保護者と学校の教職員による社会教育関係団体「PTA」について、ESSE読者236人にアンケートを実施しました。在学中の子どもがおり、PTAに参加していると回答した人は107人。子どもたちの学校生活をサポートする大切な活動ですが、その実態はけっこう謎ですよね。実際にPTAに加入していた人たちに活動内容や本音を詳しく聞いてみました。

不公平を感じたPTAの役員決め。その活動内容とは

今やネット上には「PTAの断り方」のようなネガティブな体験談がたくさん出てきます。意外と知られていないPTAの活動内容。実際、どのようなことをやっていたのか体験談を教えてもらいました。

<写真>担任の先生からまさかの電話が…!

●アナログすぎるPTA活動

「ベルマークの集計をしました」(大阪府・37歳)

「町づくり協議会に会計、ベルマーク係をやりました。一気にこんなに! どうしよう〜と思いました」(高知県・44歳)

「やり方が昔ながらのアナログすぎて、ちょっとな…と思うことがたくさんあります」(神奈川県・32歳)

少し懐かしい響きのベルマーク。小さなマークをひとつひとつ集計するのはたしかに骨が折れる作業かも…。

●広報や新聞づくりの活動もPTA

「PTAになり、学校の新聞を作成しました」(千葉県・51歳)

「コロナのために小学校の広報誌をPTAで作成することになりました」(滋賀県・41歳)

「運動会でカメラ係になり、グラウンド内の間近で子どもの写真が撮れてよかった」という人もいました。「イベントごとに出席する機会が自動的に増えるので大変な分、子ども側から親が学校にいる機会が多いのはうれしそうだった」という声も。

一方で、「PTAというワードを聞いただけで胃が痛くなる」という人もいました。一体どういうことでしょうか?

●地域差や学校での差が大きいPTA。暗黙の謎ルールが横行

「『仕事してるので参加できないです』と逃げてるけれど、一度は必ずしなきゃダメらしい。6年間、どうやって逃げれるかなぁと、悩んでます」(東京都・44歳)

「小中は必ず子ども1人につき1回、負担することになっています」(埼玉県・51歳)

「仕事を休んででもPTAの係に参加しないといけないです」(千葉県・31歳)

●じつは任意加入のPTA

「一昨年くじ引きで、中学校の本部役員が当たってしまいました。中学校なのでそれほど親の出番が多いわけではなかったですが、それでも休みの日や夜に時間を取られました。よかったことは、PTAが任意加入だと知ったことですね。下の子が去年中学校に入学しましたが、PTAには加入しませんでした」(滋賀県・46歳)

「PTAは絶対参加なので参加していますが、積極的に参加したい方たちにお任せしています」(愛知県・39歳)

PTAって、じつは強制されるものではなく任意加入なんです。だけど、「入って当然」「退会は認めない」など地域差や学校差がかなり大きい様子。ギスギスすると噂の役員決めの場面についても聞いてみました。

●PTAの役員、どうやって決めた?

「役員を引き受ける人が決まらまくて、担任から電話が来ました。断りましたが…」(北海道・47歳)

「前役員が家に頼みに来るシステムになっていました。来てしまったら断れません。しかも当時。『役員はお父さん』というよくわからないシステムだったので主人がやりました」(兵庫県・45歳)

「6年間のうち1回は必ず役員をしないといけないので、役員を申し込んでも抽選するのに30分以上待たされたりしました」(千葉県・42歳)

「なるべく役員をやりたくないと思っている人が多いため、新しいクラスの初めての保護者会の日は決まるまで帰れません。なかなか決まらないときの重い空気が苦手」(神奈川県・46歳)

「これから子どもが小学生になるので委員になる予定です。役を選出するのに不公平な決め方だと言われて困りました。まだ入学していないので勝手もわからないし、仕組みさえわからないのに、不公平に決めてしまったのか? と自分を責めましたが、よく考えたら、知らないことなのでそこまで苦しむ必要もなかったのかもしれません」(京都府・42歳)

「くじ引きしたから平等」という人もいれば、「家庭の事情も考慮せずに押しつけるなんて不平等」と感じる人もいるPTA。強引に決めてものちのち揉めてしまうケースは少なくないようで、「人間不信になってしまった」という人までいました。

●PTAを断った人、免除された人

「役員をやりたくないために、父の介護の話をみんなの前でしました。別の人が役員決定後、近くの席に座っていた人に嫌味で『お父さんお大事に』と声をかけられました。
結局2人目のときにPTAの役をやりましたが、やってできないことでもなかったので、父の話までしてやりたくないと思わなくてもよかったと思いました」(静岡県・55歳)

「役員選挙が近づくと、ママたちの立ち話が増えます。私はパニック障害があって、人混みや密室が苦手なので、役員は免除してもらっています。しかし周囲からは普通のお母さんに見えているので、なぜ役員対象ではないのか聞かれたりしました」(愛知県・34歳)

「転勤族なので重役をいつもスルーできます」(鹿児島県・40歳)

アンケートのなかでもPTAをやらざるを得なかった苦労をした分、「うまく逃げた人の話は聞きたくない」という人までいたほど。人によってはかなりの不公平感を感じる問題のようです。親同士の人間関係にまで影響しそう。しかし、実際、PTAをやってみた人からはポジティブな感想もたくさん寄せられていました。

PTAはだれのため?メリット・デメリットから見えてきた実情

「一人で立候補してみましたが、同じように一人で立候補したママさんと気が合い、今ではランチに行く仲に。PTAをやらなかったら確実に知り合えていないはずなので勇気を出してやってみてよかったです」(千葉県・38歳)

PTAがきっかけで、ママ友が増えたという人はたくさん。実際の活動を通してどんなメリットがあったのか聞いてみました。

●やってよかったPTA

「幼稚園の役員をやっていました。下の子が入学する来年もPTAをやろうと考えています。園や先生との繋がりができ、自分にとってはよい経験でした」(神奈川県・41歳)

「PTAを通して、学年が異なる父兄とも知り合え自分自身の交流の輪が広がりました。またPTAを経験したことで学校の内情も知ることができ、結果的に子どもの転校に踏みきることができました」(大阪府・37歳)

「今年、PTAの本部にくじで当たってしまい、色々な行事や会議で学校に行くことがあるのは面倒だなぁと思っていました。しかし、子どもは私が学校にひんぱんにいるのを喜んでいたような気がします」(東京都・48歳)

「PTAで委員を1年経験しその後委員長を2年、今は副会長を2年しているところです。活動をすることで他学年のお母さん方とたくさん知り合いになれ、先生方といろんな情報交換ができ、自分にとっても子どもにとってもプラスになる事のほうが多かったように思います。お仕事している保護者の方が多いのでボランティアで時間を取られることに不満がある方も多いようですが、一瞬しかない子どものことに全力でサポートできることは私にとっては決して無駄ではなかったです」(福岡県・45歳)

「保育園、小、中、高と全部役員をやりました。役員をすることで学校のことが分かったり、先生と親しくなりました。先生のことを理解できるため、こちらの要望、心配ごとも伝えやすくなります。クレームばかりを言う親ではなく、日頃から、学校、地域、わが子以外の子どもたちにも目を配り、関心を持つことが、わが子にもよい影響を及ぼすと思っているし、ママ友も増え、私自身も楽しい学校生活が送れます」(千葉県・51歳)

●PTAは早くやっておいた方がおトク?

「子どもが1年生のときに役員をしました。学年が上がると三役にならざるを得ないので、先にやってしまうのがおススメ。上級生ママと知り合いになれ、学校の情報を得られるのは、心の準備ができてメリットだと思います」(神奈川県・52歳)

学校の様子がよくわかったり、ママ友がたくさんできるという意味では、早い段階でPTAを経験しておいてよかったという意見もありました。一方で、想像していた以上に大変だったという声も。ここからはPTAに入ってみて感じたデメリットです。

●こんなに大変とは思わなかった!PTAの苦労体験談

「広報誌をつくる係をやりました。皆さん〆切直前になって、わが子の写真を載せてほしいとワガママを言い出して、〆切を大幅にオーバーすることになりました。もっと早く言ってほしかったです」(神奈川県・46歳)

「役員の人が攻撃的な方で、気に食わないことがあったときにやり合っているのを見ていて、ゾッとしました。なんのためにやっているのかの根本がわかっていないんだろうなぁと感じました」(神奈川県・41歳)

「役員になると自分の子どもを留守番させて、会議に出席したり用事がたくさんあり大変でした。なんのためのPTAか分かりませんでした」(大阪府・46歳)

「入ってよかったことはないです。PTAはいいイメージがないです。自分は持病をもっているので、役員などは正直心身ともに負担。でも役員は義務だし、事情を知らない人は『できるよ、そんなしんどくないよ〜』といってきます。できる人で勝手にやってほしい。手伝いをしたくないわけではないのですが、義務だと言われるのは正直しんどいです」(大阪府・42歳)

●ボランティア精神にも限界がある…

「無賃なのに頑張らないといけないことが多すぎます。逃げきる人もいて不公平」(東京都・38歳)

「仕事の多い委員会に入ったときにランチの時間にかぶるので、ランチ代がかさみました」(東京都・39歳)

仕事の時間を削りながらPTAに参加しているという人も。ボランティアなのに、けっこう頻繁に集まったり、連絡を取り合ったりせねばならず、保護者の負担はかなり大きい様子です。一方で学校によってはPTA活動にあたる親の手助けをあてにしてイベントを実施しているケースも。PTAというシステム自体の根本が少しずれているのではないかと考えさせられてしまいますね。

●地域によってはさらに大変なケースも

「PTAは地元ならではのどんどやきの藁山つくりという行事をこなさないといけないです」(熊本県・48歳)

「学校行事について、地域の人やOBがうるさく言ってきます」(和歌山県・45歳)

●コロナの影響を受けてPTA活動が縮小…

「今年息子が入学でしたが、結局コロナでPTAの行事はなにもありませんでした」(群馬県・39歳)

「子どもが幼稚園の年長のときにPTA会長でした。コロナ禍でほとんど行事もなく、卒園式での挨拶(毎年会長が泣くのが定番らしい)も気が重かったのですが、式自体が簡略化されてそれもなくなったので、すごくラクでした」(静岡県・34歳)

多くの学校において、コロナの自粛の影響を受け、PTA活動自体がかなり制限されていたようです。「PTA活動のなかにはやらなくてもよかった内容も多く、これを機にもっと簡素化されてほしい」という意見もありました。

 

子どもたちの学校生活をよくしたいという思いは学校も保護者も同じはず。子どもたちのためになにをしてあげられるのか。古いルールやアナログで非効率的な作業は改めながら、本来のPTAの目的を時代に合わせてアップデートさせるときが来ているように感じます。