「長距離鈍行の宝庫」ダイヤ改正でどうなった? 中国・四国のJR線 最長普通列車の今
西日本と四国のJRの一般列車(特急のぞく)について、長距離を走る列車を調査。大幹線にはかつてロングランの鈍行列車が多くありましたが、現在はどうなのでしょうか。
首都圏と同じく「最長距離列車」がダイヤ改正で消滅
西日本を走るJRの列車には、特急でなくとも、かなり長い距離を走る列車があります。ここでは中国・四国で、2022年3月ダイヤ改正後の、長距離を走る定期普通列車(快速類を含む)を紹介します。
山陽地区の主流電車である227系(画像:写真AC)。
神戸から下関まで、西日本を延々と走り抜ける山陽本線。かつては「岡山〜下関」という運行距離363kmの長距離普通列車がありましたが、2017年3月のダイヤ改正で消滅。他にも和気〜岩国の231.3kmや中津(日豊本線)〜柳井の212.5kmなど、「青春18きっぷ」などの利用者にはロマンあふれる長距離列車が近年までありました。
その後は糸崎・三原、徳山などで運行系統の分離がすすみ、以前にくらべ短距離の列車ばかりになっています。そうしたなか2022年3月のダイヤ改正後で特に長いのは、糸崎〜徳山の162.3km、岩国〜下関の160.3kmなどが挙げられます。
倉敷と米子をむすび山陽・山陰の主要連絡路線となっている伯備線には、これまで「倉敷発・西出雲行き」という長距離列車がありました。運行距離は209.6km、所要時間は5時間15分にもおよび、山陰本線の電化区間の最西端まで足を伸ばしていました。
この列車は2022年3月のダイヤ改正で消滅。岡山〜米子に変更され、運行距離は159.1kmになります。伯備線には他にも、赤穂線に直通する新見〜播州赤穂という134.5kmの列車が設定されています。
山陰本線では、米子〜益田の191.5kmが最長です。
それをさらに上回る長距離列車が、四国にあります。予讃線の電化区間を走破する、高松〜松山という列車が設定されており、運行距離は194.4km。所要時間は最短で4時間半です。
幹線を中心に列車の短距離化が進んだ理由のひとつに、ダイヤ乱れの際に車両をより臨機応変に運用できるというメリットがあります。長距離列車であれば、途中で運転取りやめとなった際に遥か先の駅まで影響がおよびますが、列車の設定が細切れであれば、一区間が運転取りやめになっても、影響のない区間は車両のやりくりをすることなく平常運転を行うことが可能だからです。