鍋のスタイルを変えたアイデア商品。1個の素でアレンジは無限大!
日本の冬に欠かせないもののひとつ「鍋」。毎年新しい味やトレンドが誕生している“鍋物調味料”ですが、果たしてその味はどうやって開発されるのでしょうか…?
鍋物調味料は20種類以上の品揃え!「エバラ食品」
今回は、「プチッと鍋」や「なべしゃぶ」など鍋物調味料を数多く発売している、エバラ食品 商品開発部の坪根優子さんに新商品の開発秘話やアレンジレシピを聞きました。
●鍋のスタイルを変えた「プチッと鍋」
少し前まで、鍋と言えば、家族団らんで食べるもの。そのため、これまでは鍋パウチなどの容量が大きいものが主流でした。しかし、共働き世帯が増えたことで、家族全員が同じ時間に食卓に揃わないということも多々。その社会的背景に合わせて登場したのが「プチッと鍋」だそうです。
「TVCMの『1プチッと1人前』とフレーズの通り、ポーション1個で1人分の鍋の素です。1人で食べるお手軽鍋から、家族で食べるごちそう鍋まで、いつでもつくりたい分に合わせて『おいしい鍋』を手軽につくることができます。現在、プチッと鍋は10種類の味わいを展開し、20mlと40mlのポーションがあるのですが、20mlポーションはだしを重視した味わい、40mlはねりごまやみそ、豆乳などの濃厚な味わいのものが中心となっています」
鍋の締めにつゆが足りなくなっても、ちょい足しできることも便利ですよね。今では鍋物調味料としての地位を確立し、家族団らんで食べるのはもちろん、ひとり鍋としても大人気の商品となりました。
「プチッと鍋は液体タイプということで味がなじみやすく、溶けやすいといったところがより評価をいただいてるのかなと思っております。また、1人前からつくることができるので、余ったポーションをほかの料理に使っていただくことも非常に多くなっています。コロナ禍で在宅勤務が増え、お家でのランチにもプチッと鍋でスープや炒めものが手軽につくれるということもあり、さらに人気は上がりました」
そこで坪根さんおすすめのポーションを使ったアレンジレシピも聞いてみました。
「HP上でもいろいろなアレンジレシピを掲載しているのですが、私のおすすめは『プチッと鍋 寄せ鍋』でつくる炊き込みごはん。具材とポーションを入れるだけでできるので本当に簡単でおいしくつくれます。あとは、『プチッと鍋 スープカレー鍋』でつくるリゾットも手軽にできておいしいですね」
個食でも楽しめるプチッと鍋や、なべしゃぶの発売によって、若い世代が商品を手に取る機会も増えているそうです。ファミリー層がメインである市場に、新風を吹かせたといっても過言ではないかもしれません。
ちなみに、プチッと鍋の底面にはボーションキャラクターとメッセージが入っており、全10種類それぞれ内容が違うので、ぜひチェックしてみたいところです!
●今年の鍋のトレンドは“外食”と“SDGs”
また、新商品を開発するうえでいちばん大切にしているのは「エバラらしいおいしさ」だそう。
「新商品に関してはトレンドももちろん大事にしつつも、お客さまの視点でニーズにこたえられるような味づくりをしています。とくに昨年から今年にかけて旅行に行けない、外食に行けないといったところで、外で食べる味わいをご家庭で簡単に食べられる商品は多いです。今年の新商品である札幌のご当地グルメの味わいを目指したスープカレー鍋もそうです」
「プチッと鍋で新たな切り口や、今までにはない味という発想でご当地メニューに着目したんです。スープカレーは『食べたい』という意向は高いのに食経験が少ない。というところが調査でわかり、選定する決め手になりました。ほかにも従来から発売している『プチッと鍋』でも再現できるご当地鍋のレシピを公式サイトに掲載していますので、そちらも併せてご覧いただきたいですね」
「スープカレー鍋」は、鶏のうまみをじっくりと炊き出した濃厚なスープに、香味野菜を合わせ、18種類のスパイスとハーブで仕上げた商品。さわやかなコクとスパイシーな味わいが楽しめて、リゾットやラーメンなども手軽につくれます。
そして、もう一つのトレンドが「SDGs」です。地産地消、食品ロスを減らすことを目標に掲げている企業は多いと言いますが、エバラ食品でも公式サイトに掲載するアレンジレシピ数を増やしたり、食品ロスの観点で賞味期限を長くする企業努力が行われているそうです。こうした取り組みからも、今後も目が離せません。
●おうちの鍋で心も体も温まる!
コロナ禍で、多くの人が自粛疲れを感じている昨今。そんな疲れを少しでも癒したい、という気持ちもこもっていると坪根さんは言います。
「今回スープカレー鍋は、外食の味わいをおうちで手軽に楽しんでいただきたく発売しました。そのためスープカレー鍋を使うことで、おうちにいながら札幌のスープカレーの味わいを手軽に楽しんでいただいて、明るく元気になってもらいたいという思いがあります。プチッと鍋全体に関しましても新たなメニュー提案で普段の料理のお役に立てたらうれしいです」
焼肉のたれのヒットから続く、社会的背景と家庭の繋がりを考えた商品づくり。これまでにあった食体験をアップデートさせつつ、これからも家庭の食卓に新たな風を吹かせてくれそうです。