映画「ファイト・クラブ」の中国公開版はラストが書き換えられ「警察が勝つ」というエンディングに
不眠症に悩む青年と謎の男を巡るエピソードを描いた1999年のサスペンス映画「ファイト・クラブ」が中国の動画配信サービスで公開されたところ、ラストシーンが丸ごとカットされ、「政府側が勝利した」という趣旨のメッセージが流れるものに変更されていたことが明らかになりました。
以下、記事中で「ファイト・クラブ」の結末に言及しています。
China gives 'Fight Club' new ending where authorities win
Cult Classic ‘Fight Club’ Gets a Very Different Ending in China
https://www.vice.com/en/article/k7wgea/fight-club-alternate-ending-china-censorship
映画「ファイト・クラブ」は最後、謎の男・タイラーから逃れることに成功した主人公が、タイラーが進めていた資本主義の象徴である高層ビル群の爆破計画が遂行されてしまう様子を眺めているシーンで終わります。
ところが、中国の動画配信サービス「テンセントビデオ」で公開されたバージョンのエンディングではビルの爆破シーンがカットされ、代わりに「タイラーから得られた手がかりをもとに計画の全貌を見抜いた警察がすべての犯罪者を逮捕し、爆破を防ぐことに成功した。タイラーは精神病院に送られ、2012年に退院した」というメッセージが流れたとのことです。
A huge Chinese streaming site edited the ending to Fight Club so that right before the buildings blow up it cuts to black and just shows this. The end. pic.twitter.com/ZFOxVM6xSr— Robert G. Reeve (@RobertGReeve) January 24, 2022
まるきり反対の結末となってしまったストーリーに、海賊版などでオリジナル版を知っていた視聴者は「とんでもないエンディングだ」と反応し、「ラストシーン抜きでこの映画を見るのは無意味です」「オーシャンズ11やゴッドファーザーの場合、全員が逮捕されるエンディングになるのでしょう」などと中国のSNSであるWeiboに書き込まれたとのこと。
海外メディア・Viceは「事情通によると、映画の著作権者によってエンディングが編集され、政府に承認された後に配信されたとのこと」と記しています。配給元の20世紀スタジオやテンセントはこの問題について言及しませんでした。
by Chris Yunker
中国で公開・配信される映画は、検閲をクリアするために編集されることがしばしばあり、2019年の映画「ボヘミアン・ラプソディ」の中国公開時には、フレディ・マーキュリーが婚約者に自分がストレート(異性愛者)ではないと告白するシーンや、フレディの恋人ジム・ハットンが登場するシーン、メンバーが祝賀パーティーで女装するシーンが削除されています。