新型コロナ感染拡大のテレビ朝日が「緊急事態」で閉鎖! - 渡邉裕二
※この記事は2020年04月17日にBLOGOSで公開されたものです
テレビ朝日の看板報道番組「報道ステーション」のメインキャスターである富川悠太アナウンサー(43)の新型コロナウイルス感染は、前代未聞の〝テレビ局封鎖〟という緊急事態にまで発展した。同局は、今日17日から19日までの3日間、東京・六本木の本社局舎を閉鎖することになった。
報道ステーションのスタッフが続々と新型コロナに感染
同局関係者が言う。
「局舎4階の報道フロアを中心にクラスターが発生していたのでしょう。報道エリアという放送局のいわば中枢が、ウイルスに汚染されているなんて聞いたことがありません。明日は我が身の状態でした」。
富川アナに続いて、同番組のチーフプロデューサーと総合演出のチーフディレクターの2人からも「陽性反応」が出たことが明らかになり、まさにテレビ朝日全体が〝緊急事態宣言〟状態に陥ってしまった。
しかも、感染が分かったチーフディレクターは元朝日放送アナウンサーで現在はフリーで活躍している赤江珠緒アナウンサー(45)の夫だった。この事態に赤江アナは、パーソナリティーを務めているTBSラジオ「赤江珠緒たまむすび」を急きょ、電話で出演することになるなど、その影響は他局にも広がっている。
「富川アナより前になりますが、テレビ朝日では9日に本社に勤務する関連会社の30代女性社員も感染していることが明らかになっていました。この女性社員も富川アナと同じ4階の報道フロアに勤務していたのです。そう考えると、報道フロアがクラスター化し始めていたことは濃厚です」(プロダクション関係者)
視聴者から富川アナに対し「危機管理が低い」「キャスターとして失格」と批判が多数届いていたことから、富川アナは「番組で繰り返し感染予防を呼びかけていた立場にもかかわらず、このような事態を招き、大変なご迷惑をおかけしました」とした上で、
「(4月3、4日に38度の発熱があったものの)すぐに平熱になったことから、発熱を軽視してしまい、上司や会社に的確に報告せず、出演を続けたことを深く反省しています」
「視聴者の皆様からは多数のお叱りの電話やメールをいただいていると聞いています。これらを真摯(しんし)に受け止めたいと思っています」と謝罪のコメントまで出している。
その一方で「3月の下旬から大人数で飲食する機会もなく、外部からの取材もありませんでした」と、感染ルートについては「思い当たらない」と断言していた。
同局は富川アナが出演を続けていた理由について「局への体調不良の報告は9日だった」(広報室)と説明。富川アナの感染を受け、一緒に番組を進行していたフリーの徳永有美アナ(44)、そして森川夕貴アナ(26)についても13日から自宅待機、その後は同番組のスタッフ全員を同様の措置とした。
「現在は、他の番組スタッフや経験者を総動員して番組制作にあたっています。徳永アナについては、夫の内村光良(お笑いコンビ、ウッチャンナンチャンのウッチャン=55)の感染が心配されていましたが、現時点では問題ないようです」(同局の関係者)
それにしても、問題は富川アナの感染ルートである。
番組のメインキャスターという立場から、どうしても富川アナに話が集中してしまうが、富川アナ自身が「思い当たるところがない」としていることから、チーフプロデューサーかチーフディレクター、あるいは他のスタッフから感染していた疑いも否定できない。
いずれにしても同局の管理体制に大きな問題があることは否めないだろう。
テレビ朝日本社 居心地の良さが仇に?
テレビ朝日に出入りしている放送記者が言う。
「危機管理の点においては、正直言って他局に比べてやや意識が希薄なところがあったかもしれませんね。マスクの着用とか、体温を測れとの指示はあったようですが、例えばテレワークなどでも対応が他局よりも遅かったように思います。
六本木という利便性もあったのかもしれませんね。改めて振り返ると、いつも局内には人がいっぱいいました。おそらく他局に比べても出入りが多かったと思います。
と言うのも、局内の至る所に人の溜まる場所が多いんですよ、テレ朝の場合は…。報道フロアのある4階の廊下なんかでも椅子があったりして、とにかく居心地がいいんです。6階にはコーヒーサーバーもあるし、社員食堂も安い。
我々からするとバラエティー番組もドラマも、例えば、キムタク(木村拓哉)の『BG』なんかは地下1階のスタジオで収録しているので何かと都合もいい。そう言った意味では、報道フロアばかりではなく局舎全体がクラスター化していたとしても不思議ではなかったかもしれませんね」
居心地の良さが仇となったのだろうか?
それにしても…前述した部分があるが、「報ステ」で代理キャスターとなった小木逸平アナ(45)の説明では、富川アナは、体調が悪くなった4月4日の夜にチーフプロデューサーにLINEで体調不良を報告、その後、9日の昼にも同じプロデューサーに、やはりLINEで相談していたとのだとか。
番組の担当部長には、その後の報告になったようだが、それまでの間「番組出演を見合わせる措置は取らなかった」のだから、朝から晩まで「感染拡大」の報道をしていながらも、現場意識は低かったと言わざるを得ない。
さすがにここまで来ると危機感もマックスに達したようで、「対処」せずにはいられなくなったのだろう。今日から3日間、報道に関わる最低限のスタッフを除き、一般社員も含め一切の立ち入りを禁止して全フロアの消毒作業を行う。さらに、20日以降についても局舎への入館は制限するそうで、「取材記者もNG」となる。
「毎週金曜日の夜に放送していた生番組の『ミュージックステーション』も今月は生放送を中止することを決めています。5月以降は状況を見ながらリモート出演などの対応策も考えているようですが…。
その他の番組収録については、同局のスタジオは赤坂アークヒルズや他にもあるので、そこをどう使い回すのか。とはいえ、看板番組から感染者を出した以上、今後の対処が問われることになりそうです。ただ、社員はもちろん出演者や外部スタッフからしてもテレ朝局舎への警戒意識が高まることは間違いありません」(前出の放送記者)
石田純一も感染 沖縄でゴルフ
しかも、ここに来て俳優の石田純一(66)までもが感染していたことを明らかにした。自身が那覇市で経営している韓国料理の店「J‐CHAN冷麺」の打ち合わせで沖縄へ行っていたそうで、ゴルフも楽しんでいた。さすがに「芸能人の勘違い」と言われても仕方がない行動だった。
「先日、NHKスペシャルで『新型コロナウイルス瀬戸際の攻防~感染拡大阻止最前線からの報告』を放送していましたが、その対策チームのメンバーが誰一人としてマスクをしていなかったのが驚きでした。それも外の移動どころか室内でも…番組内容以前に、その光景に唖然としました。放送を前提に撮っているんですから考えられません。
時間に余裕がないからとカップラーメンを食べているシーンなんかより、まずはマスクをすべきでしょう。専門家の集まる対策チームですら、その程度の認識、意識だってことが分かった貴重な番組でした。
おそらくNHKの撮影スタッフも似たり寄ったりだってことでしょうね。そんな対策チームが、いくら国民に対して『自粛しろ』『何も対処しなければ40万人が死ぬ』なんて言ったって、そんなの説得力も何もないですよ。FMラジオ局(TOKYO FM)からも、国会担当の記者に感染者が出ました。テレビ局で報道や情報番組に携わるスタッフはもちろんですが、対策チームと言われる専門家も国民に対して情報を発信する前に、まずは自らの危機意識を高めて欲しいものです」(週刊誌の編集担当者)