人は人、私は私。自分の“幸せ”を考えた「結婚」との向き合い方
こんばんは。イラストレーターのトモマツユキです。
30歳前後になると、友達の結婚報告があちらこちらから聞こえてきて、頭ではおめでたいと思っているはずなのに、心の奥底では焦ってしまう時ってありますよね。
人に相談しにくいこのモヤモヤ。映画の登場人物に重ねてみると、少し考え方が変わるかもしれません。
今回は、「結婚」という言葉にモヤモヤを抱えた方におすすめの映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』をご紹介します。
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、何度も映画化やドラマ化がされ、150年以上愛され続けている、ルイーザ・メイ・オルコット原作の小説『若草物語』に、現代的な感覚を取り入れて、2019年に新たに映画化された作品です。
大まかなストーリーは『若草物語』と同じなのですが、この映画では、主人公のジョーが、「夢」と「結婚」の間で揺れ動く姿が、特に強く描かれているので、結婚に焦っている方にぜひ観てほしい作品です。
■個性豊かな四姉妹のそれぞれの幸せとは
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は、小説家になることを夢みる次女のジョー(シアーシャ・ローナン)。“愛する人と結婚することが幸せ”と考える長女のメグ(エマ・ワトソン)、“病と闘う”内気だけど強さを秘めた三女のベス(エリザ・スカンレン)、“お金持ちと結婚したい”リアリストの四女のエイミー(フローレンス・ピュー)の個性豊かなマーチ家の四姉妹の物語です。
作品の舞台である19世紀のアメリカでは、女性が仕事を持つことは難しく、「裕福な人と結婚することが女の幸せ」と考えるのが当たり前で、自立したいと考える女性が生きにくい時代でした。
そんな時代でも、ジョーは結婚せず自由に小説を書いていたいと、自分らしく生きることを望みます。
青春時代は、姉妹たちや幼馴染のローリー(ティモシー・シャラメ)と楽しい日々を送るジョーですが、みんないつかは大人になっていくもの……。長女・メグの結婚をきっかけに、楽しかった日々に変化が訪れます。
特にジョーにとって大きな出来事だったのは、一番の友達だったローリーからのプロポーズ。ローリーのことは大好きだけど、自分の夢を諦められないジョー。でも、周りが結婚していく中で、本当は孤独を感じていることにも気づきます。
はたしてジョーはどんな人生を選択するのか? そして、姉妹たちはそれぞれ幸せになれるのか。揺れ動く女性の心を丁寧に描いた偶像劇です。
■自分の選択に悩まない人はいない
さて、改めて四姉妹の願いを簡単に表すと ジョーは「仕事、自由」、メグは「愛、家庭」、ベスは「健康」、エイミーは「お金、結婚」ですが、社会人になると女友達との会話って、本当にこういう話で持ちきりになりますよね(笑)!
この物語でも、まず先にメグが結婚するのですが、私の周りの友人も昔から「家庭」を夢見ていた人から着実に結婚していきました。
やっぱり「家庭を持つこと」を目標にしているから、明確なアプローチをしているし、期限を決めているから自分が妥協できるポイントがあるんですよね。
しかし、メグは「愛する人と家庭を持つことが一番の幸せ」と心から思っていて、それを手にしたにも関わらず、旦那の稼ぎが少ないせいで生活は苦しく、裕福な友達の前で見栄を張ってしまうシーンがあります。
どんなに幸せだと思っていても、全てが自分の理想通りにはならないもの。
願いをかなえても人生は続くので、ハッピーエンドなんてないんですよね……。私は改めて人間って複雑な感情を抱えた生き物だなぁと感じました。
物語の主人公であるジョーもまた、「結婚することだけが女の幸せじゃない!」と思っているけれど、周りがどんどん変化していく中で、自分だけが取り残されているような不安感に苛まれます。
そして、ジョーが自分の信念を曲げてしまいそうになるほどの寂しさを、母親に吐露するのですが、このシーンは焦りや不安を抱えてる人はジョーの気持ちに共感しすぎてきっと涙があふれるはず……!
ジョー以上にジョーのことを理解している母親からの言葉もとても心に刺さります。
この後、ジョーはこれまでの『若草物語』とは違う結末を選ぶのですが、正直なところ、私はジョーが何を選んだとしても、この時の寂しさや不安は永遠につきまとうのではないかと思います。
先にも話した通り、リアルな人生においてハッピーエンドなんて一過性のもの。自分が結婚したいと心から願う人に出会えていないのであれば、焦って結婚しても後悔すると思いますし、良い感じの人がいたのに仕事を選んだのであれば、あの時結婚しておけば……と考えてしまう日が来るものなのだと私は思います。
それでも、ラストシーンのジョーは満足そうに微笑んでいて、その瞬間は紛れもなく幸せなんですよね。悩みや焦り、不安は、簡単に消し去ることはできませんが、ジョーのように自分のことを一番知っている人に話すだけでも、自分らしさを取り戻すことができるかもしれませんね!
ジョーに共感するだけでも少し心がスッキリすると思いますので、ぜひ観てみてくださいね♪
(文・イラスト:トモマツユキ)