腕にぶつぶつができるときは皮膚科へ!考えられる病気や対処法を徹底解説

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腕にぶつぶつができるとき、身体はどんなサインを発信しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が腕にブツブツした湿疹がある症状で考えられる病気や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
後藤 和哉 医師(京都大学医学部附属病院)

大分大学医学部卒業後、関西電力病院、京都大学医学部附属病院、研修医を経て
京都大学医学部附属病院、天理よろづ相談所、皮膚科医。

「腕のぶつぶつ」で考えられる病気と対処法

気がついたら腕にぶつぶつができていた、多くの人がそんな経験をお持ちだと思います。腕のぶつぶつは、かゆみや痛みといった症状を伴うこともあります。また、腕は他人の目に留まりやすい場所であるために、ぶつぶつがあることで他人からの視線が気になりやすい。何より、ぶつぶつの原因がわからないことで不安を感じることもあると思います。「腕のぶつぶつ」の原因、対応、受診の目安について解説していきます。

腕にぶつぶつができてかゆみ、赤みや痛みがある症状の原因と治し方

腕にぶつぶつができており、赤みを帯びていたり、かゆみもあったり、ときには痛みを感じたりすることもあります。
このような場合、原因となる疾患は多岐にわたります。皮膚科疾患の中で頻度が高いのは、虫刺され皮脂欠乏性湿疹(乾燥に伴う湿疹)アトピー性皮膚炎蕁麻疹などの湿疹・アレルギー性の病変です。それ以外にも、接触皮膚炎(かぶれ)、結節性痒疹、体部白癬(水虫)、尋常性乾癬、アミロイド苔癬などが原因でかゆみを伴う赤いぶつぶつを呈することがあります。老人ホームや医療機関といった施設では、疥癬(ヒゼンダニというダニの感染症)も注意が必要です。疥癬は集団発生がしばしば問題となり、施設のスタッフやその家族にも感染する可能性があります。そのため、疥癬は早急に診断、治療介入し、感染の蔓延を食い止める必要があります。
かゆみではなく痛みを伴う場合は、帯状疱疹コリン性蕁麻疹などの可能性があります。
また、無症状の場合は薬によるアレルギーや、麻疹・風疹などのウイルス感染症に伴う皮疹のことがあります。これらの場合、腕以外の全身にも皮疹を認めることが多いです。
主な診療科は皮膚科です。顕微鏡での検査で真菌(カビ)や疥癬の有無を確認しつつ、血液検査や皮疹の分布、性状を総合的に判断して診断を行います。治療は原因疾患によって異なりますが、感染症であれば抗真菌薬や駆虫薬、抗ウイルス薬などを適宜使用し、湿疹やアレルギー性の病態であれば外用ステロイド薬や内服抗ヒスタミン薬を使用します。
上記の情報だけで診断が付かない場合や治療に対して皮疹の反応が悪い場合、局所麻酔下で皮膚の一部を生検することで正確な診断が下せることもあります。

腕に白いぶつぶつがあるがかゆくない症状の原因と治し方

腕にかゆみはないけれども白いぶつぶつがあることがあります。また、白い部分には膿が溜まっているように見えることもあります。
このような場合、毛孔性苔癬などが考えられます。

毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)

毛孔性苔癬は、二の腕(上腕)に毛穴に一致した正常皮膚色~赤い色の、先端が角化して白っぽく見えるぶつぶつが多発する病気です。軽症例も含めると10代の30%程度に認められると言われています。自覚症状はなく、思春期を過ぎると自然消退することもあり、緊急性はありません。治療希望がある場合は皮膚科を受診して頂き、保湿剤やサリチル酸ワセリンで軟化させるといった治療を行います。
その他にも、尋常性ざ瘡(ニキビ)や一部の薬疹(薬剤アレルギー)、感染症による反応の皮疹でも、表面に膿疱と言われる膿の溜まったぶつぶつを生じることがあり、この場合も白いぶつぶつが認められます。特徴としては、炎症による赤みも伴っていることが多いことです。もし膿が溜まっていそうなぶつぶつが多発する場合は、皮膚科を受診して正確な診断を受けてください。

すぐに病院へ行くべき「腕のぶつぶつ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

腕の赤いぶつぶつに水ぶくれがある場合は、皮膚科へ

腕の赤いぶつぶつが、水ぶくれを伴っている場合は、帯状疱疹伝染性膿痂疹(とびひ)の可能性があります。また、腕のぶつぶつと同様の皮疹が全身にも見られる場合や発熱などの症状を伴う場合は、薬に対するアレルギー反応や、ウイルス感染症による皮疹の可能性があります。
これらの症状を認める場合には速やかに皮膚科を受診し、正確な診断と適切な対応を仰いで下さい。

「腕のぶつぶつ」や湿疹を防ぐスキンケアと生活習慣

湿疹が原因で腕にぶつぶつができている方は非常に多いです。問診してみると、誤ったスキンケアをしている方も少なくありません。
アトピー性皮膚炎の方ではストレスでかゆみが悪化するとも言われており、かゆみが悪化して掻きむしることで腕のぶつぶつも悪化します。ストレスをため込まないように生活することも重要です。また、アトピー性皮膚炎では食生活との関連については統一された見解が乏しいのですが、香辛料の刺激や油脂の取り過ぎなどが悪化因子とする意見もあります。

オススメのスキンケア

保湿剤を繰り返し塗ること(1日1回よりも1日2回塗布の方が保湿効果は高いため)

いろいろな種類の化粧品を塗らないこと(かぶれるリスクがあがるため)

擦り込むように化粧品や外用剤を塗らないこと(摩擦による刺激で皮膚の炎症が悪化するため)

薬を指示された回数よりも多く塗らないこと、指示された場所以外に塗らないこと(用法用量を守らないと、薬剤による副作用が出やすくなってしまうため)

入浴直後を含めて1日2~3回の保湿を行うこと

保湿剤は皮膚にティッシュペーパーが少しくっつく程度になるように、優しく伸ばすようにして塗布すること

入浴中は泡立てネットで充分に泡立てた泡を用いて手で優しく身体を洗うこと

なお、これらは充分な睡眠とバランスの良い食事、定期的な運動習慣といった、基本的な健康習慣を整えることが前提です。

「腕のぶつぶつ」を治したいときに塗っても良い市販薬は?

市販薬を塗ること自体は悪いわけではありませんが、処方薬に比べるとぶつぶつを治療する効果は乏しいと思われます。そもそも、そのぶつぶつに対して正確な診断がなされないことには適切な治療を選ぶことができません。特に、感染症に対して自己判断でステロイド配合の外用薬を使用することで悪化する可能性もあります。皮膚科医としては市販薬の安易な使用はお勧めできません。
市販薬や化粧品自体にかぶれてしまっていることに気がつかずに漫然と使用し続けている方もいます。皮疹が急に拡大する場合や、市販の外用薬を1-2週間程度使用していても治らないと感じた場合などは、皮膚科をすぐに受診することをお勧めします。

「腕のぶつぶつ」の治療に使われる処方薬は?

湿疹やアレルギー性の疾患が疑われる場合は外用ステロイド薬内服抗ヒスタミン薬などが主に使用されます。感染症が疑われる場合は抗真菌薬、駆虫薬、抗菌薬など原因病原体に対応した薬剤が使用されます。
市販薬にもステロイド外用薬や外用抗真菌薬はありますが、病院の処方薬に比べて効果が弱い傾向があります。また、市販のステロイド薬には抗生剤などの成分が混合されていることもあります。そのため、市販薬を使用しても治らない場合は、診断が間違っているのか、薬剤の効果が不十分なのか、目的成分以外にかぶれているのか、などがわからず正確に診断することが難しくなります。1~2週間市販薬を使用しても治らない場合は、皮膚科を受診することをお勧めします。

「腕のぶつぶつ」・湿疹の症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「腕のぶつぶつ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

夏になると腕のぶつぶつが出るのですが、原因は何でしょうか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師

アトピー性皮膚炎の方も、夏場にはかいた汗をそのまま放置しておくことでかゆみが悪化し、腕のぶつぶつが増悪することがあります。
夏は多くの人が半袖の衣類で活動し、野外活動の機会も増えます。それに伴い虫刺されや汗疹(あせも)で受診する人数が増えます。特に虫刺されについては、半袖での露出部である腕にも認めやすいため、夏に腕のぶつぶつを認めた場合にはまず疑われる疾患です。また、アトピー性皮膚炎の方も、夏場にはかいた汗をそのまま放置しておくことでかゆみが悪化し、腕のぶつぶつが増悪することがあります。
予防方法としては、アウトドアを楽しむ際には長袖・長ズボンを着用することや、虫除けスプレーを使用すること、汗をかいたらすぐに拭き取る、もしくはシャワーをあびて清潔を保つことなどがあげられます。軽症の虫刺されの場合には、市販のかゆみ止めでも数日で改善しますが、炎症が強い場合には効果が不十分となることもあります。市販薬で改善しない場合は、皮膚科を速やかに受診してください。

腕の内側にぶつぶつした湿疹があります。保湿をしたほうが良いでしょうか?

後藤 和哉(ごとう かずや)医師

保湿自体が有効であることがほとんどです。
保湿は基本的なスキンケアとして重要であり、腕のぶつぶつの有無にかかわらずお勧めします。特に、乾燥による湿疹やアトピー性皮膚炎による腕のぶつぶつの場合は、保湿自体が有効であることがほとんどです。しかし、他の原因による腕のぶつぶつ自体を治すには保湿だけでは不十分なことがほとんどです。保湿をしているにも関わらずぶつぶつが治らない場合は、一度皮膚科を受診することをお勧めします。

まとめ

一言に腕のぶつぶつといっても、さまざまな疾患が原因となり得ます。そのため、適切な対応をするには正確な診断が必要不可欠です。なかなか治らない腕のぶつぶつを見たときは、早めに皮膚科を受診してください。

「腕のぶつぶつ」に関連する病気や症状

「腕のぶつぶつ」で考えられる病気

「腕のぶつぶつ」から医師が考えられる病気は16個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

虫刺症

皮脂欠乏性湿疹

アトピー性皮膚炎

結節性痒疹

扁平苔癬

金属アレルギー

接触皮膚炎

毛包炎

尋常性ざ瘡(ニキビ)

伝染性軟属腫(水いぼ)

尋常性乾癬

体部白癬(水虫)

帯状疱疹糖尿病

内科の病気

慢性腎不全

慢性肝障害

ぶつぶつが腕にのみあるのか、全身にも同様の症状があるのかによっても原因疾患は異なります。内科的な疾患が原因で全身の痒みが生じて、腕にぶつぶつができることもあります。

「腕のぶつぶつ」に似ている症状・関連する症状

「腕のぶつぶつ」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

かゆい

赤みがある

皮がむけてガサガサしている

痛みがある

水ぶくれがある

湿疹・発疹かぶれおでこのブツブツ手のひらがかゆいじんましん

単に「腕のぶつぶつ」といっても、原因疾患は無数に存在します。ただ、随伴症状や分布、皮疹の性状、季節毎の頻度、などの情報から診断を絞り込んでいくことはできます。
急激に皮疹が増加、拡大する場合や、1~2週間しても改善が認められない場合は、なるべく早く皮膚科への受診をおすすめします。