シワの種類とそれぞれの治療方法、予防について美容皮フ科医が解説

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目尻の小じわやほうれい線など、「顔の、この部分のしわが気になる」ということも多いでしょう。しかし、「加齢のせい」と諦めるべからず。実は、美容皮膚科で正しい処置を行えば、しわはきれいにすることができるのです。しわの分類法と最先端のしわ治療について、広尾皮フ科クリニックの和泉達也先生に教えてもらいました。

監修医師:
和泉 達也(広尾皮フ科クリニック 院長)

1987年慶應義塾大学医学部卒業。静岡県清水市立病院(現・静岡市立清水病院)、国家公務員等共済組合立川病院などを経て、1997年練馬総合病院皮膚科医長就任。同年、皮膚の老化の研究で博士号取得。2005年広尾皮フ科クリニック開設。皮膚科全般の臨床経験に加え、皮膚の老化の研究にも携わってきた経歴を生かし、現在は一般皮膚科と美容皮膚科の診察を行っている。特に、美容皮膚科の処置は、「皮膚に美容的な処置をすることは、皮膚の健康のためにとても良いことである」という考えのもと行っており、単に老化現象や美容の問題として捉えるのではなく、皮膚の問題を深層から追求している。

しわにもいろいろな種類がある!?

編集部

ひと口に「しわ」といっても、いろいろな種類があると聞きました。本当ですか?

和泉先生

本当です。分類の仕方にはいろいろありますが、大きく分けて「表情じわ」「乾燥じわ」「たるみじわ」があります。

編集部

それぞれの特徴を教えてください。

和泉先生

私たちが一般的に「しわ」と呼んでいるものは「表情じわ」です。たとえば、笑ったときなど目尻にしわが寄ることがありますよね。これが「表情じわ」で、とても馴染みの深いものです。

編集部

表情じわはなぜ、できるのですか?

和泉先生

主な原因は、表情筋の過緊張です。そもそも人間の表情は、顔のなかに30種類以上あるといわれる表情筋が収縮することによって生まれます。しかしこの表情筋が過剰に緊張して収縮すると、深いしわが刻まれてしまうのです。

編集部

表情じわはどのあたりにできることが多いのですか?

和泉先生

個人差はありますが、主に眉間、目尻、口の横、額などにできるケースが多いようです。

編集部

どうやって解消すれば良いのでしょうか?

和泉先生

表情じわは、同じ表情筋が過緊張を繰り返すことによって定着していきます。さらに、加齢とともに皮膚の弾力が低下していくことで、ますます深くなっていきます。そのため、保湿をしっかりして、肌の柔らかさをキープすること。また、眉をひそめるなど知らず知らずのうちに行っている癖も、意識してやめるようにしましょう。

編集部

つい、繰り返している癖をやめるのが大事なのですね。

和泉先生

そうです。パソコンやスマホを見る時、つい、目をひそめている人も多いでしょう。そういう癖にしっかり気づき、意識して改めること。もし画面が見にくいなら、近視や老眼のメガネを使用することをお勧めします。

こまめなケアで防ぐ「乾燥じわ」と「たるみじわ」

編集部

次に、乾燥じわについて教えてください。

和泉先生

乾燥して肌表面がカサつくと、ちりめん状や線状の細かいしわができることがあります。目の周りなど、皮膚が薄くてデリケートなところに、ちりめん状の細かい小じわができることがありますよね。これが「乾燥じわ」です。

編集部

乾燥じわの原因は、文字通り、乾燥なのですね。

和泉先生

乾燥だけでなく、紫外線を浴びることで、肌の弾力性を保つコラーゲンやエラスチンが変性し、しわになることもあります。これは「紫外線じわ」とも呼ばれるもの。乾燥じわや紫外線じわは、乾燥対策や紫外線対策をしっかり行うことで、ある程度防ぐことができます。

編集部

続いて、「たるみじわ」とはなんですか?

和泉先生

これは、加齢とともに顔の皮膚がたるみ、陰影が作られることによって、しわのように見えてしまう状態のこと。小鼻の横にできるほうれい線や、口から顎へ向かって作られるマリオネットラインと言われるものが、これにあたります。

編集部

たるみじわができると、見た目も老けた印象になってしまうので困ります。これはどのように対処したら良いのでしょうか?

和泉先生

たるみじわは肌の乾燥がひどくなると、深く刻まれるようになります。そのため、まずは保湿を徹底すること。冬などの乾燥する時期だけでなく、夏もクーラーの風に当たって乾燥がひどくなるため、年間通して保湿を心がけるようにしましょう。また、しわの解消に特化した化粧品やクリームを使うのも良いでしょう。

しわに対して、美容皮膚科で行う治療とは?

編集部

このようなしわに対して、美容皮膚科ではどのような治療を行うことができるのでしょうか?

和泉先生

しわの種類によって、治療法が異なります。たとえば、ちりめんじわのような乾燥じわは、基本的に保湿が大切。でも、保湿だけではしわが改善されないときには、粒子が細かいヒアルロン酸を注入することもありますし、トレチノインのクリームを塗ることもあります。

編集部

「しわを消すには、ヒアルロン酸がいい」という話はよく聞きます。

和泉先生

しわのなかでも、ヒアルロン酸が特に有効なのは、深いたるみじわです。局所的に、しわに注入することもありますが、まだしわができていないところにも注入して、顔の構造を若々しくすることもできます。

編集部

ヒアルロン酸で、しわの予防もできるのですね。

和泉先生

最近では解剖学の研究が進み、ヒアルロン酸を注入するポイントもかなり精度が上がりました。ただしわを消すだけでなく、顔の構造そのものを変えながら、しわが目立たないように美しく整えることができるようになったのです。

編集部

ほかにはどのような治療がありますか?

和泉先生

ボトックスを注射する方法やレーザーによる治療法、糸でリフトアップする治療法などさまざまあります。たとえば、深くなってしまったしわには、ヒアルロン酸とボトックス注射を組み合わせることでさらなる効果を期待することができます。また最近では「HIFU(ハイフ)」といって、特殊な器具で超音波を一点に集中して照射し、しわやたるみを除去する施術も人気が高くなっています。

編集部

さまざまな治療法があるのですね。

和泉先生

このように、一人ひとりのしわの状態によって適した治療法が異なるため、もし美容皮膚科での治療を考えている場合は、カウンセリングを受けることをお勧めします。

編集部

ほかに、しわができないように日常生活で気をつけるべきポイントを教えてください。

和泉先生

保湿を徹底すること、紫外線対策をしっかり行うことのほか、表情筋のトレーニングが有効です。口を大きく開けたり、強くすぼめたりする動きを繰り返すことで表情筋が鍛えられ、肌がリフトアップしてしわやたるみが改善されるだけでなく、表情が豊かになって他人に魅力的に映ります。ぜひ、こまめに表情筋トレーニングを行いましょう。

編集部

最後にメッセージをお願いします。

和泉先生

しわは、さまざまな原因が重なって作られていますが、すべてのしわに共通しているのは、保湿と紫外線対策が最大の防御になるということ。この2点はしわを予防するのに重要なポイントです。日常的にこうしたことに注意してセルフケアを行い、それでも不十分なときには、美容皮膚科での治療を考えたら良いのではないでしょうか。また、最近では市販の化粧品にも優れたものがありますから、特にセラミドやビタミンCの成分を含んだものを選ぶと、しわ対策に良いのではないかと思います。

編集部まとめ

ある程度のしわは、加齢とともに増えていくもの。しかし、メンテナンスをしっかり行うか、そのまま放置しておくかで、10年後や20年後の肌の状態は変わってきます。ぜひ、あまりしわが気にならないうちからケアをはじめ、将来に向けての美肌づくりに取り組みたいですね。

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