●ドラマ初出演&初主演で泣く芝居に苦戦

TBSスター育成プロジェクト「私が女優になる日_」で応募総数9000人の中からグランプリに輝き、昨年放送された同局のよるおびドラマ『この初恋はフィクションです』で主演を務めた飯沼愛。芸能界デビューとともに主役をつかみ取り、初々しい演技で大役を果たした飯沼にインタビューし、オーディションに挑戦した思いや、初ドラマで女優として成長できたこと、今後の目標など話を聞いた。



○■グランプリに驚き「1次審査を通るとも思ってなかった」

――「私が女優になる日_」に挑戦した思いを改めて教えてください。

一番はお芝居をしてみたいという思いがあり、これがお仕事だったらすごく楽しいだろうなと。迷いましたが、応募しなかったら後悔すると思ったので応募しました。

――女優になりたいと思ったのはいつ頃からですか?

興味を持ち始めたのはオーディションを受ける1年ぐらい前で、オーディションを受ける半年前ぐらいからお芝居をやってみたいなって思い始めました。

――1年前に何かきっかけがあったのでしょうか。

「(芸能界に)興味ありませんか?」と声をかけていただいて、その時は興味がなかったので名刺を受け取って終わりましたが、そこから女優になるという道もあるのかなって、少しずつ意識するようになりました。

――そして見事グランプリに。自信はありましたか?

全くありませんでした。1次審査を通るとも思ってなかったので驚きの連続でしたが、演技バトルが始まってからはドラマに出たいという思いがあったので、ドラマに出演することができてよかったです。

――オーディションで特に印象に残っていることを教えてください。

演技バトルに進む10人が選ばれたときが一番印象に残っていて、「3番 飯沼愛さん」と呼ばれた声は今でも印象に残ってます。自分が選ばれると思ってなかったので、同姓同名がいるかもしれないと。でも誰も立たないから私なんだなって。あの瞬間はすごく覚えています。

――演技バトルも番組として放送されていましたが、やはり主人公・倉科泉を演じた『この初恋はフィクションです』で一気に注目度が上がったと思います。ドラマの反響はいかがしたか?

お世話になった先生に近況を報告しようと思って中学校に行ったら、会った瞬間に「見てるよ!」と言われて、たくさんの方が見てくださっていました。地元で「写真撮ってください」と言われることも増えてきて、香川県民の皆さんが応援してくださっていてうれしいです。



○■「こんな表情ができるようになったんだ」と成長を実感

――ドラマ初出演にして初主演となりましたが、苦労した点など教えてください。

何回か泣くお芝居がありましたが、最初は全くできなくて苦労しました。本番で泣けなかったのに、撮影の時間を押してしまって迷惑をかけてしまったことが悔しくて、撮影が終わった瞬間に涙が出てきました。全部で4カ所ぐらい泣くシーンがあって、前半2回はダメで、後半2回はなんとか目から水が出てくれました(笑)。涙が出たからといっていいお芝居かはわかりませんが、一応水滴は出ました。

――それは一つ大きな成長ですよね。

そうだといいですね。自分はカメラの前で泣くことができないと思っていたので。泣くシーンができなかったと友達に打ち明けたんですが、その友達が後半の泣いているシーンを見て「成長したじゃん。感動した」と言ってくれました。

――どうやって涙を流せるようになったのでしょうか。

前半2回できなかったことが頭にずっとあって、泣けるかどうか気づいたらできていました。あと、後半の泣けたシーンは、鈴鹿央士さん(祖父江広樹役)のお芝居に助けられて泣けた部分が強かったとおもいます。

――ほかにも、本作出演によって成長できたなと感じていることを教えてください。

劇中の写真を振り返ったときに、後半のシーンの写真を見て「こんな表情ができるようになったんだ」と思いました。祖父江くんが学校に来て盛り上がってるクラスメートを見て幸せに思っている泉ちゃん、みたいな感じだったと思いますが、すごく幸せそうな笑顔を浮かべていて、自分がこういう優しい顔もできるようになったんだなと思いました。





『この初恋はフィクションです』初回の場面写真(左)と、成長を感じたという優しい表情を見せた後半のシーンの場面写真(右)

●先輩俳優たちの演技から大きな学び

○■坂井真紀・鈴鹿央士・坂東龍汰らとの共演を語る



――演じる楽しさも感じることはできましたか?

ドラマの内容的に、本当に学校に通ってるような楽しさはありましたが、お芝居自体に楽しさを見出せているかというと、まだそこまで行けていない気がします。でも、ほかの方のお芝居を見て、そういうやり方もあるんだとか発見できた楽しさはありました。特に坂東龍汰さん(野島啓介役)は体全体を使って自由にお芝居されていて、勉強になるなと思いながらお芝居を見ていました。

――のじくんの明るいキャラを見事に演じられていましたよね。

坂東さんは魅力たっぷりののじくんを演じられていて、すごいなあって思いました。

――鈴鹿さんの演技にも助けられたとのことですが、どのようなことを学びましたか?

祖父江くんが「アメリカに行くから文化祭には行けない」「もう会えない」と泉ちゃんに言うシーンは、リアルに胸が痛くなって、その感覚は初めてでした。相手の言葉を受け取ることができたのは、鈴鹿さんのお芝居に引き込まれたからですし、やっぱり鈴鹿さんはすごいなって思いました。

――泉の母役の坂井真紀さん、祖父江くんの母役の矢田亜希子さんという大女優さんとの共演はいかがでしたか?

お母さん役の坂井さんとご一緒することが多く、いつも気さくに話しかけてくださって、「悩んでいることはない?」と聞いてくださったので、「セリフっぽく聞こえないように感情を込めるにはどうしたらいいですか?」と質問しました。そうしたら、「相手の言葉をちゃんと聞いて、意味を感じ取った上で自分のセリフを発することが大切」と教えてくださって、そこからすごくそのことを意識するようになりました。だからこそ、鈴鹿さんの言葉をちゃんと受け取ることができたのかなと思います。矢田さんのお芝居も見ているだけで勉強になり、学ぶものがたくさんありました。

――最初のドラマですごく大事なアドバイスをもらったんですね。

はい。一生忘れません!

――オーディションの総合プロデューサーを務め、ドラマの企画・原案も担当された秋元康氏とのやりとりで印象の残っていることはありますか?

ドラマ出演者の発表のときに、「ストイックさが見えた」などと評価してくださって、秋元さんからそういうお言葉をいただけると思っていなかったのでうれしかったです。

――「私が女優になる日_」season2の開催が発表された際には、「飯沼愛さんは、撮影の後半には、すっかり女優の顔になっていました」とコメントされていましたね。

秋元さんがですか!? 今知りましたが、めちゃくちゃうれしいです!





○■ゴール決めず「予想もできないような未来になったらいいな」

――主演という大きな経験をされましたが、今後の目標を教えてください。

今はたくさん経験を積んで、行けるところまで成長したいという思いが強いです。ただ、いくら経験を積んでも初心を忘れず地に足をつけて、天狗にならないように気を付けたいと思っていて、周りの友達にも「ちょっとでも私が調子に乗っていたら注意してね」とお願いしています(笑)

――友達がしっかり見張ってくれているんですね! 行けるところまで成長したいとのことですが、どんな将来を思い描いていますか?

具体的なことはまだですが、理想は、自分も想像がつかないようなことをできているようになりたいです。芸能界に入ることも想像してなかったので、どんどん新しいことに挑戦して、ゴールを決めずに、予想もできないような未来になったらいいなと思っています。

――雑誌のグラビアにも挑戦されていましたが、演じる以外の仕事にも興味はありますか?

雑誌の撮影はすごく楽しいので、これからもっと頑張っていろんな雑誌から依頼をいただけるようになりたいですし、しゃべるのが好きなのでいつかラジオもやってみたいです。「ラジオネーム誰々さん」みたいな感じでお悩み相談をやってみたいなって(笑)

●素顔にも迫る! 最近ハマっていることは?

○■バスケ部での経験が自分の軸に「体力や精神力が鍛えられた」



――飯沼さんの素顔もご紹介したいのですが、ご自身ではどんな性格だと思っていますか?

負けず嫌いでもありますし、マイペースといえばマイペースですし、ガサツでもあります。キャピキャピしていなくて、サバサバしてるなってよく言われます。

――最近ハマっていることを教えてください。

友達へのいたずら電話です(笑)。私から電話をかけるんですけど、相手が出たら私が「何?」って言って、「こっちが何?」「いやいや何?」ってしょうもない会話をしています(笑)

――楽しそうですね(笑)。その相手は、泣ける演技ができなかったことを打ち明けた友達と同じ方ですか?

その子です。親友というか家族みたいな子です。いたずら電話にその子も乗ってくれて遊んでいます(笑)

――部活はバスケットボールをやられていたそうですね?

小・中・高とずっとやっていました。小学校の後半からですが。運動が好きで、特に中学校は部活中心の生活でした。体力や精神力がすごく鍛えられ、それが今、自分の軸になっているなと。根性がついたと思っています。



○■「私が女優になる日_」挑戦者とファンにメッセージ

――「私が女優になる日_」season2は、1月31日まで応募受付中です。挑戦しようと思っている人や迷っている人たちにメッセージをお願いします。

私自身、後悔したくないという思いで応募しました。親になかなか言えないという方も多いと思います。私も最初は言えませんでしたが、勇気を出して話したら賛成してくれました。自分なんてと思っている方でも大丈夫だと思います。私がそうだったので。自信がなくてもやってみたいと思ったら挑戦することが大事だと思います。勇気を出して一歩踏み出した経験が自信につながると思うので、ぜひ勇気を出して挑戦してほしいです。

――最後に、今後の飯沼さんの活躍を楽しみにしているファンの方にもメッセージをお願いします。

ファンの方なんてそんなそんな。今応援してくださっている方は、古参中の古参になると思うので、私の成長をこれからも見守っていただけたらうれしいですし、喜んでもらえるような報告ができるように頑張るので、これからも応援よろしくお願いします!

■飯沼愛

2003年8月5日生まれ、香川県出身。2021年にTBSスター育成プロジェクト「私が女優になる日_」で応募総数9000人の中からグランプリに輝き、同年放送された同局の“よるおびドラマ”『この初恋はフィクションです』で主演を務めた。



(C)TBS 撮影:加藤春日