年齢を重ねると、気力も体力も昔より低下してきます。これまでと同じように家事をしていても、以前よりも大変に感じる人も多いのではないでしょうか。そこで、50歳から本格的にミニマムな暮らしをスタートさせ、家事の負担を減らしながら自分の時間を上手に使っているというカナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子さんに、毎日の家事をラクにするコツを教えてもらいました。

日々の家事負担を減らすアイデア5つ

年を取ってくると体力が落ち、人生の残り時間も少なくなってくるので、家事はできるだけ簡単に済ませたいですよね。家事があまり好きではない私は、以下の5つのことを心がけて、家事の負担を減らしています。

ざっくりでいい!筆子さんのキッチンツール収納はこちら<写真>

●1.ものを減らす

ミニマリストになってよく分かりましたが、ものが少ないほうが断然、家事はラクです。管理するものの数が減りますから。とくに、洗濯機で洗えない衣類や、付属品がいっぱいあって洗うのが大変な調理ツールなど、メンテナンスに手間のかかるものは減らしています。

以前、パンをよく食べていた頃は、フードプロセッサーを使ってパンの生地をつくっていました。フードプロセッサーは、ボールや刃など、洗うものが多く、食器洗い機がないと、毎回洗うのが手間です。フードプロセッサーを手放して、ボウルを使って手ごねで生地をつくるようにしたら、洗うのもしまうのも、とてもラクになりました。

もちろん、神経痛などで手が痛くて手ごねができないときは、機械に任せたほうがラクですが、機械を導入したからといって、家事がラクになるとは限りません。

私の母(88歳)は、数年前、古い電子レンジを捨てて、今流行りのオーブンレンジを買いました。1台でオーブンとレンジの2つの機能を果たすので、一見便利そうですが、機能が増えた分、指で押さなくてはならない場所や、押すパターンが増えました。そのため、母はせっかくの機能をうまく使いこなすことができず、毎回ワンパターンな使い方しかできていません。これなら、単機能のレンジのほうがストレスがありません。

このように、一見便利そうでありながら、ストレスや手間を増やす原因になっている家電や道具もあります。そうしたツールは、他人に譲ってしまいましょう。

●2.ついでに掃除する

私の掃除のほとんどは、ついでにする掃除です。

毎朝、バスルームの床を拭いていますが、トイレに行って身支度したついでにやるように。同じタイミングで、トイレ、バスタブ、シンクの掃除もします。バスタブは大きいので毎日少しずつ、場所を変えて拭いています。

掃除が大変になるのは汚れをためるから。気がついたときにさっと拭いたり、ゴミを拾ったり、乱雑になったものをちょっと整えておいたりすれば、負担が減ります。

移動するついでに、自分の近くを片付けるのもおすすめです。今いる部屋から、別の部屋に行くついでに、部屋に転がっているものを拾って捨てたり、それがあるべき部屋に持っていったりするのです。

「手ぶらでは移動しないぞ」と決めると、とくに努力しなくても、家の中が片づいていきます。

●3.やらなくていい家事はやらない

家事はやってもやってもキリがないので、適当なところで切り上げるようにしています。先ほども書いたように、私は「汚れが目立っているな」と思ったら、その場で軽く掃除するだけです。すみずみまでピカピカにしようという野望は持っていません。

さらに、苦手な家事はやらなくてもいいと考えています。私は、あまり料理に情熱が持てないので、凝った料理はせず、シンプルなメニューで回しています。毎回、違う料理をつくろうとすると、使う道具も、料理を盛る食器も増えますが、数は少なくても、はずれのない料理をローテーションすれば、考えることも、作業の量も減らせます。

野菜の下ごしらえも、必要がないな、と思ったら省いています。たとえば、ニンジンの皮はむかないし、大根やジャガイモも、よほど皮が固くなければ、そのまま食べています。おでんのように、味をしみこませたいときは、大根の皮をむいたほうがいいと思いますが、皮には栄養があるし、野菜の廃棄部分はできるだけ減らしたほうがエコです。

●4.だれでも使いやすい収納にする

わが家は私があまり家事を好きではないせいか、ごく自然に、洗濯などのさまざまな作業が、セルフサービスでなされる家庭になりました。

じつは、私は若いころ、ほとんど家のことはしていませんでした。しょうゆやお酢の大きな瓶が、どこにあるのかも知らなかったのです。そのため、一度、母が入院したとき、すでに二十歳をすぎていましたが、自分や弟の料理をするのにとても苦労しました。

家族がそうならないためにも、全員が家事をしやすいよう、とくにキッチンはだれが入っても、ものがどこにあるのかわかるようにしましょう。そのためには、1番でも書きましたが、余計なものはできるだけ手放したほうがいいですよ。わが家の調理ツールは、引き出し一つにすべて投げ込んでいるので、ここになければ、どこを探してもありません。

●5.自分一人でやらない

すべての家事を自分一人ですることはありません。自分が50代をすぎるころには、子どもは大きくなっているでしょうから、身の回りのことは、本人にやってもらいましょう。大きくなった子どもの世話を、母親がなんでもやってしまうのは、子どもの自立を妨げ、本人のためにもなりません。

子どもが小さいときから、お手伝いとして、簡単な家事をやらせるようにしましょう。ご主人が家事をしない場合は、どんどん参加してもらうようにするのも大切です。

家族に家事を頼むときは、できるだけ具体的な指示を出します。玄関で、靴を脱ぎ散らかす子どもに、「玄関、きれいにしといてよ」と言うだけでは、望んだ結果になりません。もっと具体的に、「脱いだら靴をちゃんと揃えて、はしっこに並べてね、こういうふうにね」と実演をそえて、リクエストすれば、子どもでも、靴を揃えて脱ぎます。

家事を頼める家族がいない、私は専業主婦だから、という人も、忙しいときは家事を外注すると、とてもラクになりますよ。これは怠けることではなく、時間やお金という手持ちのリソースをバランスよく使うことです。

家事の負担を減らすアイデアを5つご紹介しましたが、結局のところ、暮らしをシンプルにすると、家事もとてもラクになります。余計なものや、やらなくていいことをどんどん手放して、やりたいことに時間を使っていきましょう。