすがに、ここまで感染者が拡大すると他人事でいられなくなる。

テレビ局は新規の番組収録を見合わせ、生放送での情報番組ではコメンテーターなどが控え室や自宅からの「リモート出演」となっている。

「今後、緊急事態宣言が明けたとしても、さすがにドラマの撮影は難しいでしょう。まず、出演者が警戒しますよ。さすがに明日は我が身ですからね。それに、いくらスタジオでの収録が再開しても正常化するには時間がかかるはずです。

週刊誌や新聞の取材記者なんかも、現場取材には出向いても、インタビューなどは相手のことも考えて慎重になっています。万が一のことがあった時に責任を問われかねませんからね」(芸能記者)

いずれにしても、新型コロナの感染拡大は、確実な特効薬がないだけに、この先、出口の見えない不安な状態が続いていくことは否めない。そんな閉塞感漂う中で飛び出したのが、何と、年末の「NHK紅白歌合戦」の司会者である。

NHKでは紅白司会の人選で議論!?

NHKでは、大河ドラマや朝の連続テレビ小説が「この先、どうなるか」なんて頭を悩ませていると思ったら、まだ半年以上も先の「紅白」の司会の人選が論議されていると言うのだから、何とも気の早い話をしているものである。

「女性誌が報じたものですが、総合司会にナインティナインの岡村隆史(49)の名前が挙がっていると言います」(スポーツ紙の放送記者)。

岡村は「チコちゃんに叱られる!」でNHKへの貢献度は抜群。昨年までは3年連続でウッチャンナンチャンの内村光良(55)が総合司会を務めていたが、岡村はキャラクターのチコちゃんと共にステージに立って、内村とコントまで披露している。

「その部分は視聴者からも好評で、瞬間最高視聴率は37.5%でした。かつては民放のバラエティー色が強かった時期もありましたが、ここ数年は、民放の制作会社が続々とNHKの制作現場に参入していることもあって、かつての民放色がいつの間にかNHK色に変わってしまった」(前出の放送記者)。

しかも、ここにきて今年の岡村は大河ドラマ「麒麟がくる」にも出演して、評判もうなぎ上りだと言われている。それだけに、NHKは「今年は岡村しかいない」と思っているようだ。

だが、コンサートやイベントなどは自粛要請により中止や延期が続いている。

放送でもライブやスタジオでの公開番組は全て観客を入れない「無観客」での収録となっているのが現状だ。

そんな状況の中で、いくら年末の放送だからとは言え「果たして無事に放送されるかすら不透明です。ハッキリ言って司会者を選考する以前の状況だと思いますけどね」と前出の放送記者もNHKの動きには頭を傾けるが、その一方で、

「昨年の『紅白』は、70回目の記念だったにも拘らず紅白史上最低の視聴率(37.3%)でした。現場担当者の危機感は、コロナの感染拡大なんかよりも目先の視聴率なのかもしれませんね」

「紅白」に限ったことではないが、生の音楽番組は50組以上のアーティストやグループが出場する。その現場は誰から見ても「濃厚接触」そのもの。

「出演者はもちろんでしょうけど、それ以上に番組の現場制作担当者は精神的負担が大きい。『紅白』の場合は、客席の人数よりバックステージの方が人数が多いと聞きます。これは一歩間違ったら放送事故にも繋がりかねないので大変なストレスになりますよ」(民放の制作関係者)。

しかも今年は緊急事態宣言などもあって自粛ムードはマックスだ。今やプロダクションやレコード会社も開店休業状態で、新曲が出る雰囲気や環境がない。昨年もヒット曲に恵まれない年だったが、今年は、さらに深刻な事態に陥っている。

目下、目立っていると言ったら、安倍晋三総理がYouTubeに登場して話題になった星野源やジャニーズの嵐、そして新人ではSixTONESあたりぐらいしかいないのではないか。

NHKでは〝夏の紅白〟と言われている「思い出のメロディー」さえ、放送が微妙になるはずだ。コロナ感染拡大がこのまま続いたら、あるいは年末の「紅白」、さらには「レコード大賞」にしても〝無観客〟での放送になる可能性が大である。

そう考えたら、今から司会者がどうのこうのなんて言っていられないはずである。それこそチコちゃんに叱られるゾ!