容量が2倍になったSuperDiskの後継「SuperDisk 240MB」:スイートメモリーズ File078
[名称] SuperDisk 240MB
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録、レーザーサーボ
[サイズ] 約86mm
[容量] 240MB
[登場年] 2001年頃〜
今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。
「SuperDisk 240MB」は、松下寿電子工業によって開発された240MBの容量を持つフロッピーディスク型メディア。120MBとなる「SuperDisk(LS-120)」の後継モデルで、対応ドライブによる従来フロッピーディスクの読み書きにも対応するという、互換性の高さが強みです。
120MBのSuperDiskと同じく、ディスク表面に刻まれた溝をレーザー光で読み取って正確な位置をトラッキングする、レーザーサーボ技術を使用。さらに、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術を使い、線記録密度を向上させることで2倍の容量を実現しています。
記録密度を高くするほど単位面積当たりの容量は大きくなりますが、そのぶん磁気情報が微弱になり、読み取りが困難になります。また、隣接するデータ干渉が大きくなり、ピンポイントで値を読めなくなるという問題が出てきます。
隣接するデータが干渉するというのが分かりにくいと思うので、軽く説明しておきましょう。ものすごく簡単に言えば、従来であればルーペで拡大すれば個々のデータがクッキリ見えたのに、拡大しても境界がハッキリせず、ボヤけたデータしか見えなくなってしまった、というものです。
例えば「01110」というデータが書き込まれている場合を考えてみます。前後のデータの影響を受けた状態で磁気の強さを素直に読み取ると、「01221」といったような値になってしまいます。同じ「1」でも、前後に「1」が含まれている場合は増強されてしまう、というイメージです。同じように「01010」を考えてみると、「1」に挟まれた「0」が浮いてしまうため、「01110」となります。
どちらの場合も、単純に閾値を1と設定してしまうと、本来0であるはずのデータが1として扱われてしまうことになります。かといって、1よりも大きな値にしてしまうと、今度は連続している1以外のデータを失ってしまいます。これが、隣接するデータによる干渉です。
この問題を解決してくれるのが、PRML。これはデータがそのまま読み取れないのであれば、読み取った値から本来のデータを推定してやればいいじゃないか、という技術です。先の例でいえば、「01221」は1が連続している部分が2となり、最後は前のデータに引っ張られていると推定でき、元のデータは「01110」だろうと分かるわけです。
実際はもっと難しいことをやっていますし、書き込むデータも変調されていたりしますが、概ねこのような原理でデータが読めるようになっています。これは特殊な技術というわけではなく、HDDなど、更に記録密度の高いドライブで採用されていたものからの転用でした。
とはいえ、PRMLをフロッピーディスク型メディアに適用する、というのはかなりユニークですね。
前置きが長くなりましたが、実物を見ていきましょう。

見た目は120MBのSupreDiskとソックリそのまま。フロッピーディスクでいう書き込み禁止、メディア検出用のホール位置も同じですし、形状ではメディアの種類を見分けるようにはなっていないようです。
裏面は、せっかくなので120MBのSuperDiskと並べてみました。

黒いのが240MBで、青いのが120MBです。240MBはマクセル、120MBはイメーションという違いがあるので多少模様等は異なっていますが、特徴となる形状に関しては全く一緒だというのがわかるでしょう。
当然ですが、シャッターを開けて磁性体の裏面を見ると、SuperDiskの特徴となるトラッキング用の溝があります。ただし、最外周にあったトラックの目印がなくなっており、肉眼ではちょっと見づらくなっていました。

こちらが拡大してみたところ。放射状にトラッキング用の溝が刻まれているのが分かります。上が240MBで下が120MBですが、本数にも大きな違いはないように見えます。
SuperDisk 240MBの容量2倍というのは大きな進化といえるハズなのですが、ライバルとなるZipはとうの昔に250MBを投入しており、正直なところ、今更感がありました。
そのためか、登場時にも大容量だという点はあまりアピールされず、むしろ、対応ドライブが持つ「FD32MB」という機能の方がクローズアップされることの方が多かったように思います。
FD32MBというのは、従来の2HDフロッピーディスクにSuperDisk 240MBの技術などを使うことで、32MBのデータを書き込めるというもの。追記型になるというデメリットはありますが、廉価な従来メディアが再利用できるという、面白い機能でした。
ただし、SuperDisk 240MBが登場した頃には、大容量メディアとしてCD-Rが激安価格で使えていたうえ、DVD-Rが登場する時期とほぼ同じ。また、USBメモリーの台頭も始まっていたこともあり、普及することなく埋もれてしまいました。
連載:スイートメモリーズ
参考:
スーパーディスクドライブ LK-RF240UZ, パナソニック
従来の2HD(1.44MB)ディスクを用いて32MB記録できるフロッピーディスクの大容量化技術「FD32MB」を開発, 松下寿電子工業, WayBack Machine
Partial Response Maximum Likelihood(PRML), ウィキペディア
