晴れた日には「公園や緑地で仲間たちとバーベキュー」といきたいところ。でも現実には、「そこまでするのはおっくう。できればステイホームで…」というケースも多いでしょう。そんなときは自宅で楽しむアウトドアもおススメです。広い庭がなくとも、庭やバルコニーにちょっとしたテラス空間があればバーベキューを楽しむことができます。建築家の新井崇文さんが、自宅での例を交えながら、その楽しさを紹介。これから家を建てようと考える人も、ぜひ参考に。

少人数でのバーベキューなら、卓上コンロのスタイルがおススメ!

バーベキューコンロにはさまざまなタイプがあります。ごく一般的なタイプとしては「スタンダードタイプ」と「卓上タイプ」があります。

 

スタンダードタイプはコンロに脚がついており、立ち姿勢で調理をするものです。バーベキューをしながら立食で楽しむ、あるいは調理できたものを食卓まで運んで座って食べる、といったスタイルになります。

 

スタンダードタイプはコンロのサイズが比較的大きいので、大量の食事をスピーディーに調理することができ、大人数でのバーベキューにも対応できるメリットがあります。

一方、大人数でのバーベキューとなると、コンロの設置スペースと、人数分のイスやテーブルを設置するスペースも必要に。テラスのスペースとしては少なくても6〜8畳、あるいは人数によってはもっと広いスペースが欲しいというところでしょう。

 

スタンダードタイプに対し、卓上タイプはテーブルの上に乗せて使うものです。コンロのサイズは小さいので一度に調理できる食事の量は多くありません。でも、テーブルについて食事をしながら、落ち着いて調理できるメリットがあります。

焼く人と食べる人が分業してしまうことなく、お酒やお好きなドリンクを片手に、おしゃべりを楽しみながら、ゆったりとしたペースでみんなで調理しながら食べることができます。

 

2家族くらいまでであれば1台の卓上コンロで、3家族以上であれば複数台の卓上コンロを置いて使うのがよいかと思います。

 

卓上タイプのよいところはテラスのスペースがコンパクトでもすむこと。わが家は12畳サイズの庭の一部に、4畳サイズのデッキテラスがあります。そのようなコンパクトなデッキテラスでも、卓上コンロを置いた1台のテーブルを4〜6人程度で囲って、バーベキューを楽しむことができます。

 

卓上コンロを使いやすくする、ひと手間の工夫

わが家では卓上コンロが定番のバーベキュースタイルですが、使い終わったあとのコンロのお手入れが大変だと、バーベキューするのもおっくうになってしまいます。

 

そこでひと手間の工夫。調理前にアルミホイルを内側全面(炭や調理で汚れる部分)に貼りつけます。

 

調理後はこのアルミホイルをはがせば大部分の汚れがとれるので、コンロ本体を洗う手間が大幅に削減できます。こうしたちょっとした工夫で、気軽にバーベキューすることができます。

快適にバーベキューを!テラス空間の設計ポイント

庭やバルコニーのテラスでバーベキューするのであれば、テラス空間もなるべく快適であってほしいもの。テラス空間を心地よくするための設計ポイントをいくつかご紹介します。

 

まず重要なのはプライバシーの確保。テラスでバーベキューしている様子が道路や隣家から丸見えでは落ち着きません。ルーバー、柵、塀、植栽などで、ほどよく囲って、視線をさえぎり、プライバシーを確保することが大切です。

 

さらに、テラス空間そのものに魅力があれば、なお楽しいもの。写真は、筆者が手掛けた住宅の事例。丘陵地や建物の上階など、眺望のよい立地であれば、その眺めをいかすと魅力的です。

 

一方、周囲が建て込んだ市街地や住宅地であれば、外壁、ルーバー、塀、植栽などでしっかり囲い込み、中庭のような囲われ感のあるテラスにするのもいいでしょう。囲われたスペースは、室内のような落ち着き感をもたらします。その結果、明るく開放的なアウトドアの魅力と、室内のような落ち着き感の双方をあわせ持つ魅力的なスペースとなります。

 

また、緑豊かな庭にあるテラスであれば、新緑や紅葉が楽しめ、風にそよぐ木の葉の木漏れ日のもとでランチを楽しむのも魅了的です。

 

テラスで快適にバーベキューをするには、収納スペースの確保も大切です。コンロ、炭、テーブル、イスなど、必要な道具を収納するため、外部倉庫などをテラス近くに確保できると出し入れが容易に。「今日は天気がいいから」と気軽にテラスでバーベキューする気にもなれるものです。わが家ではデッキテラスに面した壁面に板戸をつけた収納を設けています。

 

テーブルとチェアの収納場所にも、配慮が欲しいところ。キャンプ用品のテーブル&チェアであれば、コンパクトにたためるので、外部倉庫などに収納しやすいです。

一方、ガーデン用品の木製テーブル&チェアなどは、コンパクトたためないものも。そうなると、テラスの片隅に置きたくなるものです。そんな場合に、雨に濡れない軒下空間があれば、木製テーブル&チェアの保管スペースとして重宝します。

 

これから家づくりするなら、テラスのことも考えて

とくに広いスペースがなくても、庭やバルコニーにちょっとしたテラスがあれば、バーベキューは楽しめるものです。

テラスのサイズに合った人数で、自分なりのスタイルでバーベキューを始めてみてはいかがでしょうか。これから家づくりをする方は、こうしたテラスも想定しつつ間取りを考えると、より納得のいく家づくりができそうです。

 

※コンロやキャンプ道具を扱う際は、取扱説明書を事前に確認して、指示に従って利用しましょう