本格化するJR東日本と西武HDの連携 西武鉄道ポイントサービスは22年度中に導入予定
東日本旅客鉄道(JR東日本)と西武ホールディングス(西武HD)は2020年12月23日に発表した包括的な連携に基づき、昨年春から連携企画を打ち出している。このうち今年1〜3月に利用できる企画を挙げつつ、本格化する包括的連携の狙いを改めて考えてみたい。
2社の包括的連携の連携コンセプトは「新たなライフスタイルの創造×地方創生」。三つの軸「新しい働き方・暮らし方の提案」「まちづくりに向けた長期的な連携」「沿線活性化に向けた連携」をもとに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でニーズを下げた「動」の活性化を図り、最終的には、国が推進する「地方創生」につなげていくとしている。
発表時点では21年春頃からの展開を意図していたと思われるが、実際に大型企画が動き出したのは、現時点で最後の「緊急事態宣言」が解除された9月30日以降だ。
22年1月〜3月には、JR東日本の「びゅうトラベル」サイトで購入できる価格変動型旅行商品「JR東日本ダイナミックレールパック」への西武園ゆうえんち「1日レヂャー切符」の追加(21年12月15日から22年3月30日までの期間限定)、地域・観光型 MaaS「回遊軽井沢」の提供(22年1月15日から3月31日までの期間限定)、JR東日本「駅からハイキング」・西武鉄道「ウォーキング&ハイキング」共同開催(3月27日1日限り)を実施する。
夏休み前の21年7月には、西武プロパティーズ・JR東日本・野村不動産の3社によるワーケーション施設「Karuizawa Prince The Workation Core」が軽井沢にオープン。移動はJR東日本の長野新幹線「あさま」、滞在先は西武HDグループのプリンスホテルと、まさに「JR東日本×西武HD」の連携企画だ。
沿線活性化に向けた連携では、西武線の駅ナカコンビニ「トモニー」でJR東日本のオリジナルブランド「acure made(アキュアメイド) の「青森りんごシリーズ」の取り扱いを開始したり、JR東日本グループのベビーカーレンタルサービス「ベビカル」やシェアオフィス「STATION WORK」の駅構内ブース「STATION BOOTH」を西武新宿線の駅に導入したり、JR東日本側からのアプローチが目立つ。
このほか、住友不動産グループと西武鉄道の2社共同プロジェクトとして「温泉で東京湾岸と埼玉秩父を繋ぐ“山の湯、海の湯 お得に湯めぐり”」を21年11月23日から22年3月24日までの期間限定で実施中。この「山の湯、海の湯 お得に湯めぐり」は、Yahoo! JAPAN IDでログインするヤフーのデジタルチケット「PassMarket(パスマーケット)」で、山の湯・海の湯の2つの温泉の入館料などが通常より最大2920円お得になる。さらに、PayPay残高で支払うと決済額の0.5%のPayPayボーナスが戻ってくる。
2500円/3500円(1ドリンク付き)/4500円(1ドリンク・食事付き)のチケット代に交通費は含まない。山の湯「西武秩父駅前温泉 祭の湯」のアクセスは西武秩父線「西武秩父」または秩父鉄道「御花畑駅」から徒歩5分、海の湯「泉天空の湯 有明ガーデン」はゆりかもめ「有明」「有明テニスの森」またはりんかい線「国際展示場」から徒歩6〜8分。
もし、泉天空の湯 有明ガーデンを起点に1日で2施設を回るなら、推奨ルートはゆりかもめ〜東京メトロ有楽町線〜西武有楽町線・池袋線・秩父線か、りんかい線〜JR埼京線〜西武池袋線・秩父線となる。なお、チケットは有効期間内ならいつでも利用可なので1日で回る必要はない。
車でのアクセスも可能だが、西武秩父駅前温泉 祭の湯の立地を考えると、池袋駅または飯能駅で乗り換える「特急ラビュー」利用ルートがおすすめ。意外にも、都心湾岸の新人気スポット「有明ガーデン」周辺から西武秩父までは約2時間と十分に日帰り可能な近さ、PassMarketを利用した「山の湯、海の湯 お得に湯めぐり」も鉄道利用促進策の一つといえるだろう。
西武鉄道は、22年3月12日の春のダイヤ改正で一部減便を実施する。改正内容をざっくりまとめると、東京都心から秩父方面・川越方面には便利で快適な有料特急を利用してほしいという意図がうかがえる。またダイヤ改正とともに、電車利用に応じポイントを付与するサービスを22年度中に導入予定と発表した。
ここまで紹介した包括的な連携を考慮すると、西武鉄道の鉄道利用によるポイントサービスは、JR東日本のポイントサービス(在来線乗車ポイント・リピートポイント)と同様の仕組みの「登録済みPASMOの利用でSEIBU PRINCE CLUBポイントがたまるサービス」になると予想する。
しかし、先行してポイントサービス連動型マイル「トブポマイル」を導入した東武鉄道と同じく「登録済みPASMO限定」だと、西武線から連絡改札口でJR東日本線に乗り換えた場合、JR東日本のポイントサービスの対象外になるため、定期券を保有せずにお得にJR東日本線・その他の私鉄に乗車するならSuicaとPASMOの使い分けは必須だ。
ユーザーの利便性の向上とさらなる連携強化を行うなら、JR東日本と西武HDは将来的に資本提携に踏み込むのではないだろうか。全般的にJRE POINT会員やえきねっと会員など、既存会員へのプリンスホテルへの送客が多い点も気にかかる。
沿線・エリアによっては、鉄道やバスなどの公共交通機関は住人や観光客が積極的に利用して廃線から「守る」対象となりつつある。JR東日本に限らず、沿線活性化を目指す鉄道各社の取り組みに注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
2社の包括的連携の連携コンセプトは「新たなライフスタイルの創造×地方創生」。三つの軸「新しい働き方・暮らし方の提案」「まちづくりに向けた長期的な連携」「沿線活性化に向けた連携」をもとに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でニーズを下げた「動」の活性化を図り、最終的には、国が推進する「地方創生」につなげていくとしている。
22年1月〜3月には、JR東日本の「びゅうトラベル」サイトで購入できる価格変動型旅行商品「JR東日本ダイナミックレールパック」への西武園ゆうえんち「1日レヂャー切符」の追加(21年12月15日から22年3月30日までの期間限定)、地域・観光型 MaaS「回遊軽井沢」の提供(22年1月15日から3月31日までの期間限定)、JR東日本「駅からハイキング」・西武鉄道「ウォーキング&ハイキング」共同開催(3月27日1日限り)を実施する。
夏休み前の21年7月には、西武プロパティーズ・JR東日本・野村不動産の3社によるワーケーション施設「Karuizawa Prince The Workation Core」が軽井沢にオープン。移動はJR東日本の長野新幹線「あさま」、滞在先は西武HDグループのプリンスホテルと、まさに「JR東日本×西武HD」の連携企画だ。
沿線活性化に向けた連携では、西武線の駅ナカコンビニ「トモニー」でJR東日本のオリジナルブランド「acure made(アキュアメイド) の「青森りんごシリーズ」の取り扱いを開始したり、JR東日本グループのベビーカーレンタルサービス「ベビカル」やシェアオフィス「STATION WORK」の駅構内ブース「STATION BOOTH」を西武新宿線の駅に導入したり、JR東日本側からのアプローチが目立つ。
このほか、住友不動産グループと西武鉄道の2社共同プロジェクトとして「温泉で東京湾岸と埼玉秩父を繋ぐ“山の湯、海の湯 お得に湯めぐり”」を21年11月23日から22年3月24日までの期間限定で実施中。この「山の湯、海の湯 お得に湯めぐり」は、Yahoo! JAPAN IDでログインするヤフーのデジタルチケット「PassMarket(パスマーケット)」で、山の湯・海の湯の2つの温泉の入館料などが通常より最大2920円お得になる。さらに、PayPay残高で支払うと決済額の0.5%のPayPayボーナスが戻ってくる。
2500円/3500円(1ドリンク付き)/4500円(1ドリンク・食事付き)のチケット代に交通費は含まない。山の湯「西武秩父駅前温泉 祭の湯」のアクセスは西武秩父線「西武秩父」または秩父鉄道「御花畑駅」から徒歩5分、海の湯「泉天空の湯 有明ガーデン」はゆりかもめ「有明」「有明テニスの森」またはりんかい線「国際展示場」から徒歩6〜8分。
もし、泉天空の湯 有明ガーデンを起点に1日で2施設を回るなら、推奨ルートはゆりかもめ〜東京メトロ有楽町線〜西武有楽町線・池袋線・秩父線か、りんかい線〜JR埼京線〜西武池袋線・秩父線となる。なお、チケットは有効期間内ならいつでも利用可なので1日で回る必要はない。
車でのアクセスも可能だが、西武秩父駅前温泉 祭の湯の立地を考えると、池袋駅または飯能駅で乗り換える「特急ラビュー」利用ルートがおすすめ。意外にも、都心湾岸の新人気スポット「有明ガーデン」周辺から西武秩父までは約2時間と十分に日帰り可能な近さ、PassMarketを利用した「山の湯、海の湯 お得に湯めぐり」も鉄道利用促進策の一つといえるだろう。
●西武鉄道もポイントサービスを開始予定 22年度中に
西武鉄道は、22年3月12日の春のダイヤ改正で一部減便を実施する。改正内容をざっくりまとめると、東京都心から秩父方面・川越方面には便利で快適な有料特急を利用してほしいという意図がうかがえる。またダイヤ改正とともに、電車利用に応じポイントを付与するサービスを22年度中に導入予定と発表した。
ここまで紹介した包括的な連携を考慮すると、西武鉄道の鉄道利用によるポイントサービスは、JR東日本のポイントサービス(在来線乗車ポイント・リピートポイント)と同様の仕組みの「登録済みPASMOの利用でSEIBU PRINCE CLUBポイントがたまるサービス」になると予想する。
しかし、先行してポイントサービス連動型マイル「トブポマイル」を導入した東武鉄道と同じく「登録済みPASMO限定」だと、西武線から連絡改札口でJR東日本線に乗り換えた場合、JR東日本のポイントサービスの対象外になるため、定期券を保有せずにお得にJR東日本線・その他の私鉄に乗車するならSuicaとPASMOの使い分けは必須だ。
ユーザーの利便性の向上とさらなる連携強化を行うなら、JR東日本と西武HDは将来的に資本提携に踏み込むのではないだろうか。全般的にJRE POINT会員やえきねっと会員など、既存会員へのプリンスホテルへの送客が多い点も気にかかる。
沿線・エリアによっては、鉄道やバスなどの公共交通機関は住人や観光客が積極的に利用して廃線から「守る」対象となりつつある。JR東日本に限らず、沿線活性化を目指す鉄道各社の取り組みに注目だ。(BCN・嵯峨野 芙美)